プロ野球2022開幕特集嗚呼!すばらしき球団・クラブ愛 『ファン魂』連載 第8回 ますだおかだ 岡田圭右(オリックス・バ…

プロ野球2022開幕特集

嗚呼!すばらしき球団・クラブ愛 『ファン魂』
連載 第8回 ますだおかだ 岡田圭右(オリックス・バファローズ)
インタビュー後編

芸能人など著名な方々が、好きなプロ野球球団やサッカークラブなどについての"愛"を語る連載『ファン魂(たま)』。第8回は、オリックス・バファローズの大ファンとして知られる、お笑いコンビ・ますだおかだの岡田圭右さんにインタビュー。球団が阪急ブレーブスだった頃から長年応援し続けている岡田さんに、独自の視点でオリックスの歴代ベストナインを選出してもらった。(岡田さんが今季のオリックスを激励した前編はこちら)



岡田圭右さんが子どもの頃によくマネをしていたという当時阪急ブレーブスの山田久志投手

オリックスの買収は晴天の霹靂

ーー岡田さんがオリックス・バファローズのファンになったきっかけは?

岡田圭右(以下、岡田) 父親が前身である阪急ブレーブスのファンだったので、その影響ですね。小学2年生から野球を始めたんですけど、当時は阪急が強くて憧れみたいのもありました。好きだった選手は、山田久志さん。やっぱりあのサブマリンは子ども心にインパクトがありましたし、よくマネしていましたよ。

ーー当時の本拠地は阪急西宮球場でしたが、よく観戦しには行っていたんですか?

岡田 行っていました。初めて訪れた時、お客さんが少ないのに窓口がたくさんあって、なんやこれって思ったんですが、あれ車券売り場だったんですよね。

ーーたしか競輪場兼用だったんですよね。

岡田 そうそう。外野席がバンクみたいになって、なんやここって(笑)。ナイター観戦もあそこが初めてだったんやけど、こんな明るいところでやってんねやって。あの球場のまぶしさは強烈な印象として残ってます。あとは家の近所にあった日生球場(日本生命球場、1950年〜1997年)にもよく行って、近鉄対阪急を観戦してましたよ。

ーーその後、阪急はオリックスに買収されるなど球界再編の波に翻弄されますが、ファンの心理としてはその状況をどのように受け止めていたんですか?

岡田 正直、心中複雑でしたよ。その前に南海がダイエーに買収されて、まさか阪急まで! と思いましたから。青天の霹靂だったし、自分が応援しているチームがどうして、と前向きにはとらえきれない出来事でした。で、オリックスってなんやねんって。ダイエーは知ってるけど、当時オリックスは知らんかったし。とはいえ、他のチームのファンになるかといったらそうはいかないし、複雑な思いを抱きながらも自然の流れで応援していましたね。

ーーさらにオリックス・ブレーブスからブルーウェーブに名前が変わり、1995年からリーグ2連覇しています。

岡田 仰木彬監督の"仰木マジック"があって、そして新生"ブルーサンダー打線"の中心にイチローさんがいた時代。強いチームだったし、あの頃はもうすっきりとした気持ちでオリックスを応援してたんですよ。けどそのあと、チーム名がバファローズになるわけですよ。近鉄色の強い名前だし、ぶっちゃけて言うたら、阪急時代からのファンは、またモヤモヤしたわけですよ!

ーー再び複雑な心境に。

岡田 まあ、そうは言っても昨年のリーグ優勝ですっきりした部分があるんです。前回の優勝から25年、長い間モヤモヤしていたけど、あの優勝によって旧阪急ファンも旧近鉄ファンもひとつになれたというか、純粋に勝利を喜ぶことができたんです。勝つことの大切さやパワーをあらためて感じました。

ーーでは、岡田さんの独断と偏見によるオリックス・バファローズの歴代ベストナインを教えてください。

【岡田圭右のオリックス・バファローズ歴代ベストナイン】

ピッチャー:山田久志
キャッチャー:中嶋聡
ファースト:ブーマー・ウェルズ
セカンド:ボビー・マルカーノ
サード:松永浩美
ショート:安達了一
センター:福本豊
レフト:吉田正尚
ライト:イチロー



オリックスを応援している岡田圭右さん(写真=事務所提供)

ーーピッチャーは山田久志さん。

岡田 やっぱり阪急の大エースしかないですよ。星野伸之さんや佐藤義則さん、山口高志さんとかいろいろ考えましたけど、実力もさることながら、あのサブマリンは本当にカッコよかったですから。後も先にも山田さん以上のアンダースローのピッチャーはいません。そしてキャッチャーは中嶋聡監督。現役時代からインサイドワークに優れた選手でしたし、その時の財産が今の指導に生かされているんじゃないかなって思います。

ーーファーストはブーマーですね。

岡田 三冠王を獲得した最強の助っ人。来日した時はホームランバッターだったんですけど、選球眼がよくて、逆方向にもきちんと打つことができたんです。アッパースイングでカチあげるんじゃなくて、レベルスイングでバットコントロールに長けた器用な面もあったんですよね。よくショートの頭上を越えた打球がそのままスタンドに突き刺さったりしていましたし。あと子ども心に一番印象に残っているのは、湿布薬パテックスのCMに出演して「阪急ベリマッチ!」ってギャグを言っていたやつ(笑)。ぜんぜん人気のない球団の選手なのにCM出られるんやって驚きましたよ。

ーー他の内野陣はマルカーノ、松永浩美さん、安達了一選手。

岡田 まず打点王を獲得したことのあるマルカーノですけど、プレーというよりもピンチの時、内野陣が神妙な表情でマウンドに集まっているなか、ひとりボールを手首でヒュッと回転させて遊んでるんですよ。陽気な外国人やなぁって思っていましたね。そのあと、ヤクルトに行っちゃうんですけど寂しかったなぁ。

 松永さんはプロ野球史上最高のスイッチヒッター。ブルーサンダー打線のトップバッターと言えば当時は松永さんでしたからね。安達選手は言うまでもなく、その守備の上手さ。本当あのグラブさばきはすばらしい。長年、今のチームを支えてくれていますし、昨年の優勝も安達選手の献身がなければ実現しなかったと思います。

ーー外野陣は福本豊さん、吉田正尚選手、そしてイチローさん。

岡田 僕のなかでは、もうこの3人以外はありえない。プロ野球の歴史を見ても最強の外野陣って言っていいんじゃないですか。まずは"世界の盗塁王"の福本さん。出塁したら間違いなく走るので、いつもワクワクしながら見ていた思い出があります。吉田選手は、現在のオリックスの中心打者ですし、ここはやっぱり選んでおかないと。そしてイチローさん。もう言葉はいらないですね。日本野球史上、最高のプレイヤーです。まあ、いろんなことがあった球団ですけど、阪急時代から夢を見させてもらってきたチームですし、簡単ではないけどこれから連覇を重ねてもらって、今活躍している選手たちが僕の将来のベストナインに入ってきてもらえればうれしいですね。

(おわり)

【プロフィール】 
岡田圭右 おかだ・けいすけ 
1968年、大阪府生まれ。松竹芸能所属。1993年に増田英彦氏とともにお笑いコンビ・ますだおかだを結成し、2002年に「M-1グランプリ」で優勝。「出た!」「閉店ガラガラ」などが代表的な一発ギャグ。父親の影響で阪急ブレーブス(現:オリックス・バファローズ)のファンとなり、現在まで応援を続けている。現在は、「クイズ!脳ベルSHOW」(BSフジ)のMC、「世界ふしぎ発見!」(TBS)のサブMCなどテレビをはじめ、多数メディアに出演している。