進撃の要因は投手陣「月を追うごとに良くなってきた」 三浦大輔監督就任2年目のDeNAが熱い。22日現在で8月は14勝2敗…
進撃の要因は投手陣「月を追うごとに良くなってきた」
三浦大輔監督就任2年目のDeNAが熱い。22日現在で8月は14勝2敗(勝率.875)。怒涛の快進撃で、7月3日時点で最大17.5ゲーム開いていた首位ヤクルトとのゲーム差を4に縮めている。奇跡の逆転優勝の可能性はあるのか。現役時代に横浜(現DeNA)、ヤクルト、阪神、日本ハムの4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が分析した。
「DeNAはもともと打線が強力で、投手さえなんとかなれば……と言われ続けてきたチームです。今年はその投手陣が月を追うごとに良くなってきた。極めてわかりやすい話ではあります」とOBでもある野口氏は笑う。
DeNA投手陣は昨季、チーム防御率がリーグワーストの4.15と低迷し、最下位転落の要因となった。今季も3・4月は4.12と振るわなかったが、右肩上がりで調子を上げ、8月は22日現在で2.38。今季トータルでもリーグ2位の3.39と、大幅に改善されている。
リリーフ陣は守護神の山崎康晃投手が防御率1.69、エドウィン・エスコバー投手が1.78、伊勢大夢投手が1.38と軒並み安定。先発陣は10勝4敗、防御率2.57の大貫晋一投手を筆頭に、開幕前の故障で出遅れたエース・今永昇太投手も7勝3敗、2.73。浜口遥大投手も5勝4敗、2.60で試合をつくっている。石田健大投手、フェルナンド・ロメロ投手も上り調子。京山将弥投手は21日の広島戦で、1軍登録即7回途中無失点の快投を演じ、打ってもプロ初本塁打を放ち、先発ローテ定着へ猛アピールした。
燕との直接対決は9試合「ここに希望を託すことができる」
シーズン終盤に入った今、4ゲームは決して小さな差ではないが、野口氏は「DeNAはヤクルトとの直接対決をまだ9試合を残している。ここに希望を託すことができます」と指摘する。簡単に言えば、DeNAはヤクルトより5試合多く残していることから、DeNAとヤクルトがともに直接対決以外の試合を全勝すると仮定すると、直接対決ではDeNAの6勝3敗以上で順位がひっくり返ることになる。DeNAはヤクルトに対し今季7勝9敗と黒星が先行しているが、いったん勢いに乗ると手がつけられないチームだけに予断を許さない。
DeNAの不安はこれまで雨天中止が多く、リーグ最多の38試合を残していること。最も試合消化の早い阪神、広島に比べると、10試合も多い。その分、今後の日程が過密になるのは必然で、9月は6日から14日まで9連戦、休みを1日挟み、16日から25日までは10連戦が予定されている。野口氏は「2軍を含めた全戦力を結集して戦うことがポイントになる。先発陣が苦しくなった時、現在2軍で調整中の東(克樹)、昨年6月にトミー・ジョン手術を受け、今月に支配下登録復帰を果たした平良(拳太郎投手)らが1軍に戻ってくることができれば、貴重な戦力になると思います」と言う。
DeNAでは他にも、主砲のタイラー・オースティン外野手が新型コロナウイルス陽性判定で抹消中。リリーフ陣では前守護神の三嶋一輝投手も2軍で調整を重ねており、このあたりがDeNAにとって、さらなる上がり目になり得る。“心臓破りの9月”を乗り越えることができれば、奇跡への扉が開きそうだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)