「自分の力を発揮できなかった」初マウンドで「ポジティブな面」も 横浜DeNAベイスターズのドラフト4位・三浦銀二投手は、…

「自分の力を発揮できなかった」初マウンドで「ポジティブな面」も

 横浜DeNAベイスターズのドラフト4位・三浦銀二投手は、新人でチーム唯一の開幕1軍を掴んだが、わずか1試合の登板で2軍落ちを味わった。プロ1年目は半分が過ぎ、イースタン・リーグでは22試合に登板し課題克服に取り組む日々。開幕戦の悔しいマウンドを振り返った右腕が語った現在地や、後半戦に向けた目標とは――。

 3月25日、広島戦(横浜スタジアム)。オープニングゲームでいきなり三浦の名前がコールされた。5点を追う8回からプロ初登板し、2イニングを投げ4安打3失点。待ち焦がれた舞台で待っていたのは、ホロ苦い41球だった。その後出番はないまま、4月1日に出場選手登録抹消となった。

「あの大観衆で、ハマスタで公式戦で投げるのは初めてでもの凄く緊張していたんですけど、思ったよりも頭は冷静にいけたのかなと思います。ただ結果は悔しかったです。自分の思い通りにならなかったというのもそうですし、しっかり自分の力を発揮できなかったという面では悔しいマウンドになりました。でも何て言うんですかね……。1試合目だったので、早いうちに1軍のマウンドを経験できたのは凄くポジティブな面かなと思います」

 約4か月が経ち、スッキリとした表情で振り返る。そこには、ファームで着実に階段を上がっている様子がうかがえる。「1軍で結果がでなかったので、それに対しての課題をセットして取り組んでいます。直球を含めた各球種の出力と精度を上げていくこと、決め球のコース、制球です」というように、1軍の公式戦を経験できたからこそ、高い意識で取り組んでいる。

阪神の防御率1点台右腕・浜地は福岡大大濠高時代の1学年先輩

 福岡大大濠高3年時には清宮幸太郎内野手(日本ハム)、中村奨成捕手(広島)らとともに侍ジャパンU18代表としてワールドカップに出場して3位。法大を経て、プロの門をたたいた。当時のU18代表はプロに進んだ選手も多く、仲間たちから刺激を受ける日々。だが三浦にとって、最も自分を奮い立たせてくれる人がいる。

 それは高校の1学年先輩だった浜地真澄投手(阪神)だ。「高校の時からたくさん喋ってもらいましたし、僕が大学に行ってからもご飯に連れて行っていただいたりしていました。同じ舞台に来て浜地さんの凄さを痛感して、もっともっと頑張ろうと思えるようになりました」。高卒でプロ入りした先輩は、3年目だった2019年に1軍デビューして21試合に登板。今季は前半戦までで30試合に投げ防御率1.27とチームに欠かせない「勝利の方程式」の一角となっている。

 そんな三浦は驚異の身体能力の持ち主でもある。大きな故障とは縁遠い体は保育園時代からつくられた。体操クラブに通っていことで習得したバック転は「体力が続く限りは」連続で回れるのだという。柔軟性もあわせ持ち、ブリッジの状態から体を反転させて下向きに、再び反転させてブリッジの状態に戻ることができる。これは山本由伸(オリックス)も取り入れている運動だ。

トレーニング動画を発見して「自分もやってみました」で即成功

「身近というか、前から知っていた人が有名になって、トレーニングが気になるなと思って。山本さんがやっているブリッジの動画を大学時代に発見して、自分でもやってみました」

 三浦にとって、1学年上の山本は同じ九州の宮崎・都城高出身で高校時代から知る存在。高卒1年目にプロ初勝利を挙げ、2年目に中継ぎブレークしたのを見て、体づくりに興味を抱いたのだという。ブリッジ運動に挑戦してあっさりできてしまうところも凄いが、好投手から秘訣を盗もうとする貪欲さも三浦を支えている。

「後半戦が始まってから1軍で戦力になりたいというのがずっとあるので、まず1軍に上がることを目標において、そこで結果を残せるように今できることをしっかりやっています。三振を取りたい球で取れたり、打者も思った通りの反応をしてくれることが増えたので、やっていることの方向性は間違っていないと思っています」と後半戦に懸ける思いと手応えを語った三浦。現在チームは救援陣が奮闘しているが、登板過多気味だけに、勢いのある新戦力の台頭は必須。悔しさを味わった本拠地のマウンドで、次は成長した姿を見せる。(町田利衣 / Rie Machida)