MLBで好結果を残すレンジャーズのダルビッシュ有投手やナショナルズのスティーブン・ストラスバーグ投手には、ある共通点が存…
MLBで好結果を残すレンジャーズのダルビッシュ有投手やナショナルズのスティーブン・ストラスバーグ投手には、ある共通点が存在するという。近年のメジャーのエース級投手はセットポジションでのピッチングに専念する傾向にあると、米高級紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が特集している。
■米投手コーチ称賛、ダルビッシュは「最高」 米紙が投球フォームの傾向特集
MLBで好結果を残すレンジャーズのダルビッシュ有投手やナショナルズのスティーブン・ストラスバーグ投手には、ある共通点が存在するという。近年のメジャーのエース級投手はセットポジションでのピッチングに専念する傾向にあると、米高級紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が特集している。
記事では、2014年に最多奪三振を記録し、昨季15勝を挙げた右腕ストラスバーグが今季、セットポジションでの投球に専念していることを紹介。本人は「そんなに突拍子もない考えではないよ。同じ投球動作をいかに繰り返せるかが大事。走者がいない時との違いは少ない方がいい」と話しているという。
そして、ストラスバーグよりも先にセットポジションでの投球で結果を残してきた投手として、インディアンスのカルロス・カラスコ投手とダルビッシュの名前が登場している。ストラスバーグは、この2投手の存在がセットポジション“専念”へのきっかけになったと明かしたというのだ。
ストラスバーグが現在、ナショナルズで師事するのはマイク・マダックス投手コーチ。2015年までレンジャーズで投手コーチとしてダルビッシュを指導してきた人物だ。
■マダックス氏称賛、ダルビッシュは「最高の投球フォーム」
そのマダックス氏は記事の中でダルビッシュについて、「私が今まで見た誰よりも最高の投球フォームを繰り返している」と絶賛している。
そして、ストラスバーグ以外にも、メッツのノア・シンダガード投手らは動作を減らし、セットポジションにより近いフォームに改めているという。以前は、ワインドアップ投法の方が投球時によりパワーを加えることができるという説が存在したが、現在では「余計な動きを作るだけ」とされていると、記事では指摘。セットポジションでは予備動作を省く分だけ、投球における正確性が高まるとして、以下のように分析している。
「セットポジションではシンプルに足を引き上げて、投球する。余計で不要な動作がないので、投球フォームの再現がより容易になり制球の向上につながる」
「これまでの野球界の歴史で、セットポジションからの投球は球速の低下を招き、腕に張りを生じさせ、故障の原因となると言われていたが、現代科学ではこういった諸説が正しくはないことが周知の事実となっている」
■ワインドアップはさらに減少する?
160キロの豪速球を武器にするシンダガードも昨季からセットポジションにした一人。記事によると「(投球で)バランスを取ることにいつも苦労してきた。まったく制御できていなかった。今の投げ方が気に入っている。シンプルでリピートが簡単だからね」と話しており、フォームの変更を成功と捉えているようだ。
また、メッツのダン・ワーセン投手コーチは記事の中で「今後さらにこの傾向は強まるだろう。なぜなら全てシンプルになるからだ。時代と共に、投手の身体は以前より大きくなり、より動かす部分も多くなる。だからシンプルにしていかなければいけない」と証言している。
さらに、「リック・ピーターソンはアスレチックスのコーチ時代、投手たちに本塁に向かって正対して構えるのではなく、斜めに立つように指導していた。これは、ワインドアップ投法ではバランスを悪くしてしまいがちなプレート上での動きを、簡単にする狙いがあった」として、ピーターソン氏本人の「肝心なことは、この方がより簡単に繰り返せるフォームで、生物力学的にも自然な形なんだ」とコメントしたことも紹介されている。
メジャーのエース級が次々と“移行”していることによって、効率のいいセットポジションでの投球はさらに増えていくことになるのだろうか。