「どの相手もワールドカップに出てくるのチームなので、簡単な試合ではないと思っていたのですが、第1クォーターのもたつきから、最後…

「どの相手もワールドカップに出てくるのチームなので、簡単な試合ではないと思っていたのですが、第1クォーターのもたつきから、最後にはしっかり日本のプレーを出せたと思います。ディフェンスリバウンドなど改善するところはまだありますが、全体的に見たら良かったかなと思います」

 9月22日に行われた「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022」の初戦。89−56で勝利したマリとの試合について、スターターを務めた赤穂ひまわり(デンソーアイリス)は、こう振り返った。

 日本の初得点はこの赤穂から。リング下でノーマークになったところを、ガードの山本麻衣(トヨタ自動車アンテロープス)から好パスを受け、バックシュートを決めた。

 その後も赤穂は、ドライブや3ポイントシュート、合わせのプレーからのバスケットカウントなどで得点を重ねて12得点。リバウンドも6本を奪取した。

 特に積極的なドライブは、そこからのシュートや、ファウルを受けてのフリースローなど、得点だけでなく、日本に勢いをもたらす働き。フィジカルの強いマリに対しても、「フィジカルで負けたら相手の得意なところに持っていかれると思ったので、そこは負けちゃいけない」という思いでチームを盛り立てた。

 このドライブについて赤穂は冷静に振り返る。

「中が空いていたので行ったということではあるのですが、カバーやヘルプディフェンスなどをあまりしない相手だったので、外を開けるためにも中に行かなきゃいけないとは思っていました。アウトサイドのシュートはみんながすごく入ってたので、中に入っての得点も欲しいなと思い、カッティングなどをしたことが結果につながったのでよかったです」

 また、自身のパフォーマンスについては、「良いとは言えないのですが、初戦でカッティングが効いたり、速攻にもいけたりしたので…。そうですね、いつも出だしが悪いので(笑)、その割には初戦と考えたら良かったのかなと思います」と、少し笑顔を見せながら振り返った。

 それでも、明日(23日)のセルビア戦に向けては、「オフェンスリバンドにもう少しからめるなとも思いますし、シュートを打てるところも今日はあまり3ポイントシュートを狙えていかなかったので、ドライブをしつつ、外からもしっかり打っていきたいです」と、言い聞かせるように課題を語る。

 セルビアのマリーナ・マルコヴィッチヘッドコーチは、昨シーズンまで2シーズン、赤穂の属するデンソーのHCを務め、今シーズンもアドバイザーとしてスタッフ入りをしている指揮官。

 セルビアは、初戦となるカナダに60−67で競り負けているだけに、続く日本戦は、絶対に負けられないところ。日本をよく知るマルコヴィッチHCは、いろいろと策を講じてくる可能性も高い。

「マリーナ…。そうですよね。セルビアは、絶対今日のままで来るとは思わないし、ちゃんと切り替えてくると思います。そこは日本もしっかり準備していきたいです」と、赤穂にとっても思い入れの強い試合となるだろう。

 赤穂自身、20歳で初出場となった前回のワールドカップでは、「今考えると、4年前は…全然でしたよね」と苦笑いするように、4試合を戦って1試合平均の出場時間は7.2分。得点も1.5点に留まった。

 あれから4年。「成長した姿を見せられればいいですね」という姿には、すでにあのときよりも頼もしさが増している。目標である金メダル獲得へ。欠かすことのできない存在となった今、今度は赤穂がチームを引っ張っていく。

取材・文=田島早苗