日本女子オープン最終日 女子ゴルフの国内メジャー・日本女子オープン最終日が2日、千葉・紫CCすみれC(6839ヤード、パー72)で行われ、3位から出た勝みなみ(明治安田生命)が6バーディー、2ボギーの68で回り、通算3アンダーで大会史上3人…

日本女子オープン最終日

 女子ゴルフの国内メジャー・日本女子オープン最終日が2日、千葉・紫CCすみれC(6839ヤード、パー72)で行われ、3位から出た勝みなみ(明治安田生命)が6バーディー、2ボギーの68で回り、通算3アンダーで大会史上3人目の連覇を飾った。7月の楽天スーパーレディース以来、今季2勝目でアマチュア時代を含めツアー通算8勝目。優勝会見では、1日朝に都内の自宅で亡くなったアントニオ猪木さん(享年79歳)が、1998年のプロレス引退試合で朗読した詩「道」を支えにプレーしていたことを明かした。

 プロレス好きの勝は、猪木さんの名文句を頭で繰り返しながら、プレーしていた。

「(コースに向かう)車の中で『道』の動画をYouTubeで見て母は号泣し、私もウルッときました。(詩の内容が)自分のことを言われているような気がして、ラウンド中もずっとそのことを考えていました。『迷わず行け』という感じで」

 猪木さんは、1998年4月4日に東京ドームで開催された引退試合を終えると、リング上で詩「道」を朗読した。

「この道をいけばどうなるものか 危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし 踏み出せば その一足が道となり その一足が道となる 迷わず行けよ。行けばわかるさ」

 この言葉は多くのファンの心を揺さぶったが、同年7月1日に生まれた勝は、母の久美さんが大ファンだった猪木さんの訃報を受け、あらためてその偉大さを実感。第3日を終え、その歩みを調べたという。

 猪木さんの「闘魂」を受けた勝は、久美さんに「2連覇したい」と言い、コースに入っていた。そして、前半で5バーディーを奪い、首位を走る申ジエをとらえた。10番パー4では、カラーからパターで6メートルの下りスライスラインを読み切り、ナイスパー。猪木さんがリングに上がり、首に巻いたタオルを取った時のごとく、右手を高々と上げた。

「その前に3連続バーディーを獲っていたので、ボギーで流れを切りたくないと思っていましたが、思わず手を上げました(笑)」

乗り移った猪木さんの魂、でも18番のパットだけ「迷いました」

 13番、14番は連続ボギーにしたが、「前半の貯金があったので焦りはありませんでした」と言った。そして、難関の17番パー4では、ピンまで160ヤードの第2打を「グリーンの硬さ」を考え、1番手下げた7番アイアンでショット。狙い通り、ボールは手前か転がってピン横2メートルについた。

「その前にボードを見て、これを入れたら(単独)トップに立つことが分かったので、『絶対に入れる』と思いました」

 ここでも「勝機は絶対に逃さない」猪木さんの魂が乗り移っていたが、最終18番のバーディーパットだけは「迷いました。最後に最後に……。『迷わず、行けよ』でしたね」と明かし、苦笑いした。

 樋口久子、畑岡奈紗に続く大会史上3人目の連覇を達成。優勝スピーチでは、12月開催の米女子ツアー最終予選会にエントリーしたことも明かし、会見では「そこは迷わずに(ネットで)ポチッとしました」と言った。だが、来年は大会3連覇もかかる。今大会の初日2日前には、歴代優勝者が集うチャンピオンズディナーで乾杯の挨拶もしており、3連覇への思いも語った。

「挨拶はすごく緊張したので、来年はもっとうまくやりたいです。(予選会を通過して)向こうの試合との調整がつけば、奈紗ちゃんや宮里藍さんがそうしたように、私もこの試合に出るために帰ってきたいです」

 状況が許せば、「迷わず」に出場。今季の残り試合についても、「これまでは年間2勝が最高なので、1勝以上はしたいです。最終戦まで出ます」と力強く宣言した。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)