【AFCチャンピオンズリーグ ラウンド16 ヴィッセル神戸vs横浜F・マリノス 2022年8月18日 20:01キックオ…
マリノスのスライドを神戸が活用する。それは7分の先制ゴールも場面でも同様だった。大迫勇也へのロングボールからではなく、マリノスの縦パスを汰木がカットし、遠いサイドを駆け上がった飯野七聖がチップキックでゴールを奪う、というショートカウンターによるものだったが、飯野はマリノスのサイドバックよりも遠くに位置していたものの、そこはなんとピッチのほぼ中央。全体がスライドするというマリノスの特性にマッチしたフィニッシュとなっていた。
前半が神戸のものになった大きな理由の2つ目は、マスカット監督が「デュエルやセカンドボールの回収で相手が上回っていた」と言うほどのハードワークができたことだ。
吉田監督が採用した現実的な戦いを、自分たちの戦い方を確立させているマリノス相手に成り立たせるには、球際への積極さも運動量も普段以上のものが求められたが、選手たちはその期待に応えてみせた。
神戸の選手たちは、後半にマリノスがようやくペースを掴むことに成功し、ゴールキーパーの前川黛也が幾度もチームを救う展開となっても、その部分は決して失わなかった。
順調だった前半とは異なり、とにかく頑張る、という展開の後半になったが、この日の神戸は最後まで頑張り続け、追加点まで奪って勝利してみせた。
前半には形のある攻撃のキープレイヤーとなっていた飯野は、後半のその部分でもチームの象徴となった。
■逆サイドから大きく流れてきたボールを追いかけた飯野は深い位置での回収に成功
エウベルの突破に対応したり、中央で岩田智輝と競り合ったり、と広範囲で守備に走りつつ、数少ないチャンスを決定機まで繋げるべく攻撃でも走り続けた。
そして、苦しい時間が長く続いた80分、逆サイドから大きく流れてきたボールを追いかけた彼は深い位置での回収に成功。ボールを入れた汰木は中に合わなかったことを悔しがり、両チーム全てと言っていい選手たちが攻守の切り替えのタイミングを感じてスピードを落とす中、飯野だけが全速力を緩めずボールに追いついた。そこから、前線まで走ってきた山口蛍、そして小田裕太郎と繋がり、3-1となる大きな追加点が記録された。
敗れたマリノスのマスカット監督は「自分たちのサッカーで同点ゴールも生まれた」「後半は相手にスペースを与えず、自分たちのサッカーができた」と、悔しさと共に自分たちの戦い方にこだわるコメントを残した。
マリノスというチームは1人の選手の存在の有無や相手の戦い方によってスタイルを変えることはない。あくまでも自分たちの戦い方で試合を支配することを目指し、その明確なスタイルによってリーグ戦で結果を出し続けてきた。それによるアイデンティティの強さが、この日はトーナメントモードの神戸に味方した。
■試合結果
ヴィッセル神戸 3―2 横浜F・マリノス
■得点
7分 飯野七聖(神戸)
10分 西村拓真(マリノス)
31分 佐々木大樹(神戸)
80分 小田裕太郎(神戸)
90分 アンデルソン・ロペス(マリノス)