さばいどる・かほなんインタビュー前編「夢は無人島生活」夢は無人島生活ーー。キャンプ、釣り、登山、狩猟が特技という、アイド…

さばいどる・かほなんインタビュー前編
「夢は無人島生活」

夢は無人島生活ーー。キャンプ、釣り、登山、狩猟が特技という、アイドル界の異端児、かほなん。サバイバルするアイドル「さばいどる」として本格的なアウトドアライフを発信し、YouTube『さばいどるチャンネル』の登録者数は、46万人超(2022年7月現在)の人気者だ。自給自足やゲテモノ料理挑戦など、ワイルドすぎる際どい体験も、自身の夢への予行演習のひとつ。自然のなかで本気でサバイバルする、ただ者ではないアイドルの素顔に迫る!



無人島生活の夢を語った、さばいどる・かほなん

スキルもお金も! 無人島生活に向け"貯金中"

── 一般的なアウトドア体験とは一線を画すサバイバルスキルをYouTubeなどで披露しているかほなんさん。さかのぼってアウトドアに目覚めたきっかけは?

かほなん お父さんがアウトドア好きで、小さい頃から家族旅行といえばキャンプ。あと、岐阜県の田舎育ちで女の子の友だちが少なかったから、遊ぶといえばひとりで近くの公園に行って虫を捕ったりカエルとたわむれたり、男の子のような少女時代で。昔からアウトドアやひとり外遊びが好きだったんです。

──アイドルとしてライブ活動をしながら、「さばいどる」としてさらに深い自然のなかにも入っていきましたね。

かほなん 2013年からご当地アイドルとして、フリフリの衣装を着て歌って踊るグループで活動していたんですけど、爆発的人気にはならなくて(笑)。「なんとかしなくては!」という話になって、当時流行っていたYouTubeをやってみようと。もともと好きだったアウトドアの趣味を生かして、サバイバルするアイドルで「さばいどる」と名乗って動画を作り始めたんです。

 最初は冗談で「夢は無人島生活」と掲げていたんですけど、だんだんスキルが高まっていって、ここ2、3年は、本当に夢を叶えられるんじゃないかと思って。「無人島に行く」じゃなくて「無人島に住む」が夢なので、スキルだけじゃなくお金もためて......と考えるように(笑)。

──自分専用の無人島を買う、ってことですね。いくらくらいするものなんですか?

かほなん 数百万から数億までピンキリであります。私がほしいのは、山や沢があったり、水が湧いたりと、ちょっと大きい無人島がほしいので、そうなると億......。可能なら、日本円で買えるところで。ヤギやニワトリを飼って、卵とか、乳でチーズを作ったりとか......ロマンがありますね。



自分の山でサバイバル能力を磨く

──無人島生活で必要なスキルとは?

かほなん 魚介や鳥獣といった食べものを獲る、野草を見分ける、木で簡易的なシェルターを作るとか。火起こしやキャンプ全般のことはもうへっちゃらでできるんですけど、無人島生活となると、永久的なものじゃないですか。だから、家となるシェルターを建てたり、水場を見つけたり作ったり。そういう、短期間のキャンプとは別のスキルが必要なのかなと思って。なのでそのステップのひとつとしてまずは山を買いました。その土地を整地して、木や縄を使ってシェルターやベッドを作っています。

──無人島生活で役立ちそうな、わな猟免許の資格もすでに持っているそうですね。獲物を捕まえ、解体して食べるという......。

かほなん 私が持っている狩猟免許は、わなを使って獲物を捕獲できるというもの。動物との真剣な駆け引きです。鉄砲で撃ったら、勝っちゃうじゃないですか。自然のなかでフェアに戦いたいなと思って猟銃ではなく、私はわなを選びました。



──いろんなものを食べている印象がありますが、苦手な食べものはないんですか?

かほなん 見た目が気持ち悪い系でも、食べますね。最近では、初めてカナヘビを食べました。私生活でもそうなんですけど、食べたことのないものを食べたくて。それがおいしくてもまずくてもよくて、新しいもの、知らないものを食べてみたい。まずいとわかっていても(笑)、まずは食べてみる。「まずいんだなこれは」とわかるのがうれしいんです。

 毒などは除去方法を覚えていきます。食べて舌がしびれた野草は、下処理すればよかったとか、調理法を変えたらよかったとか、だんだんわかってくるので死なない程度に失敗しながら学んでいます。


アイドルとしても

「生き残る」

──今年5月には、無人島で21日間生活に挑戦し、その様子をYouTubeで紹介していましたね。

かほなん 無人島で過ごせるスキルを全部身につけようとして、「成長できるキャンプ」をいろいろしてきたんですけど、それだけでは足りないと思って挑戦しました。実際に21日間を過ごしてみたら、何とかする力が身についたと思います。生活のために必要なものがなくても、漂流物だけで作ったりして。

 あと、少々汚くても生きていく力も(笑)。21日間シャンプーなしで、持って行った重曹を使って髪を洗いました。動画を撮っていたので、美容には少し気をつけましたが、不衛生でもいられるというハードルが下がって、いろんなところに適応できる図太さを得られました。

──さすがアイドル、美容にも少しは気をつかっていたんですね(笑)。

かほなん 「さばいどる」は「生き残る」という意味で、そのなかにはアイドルやタレントとしても生き残るという意味も入っているんです。だからアイドルとしてのサバイバルでは、覚えてもらうことが重要なので見た目には気をつかいますし、髪型はもう5年くらい変えていないんですよ。だから、無人島でも前髪を切っていました(笑)。

 今まで見せてこなかったすっぴんを無人島生活でさらけ出したのは、思考が鈍っていたからかもしれないです。糖分が足りないから、考える力がだんだんなくなっていて。生きるために必死で、感覚を研ぎ澄まされるというのか。カニが歩いていたら、「エサが歩いていた、ハッ!」となったり、そういうのはありましたね。

──無人島生活の予行演習で、さらに経験値を高めましたね。永住はまだ先になると思いますが、それまでにしたいことは?

かほなん 去年の7月から、YouTubeで「47都道府県制覇の旅」というのを始めました。全都道府県を車中泊で旅して、それぞれの地でキャンプや山登り、釣り、特色のあるアウトドアを体験しています。日本という国のなかでも、食べるものとか気候とか雰囲気などが全然違うので、それを知るのが面白い。旅をしながら、無人島のリサーチや下見もしています。

 旅もアイドルの仕事もしつつ、いつの間にか無人島で生活するスキルがたまっていったらいいな、と思っているんです。焦らずに。人生をかけた夢なので。

<インタビュー中編「ワイルドキャンプの7つ道具」に続く>

【Profile】
かほなん 
無人島生活を夢見るアイドル。歌って踊ってしゃべるライブ活動を続けながら、卓越したアウトドアスキルが評判になり、テレビや雑誌などのメディアでも活躍。YouTube『さばいどるチャンネル』では、無人島生活を叶えるスキル磨きのためのアウトドア体験を発信。