◇米国女子◇LPGAメディヒール選手権 最終日(9日)◇サティコイGC(カリフォルニア州)◇6551yd(パー72) 決勝ラウンド前夜に突然始まったパーティーに、さすがの上原彩子もちょっと怒った。「日本の当たり前は、ここでは当たり前じゃ…

練習ラウンドスタート前のひととき

◇米国女子◇LPGAメディヒール選手権 最終日(9日)◇サティコイGC(カリフォルニア州)◇6551yd(パー72)

決勝ラウンド前夜に突然始まったパーティーに、さすがの上原彩子もちょっと怒った。「日本の当たり前は、ここでは当たり前じゃない」。今週も、それをひしひしと感じた一週間だった。

大会前に急きょ用意した宿が、そうとは知らず海外の選手3人と共用だった。ベッドルームは別々で、リビングとキッチンが共用の一軒家。「不思議な感じ」と、人生で初めてのルームシェアはちょっとしたハプニングであふれていた。

28位で予選を通って宿に帰ると、日が落ちた頃からほかの部屋が騒がしい。予選落ちをした選手が仲間内で集まって、にぎやかなディナーを始めていた。「さすがに『何時までやるの?』って聞いちゃいましたよ」と決勝が控える身にとってはたまったものではない。翌日には、鍵をかけずに出かけてしまう人もいてビックリした。「米国は本当に自由で、他人のことなんて誰も気にしない」と面白そうに笑った。

米ツアーに本腰を据えて10年目、ちょっとやそっとの不意打ちは転戦生活を楽しむスパイスだ。体調不良から復帰した今年はひとりでツアーを回っている。海を越えたら日本のように周りのことをケアしてくれる人は誰もいない。「ハプニングはたくさんあるけど、それでいちいち“わー!”ってなっていたら疲れちゃう。困ったこともたくさんあるけど、それも楽しいです」。不思議と日本の便利さを恋しく思ったことはなかった。

自由すぎる同居人たちとのルームシェアもトラブルも含めて楽しんだ。今まで名前も知らなかった選手が、子どものころに沖縄に住んでいたと知って故郷の話に花が咲いた。キッチンで夕飯の支度をしていると、10歳近く年の離れた選手が興味津々で覗きに来た。「こんなの初めて」と刺激にあふれる毎日がモチベーションのひとつになっている。

昨年は体調不良でツアーを離れ、今季は9月「Danaオープン」から復帰して6試合をプレー。今大会は32位で終えた。「まだどうなるか分からないけど、やれるところまで頑張りたい」と38歳の戦いは続いていく。(カリフォルニア州ソミス/谷口愛純)