1点ビハインドでも伊勢、山崎の“勝ちパターン”投入■巨人 2ー1 DeNA(21日・横浜) セ・リーグ2位のDeNAは2…

1点ビハインドでも伊勢、山崎の“勝ちパターン”投入

■巨人 2ー1 DeNA(21日・横浜)

 セ・リーグ2位のDeNAは21日、本拠地・横浜スタジアムで行われた巨人戦に1-2で惜敗。1点ビハインドの9回にあえて守護神・山崎康晃投手を登板させる執念の継投も実らなかった。首位・ヤクルトの優勝マジックが残り10試合で「4」となり、DeNAの逆転優勝の可能性は風前の灯。逆に、3位・巨人との差が4ゲームに縮まった。

 ヤクルトとの差は7ゲームに開いた。一方で、巨人との対戦は今季まだ3試合残しており、その後10月のCSで当たる可能性もある。試合終了後の会見で報道陣からは、「それだけに巨人にはしっかり勝っておきたいのでは?」という趣旨の質問も飛んだ。しかし三浦大輔監督は少し声のトーンを落とし、何度か同じ言葉を繰り返しながら、こう強調した。

「まだまだ、そっち(CS)じゃないです。そっちじゃないです。目指しているところは、そこじゃないです。全員がそう思っています。可能性がゼロでない限りは、そこ(優勝)を目指して全員で戦っていきます」

 その言葉を体現するような采配だった。1点ビハインドでも、惜しげもなく“勝ちパターン”のリリーバーを継ぎこむ。8回に伊勢大夢投手、9回には山崎。「負けられないですから。結果は負けましたけれど……。全員が負けられないということをわかっていて、その気持ちで準備してくれていますから」と、事ここに至って指揮官に迷いはなかった。

伊勢は66試合、エスコバーは65試合で登板過多

 DeNAはセ・リーグで最も試合消化が遅く、その分9月は過密日程を強いられている。6日から14日までの9連戦を5勝4敗でしのいだ後、1日だけ休み、16日から10連戦の真っ最中。特に、19日に東京ドームで巨人と戦うと、20日に甲子園へ移動して即阪神戦、翌21日にまた横浜に戻り巨人戦という目まぐるしさだ。その中でも、入江大生投手、伊勢、山崎の3人は甲子園と横浜を股にかけて連投し、いずれも無失点で乗り切った。三浦監督は「はい、もう、しんどいのはわかっていましたけれど、いってもらいました」と言い切った。

 投手陣は目論見通り、先発のロバート・ガゼルマン投手が6回途中まで2失点でしのぎ、後を受けた5人のリリーバーは追加点を許さなかった。しかし、打線は遠征の強行軍の疲れもあってか、宮崎敏郎内野手の12号ソロによる1得点に終わり、結局競り負けた。

 残り11試合。ヤクルト優勝決定の瞬間まで、諦めない姿勢は変わらない。一方で、2位の座とCSファーストステージの開催権を是が非でも死守したいのは当然で、CSがある以上、負担超過による故障を避けたいのも本音だろう。三浦監督がそのバランスをどう取っていくか。21日現在、セ・リーグ投手の登板数ランキングでは、66試合の伊勢と65試合のエドウィン・エスコバー投手が突出しており(3位は巨人・高梨の57試合)、その分負担がかかっている現状もある。

 三浦監督就任2年目の今季、昨季最下位から大きく巻き返したDeNAの躍進には、誰もが目を見張っている。だからこそ2位以上死守へ向けた残り試合とCSの戦いぶりに、なおさら興味を引かれる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)