もう限界だろう。 15日に発表された、記者投票による2021年ベストナイン。受賞選手は順当だったが、問題は選外となった…

 もう限界だろう。

 15日に発表された、記者投票による2021年ベストナイン。受賞選手は順当だったが、問題は選外となった少数意見。ファンが「いい加減にしろ!」と言いたくなるような不可解投票が今年も散見された。

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 たとえばセ・リーグの外野手部門。外野での出場試合数が極端に少ないヤクルト荒木(今季出場23試合)、広島松山(同13試合)、阪神陽川(同10試合)に1票ずつ入った。投票した記者は何を考えた1票だったのだろうか。

 パ・リーグ投手部門では、オリックス山本由伸の満票選出確実かと思われたが、オリックス宮城、ロッテ益田、ソフトバンク千賀に1票ずつ入った。千賀は球界を代表する投手だが、今季は10勝止まりでチームはAクラス入りを逃した。18勝はじめ投手タイトル5冠で優勝に導いた山本に、今年の千賀が対抗できる余地はあっただろうか。

 昨年のベストナインはもっと酷かった。昨シーズン限りで戦力外となった巨人モタ、吉川大幾に票が入り、ネットは大炎上した。多数決での少数意見は大事にしないといけないが、的外れな投票が後をたたず、選手にとって最高の栄誉であるはずの賞の価値を下げている。

 選考方法に問題がある。シーズン後の表彰のうち、ベストナイン、ゴールデングラブ賞、MVP、新人王が記者投票によって決まる。全国の新聞社・通信社・テレビ局・ラジオ局に所属し、プロ野球取材経験5年以上が投票権を持ち、記名投票する。ただ記者名は公表されないため、誰がどんな理由で誰に投票したかわからない。これが「おふざけ投票」の温床となっている。

 毎試合のように球場に足を運び、選手のプレーを継続して見る「観戦のプロ」ということで記者には投票権が与えられている。実際は、チームに付きっきりでシーズン通して試合を見る記者など、ほとんどいない。

 また全チームの選手を把握するのは難しい。たとえばセ・リーグ球団担当記者は、交流戦でパ球団をチェックできるのは年間3試合しかない。結果、記者はよく見ていない選手にも投票するというケースが起こる。どうするか。投票時期になると、規定打席到達者のデータを引っ張りだし、判断材料にする。成績と自身の経験則を踏まえ、投票選手を決めるのが一般的だ。

 ベストナインは、打率のいい順にポジションに当てはめていけば、大外れはしない。ところが、守備力を競うゴールデングラブ賞も打撃成績表を判断基準にしてしまう残念な記者が多い。ファンや識者がよく指摘する「ゴールデングラブは打撃がよくないと選ばれない」という理由がここにある。いくら守備の名手でも、記者が実際に見る機会が少なければ、「守備のいいイメージ」がある知名度の高い選手が継続して選ばれやすくなる側面もあるというのだ。

 悪質なのは、非公表をいいことに、投票を「遊び道具」にする記者が存在することだ。選手との距離が近く、個人的な関係で入れる1票や、今後の取材を見据えて担当球団へ忖度(そんたく)する1票で、的外れな選手に投票が入ってしまう場合も。責任を問われないから、やりたい放題。一部の記者による身勝手な投票が、毎年のように繰り返されているのが現状だ。

 ふざけた投票を許してはならない。該当する記者には、日本プロ野球機構(NPB)が責任をもって理由を問いただすべきだ。エンゼルス大谷が今シーズン、満票でMVPを受賞したメジャーリーグも記者投票だが、記者名と投票内訳がすべて公表される。投票内容に疑問があった場合、批判にさらされる。それだけの責任と覚悟を背負っている。

 動画の普及でプロの試合をいつでも視聴できる時代。チームに付いて回るアナログ記者よりも、よっぽど目が肥えているデジタル派は世の中に大勢いる。記者は「観戦のプロ」でもなんでもない。問題だらけの記者投票を公表にしないのであれば、記者が選ぶという制度自体、見直さないといけない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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