【明治安田J1リーグ 第36節 FC東京vs徳島ヴォルティス 2021年11月20日 14:03キックオフ】 ボールを置…
【明治安田J1リーグ 第36節 FC東京vs徳島ヴォルティス 2021年11月20日 14:03キックオフ】
ボールを置いた永井謙佑から、決して目を離さなかった。
「チームのいい流れを切りたくなかったですし、止められるか止められないかがチームを勝たせられるかどうかの際だと感じていました」
徳島のゴールキーパー、上福元直人は試合後そう語った。
徳島の1点リードで迎えた58分、ペナルティエリア内でジエゴと中村拓海が高く上がったセカンドボールを競り合う。しかし、どちらにも当たらない。バウンドしたボールにジエゴが反応して足を上げると、そこには勢いよく突っ込んで先にボールに触れた安部柊斗の顔があった。
PKを獲得した東京は、永井がキッカーとなった。視線を外さない上福元と、視線を合わせない永井。右足で蹴られたボールは、上福元の手に収まった。
コース・スピードともに甘いものではあったが、どんなに甘いものでも逆に飛んでしまっては決められてしまう。最後まで相手を見て先に体勢を崩さないこと、蹴られたボールに対して、弾かずにキャッチできるという冷静な判断と対応をすること。それらができたからこそ、上福元はこうコメントを続けた。「今までトレーニングしてきたことを大事な試合の大事な場面で出せたことを、とてもポジティブに受け止めています」
■「チームワーク」について語っていた
徳島の象徴である岩尾憲は「勝敗自体は自分にとって重要ではなく、どういうふうに振舞ったか、何によって勝つ確率が上がったか、というプレーの質の方が重要だと思っています」と試合後に語った。これはこういう状況だからあえてそう言っているわけではなく、度々出るコメントだ。彼は過去にチームワークというものについて“1人1人が責任を持って役割をしっかり果たせば、それもチームワーク”ということを言っている。
それぞれがしっかりプレーできれば、きっと結果がついてくる。
このPKの場面に限っては、役割を果たすこと=勝利、という非常にわかりやすい構図となったが「徳島は良いチームだ」とあらゆる所で言われているのは、そういうことを感じさせる試合を続けているからだろう。
自分がすべき役割を、いつも通りのことを90分間やりきる。こういう状況になっても自分たちの姿勢を決して崩さない、いつもと違うことをやり始めない。そういうブレない部分を試合を通じて見せているからこそ、どんなサッカーがしたいのかがはっきり伝わってくる“良いチーム”と感じさせられるのだろう。