東京オリンピック終了から約2か月半、次なる五輪へ向けての動きが始まった。地元大会でメダル獲得を逃した日本代表は、どのよ…
東京オリンピック終了から約2か月半、次なる五輪へ向けての動きが始まった。地元大会でメダル獲得を逃した日本代表は、どのようにしてパリ大会での「リベンジ」へと進むのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が、その第一歩をリポートする。
日本代表は、リオデジャネイロ・オリンピック予選を兼ねた2016年のAFC Uー23選手権では決勝戦では浅野拓磨の活躍などで韓国相手に大逆転劇を演じて、優勝してオリンピック出場権を手に入れた。
だが、その2年後の同大会(中国大会)では日本はグループリーグを3戦全勝で勝ち上がったものの、準々決勝でウズベキスタンに0対4で完敗を喫してしまっている。そして、記憶に新しい2020年の大会(タイ開催)では、日本はグループリーグ敗退だったのだ。
もちろん、2018年大会では日本は規定より2歳下のUー21代表で出場しており、Uー23ウズベキスタン代表はその3年前のUー20ワールドカップ以来強化を積み重ねてきた、非常に完成度の高いチームで、2018年大会では優勝したチームだった。また、2020年大会では、日本以外の国はオリンピック出場権獲得を目指して準備を積み重ねてきており、モチベーション面でも日本を上回るものがあったのは当然だった。
しかし、いずれにしてもUー23選手権を勝ち抜いて、オリンピック出場権を獲得するのはそれほど簡単なことではない。
まして、2024年大会は予選を兼ねるために同年の早い時期、おそらく従来通り1月頃に開催される公算が強い。直近の大会が中国、タイ、ウズベキスタン開催だったので、2024年大会は中東開催となる可能性も大きい。
1月は、日本ではシーズンオフに当たる時期であり、中東はシーズンの真っ盛りという時期であり、そうした難しい条件がいくつも重なるわけだ(もっとも、手倉森誠監督のチームが優勝した2016年大会は1月にカタールで開催されたのだが……)。
■次の香港戦で期待されること
カンボジア戦でも、間違いなく準備不足が露呈していた日本代表。互いの立ち位置を確認し、ベンチからも指示の声が飛び続けるような中での実戦で、選手たちは決まり事を確認しながらのプレーとなって、非常に窮屈そうな印象だった。そんな中で、右サイドから中に切れ込むなど、自由度の高いプレーをした甲田英將が活躍したのは当然のことだったかもしれない。
10月28日に行われる香港戦では、戦術的な基本は抑えながらももっと自由にプレーすることが要求されるだろう。日本代表の富樫剛一監督はすべての選手を観察したいだろうから、大幅にメンバーを入れ替えてくるはず。そして、チームに合流したばかりだった週末にJリーグでプレーした選手たちも、コンディションを回復してプレーできる。短期間ではあるが合同トレーニングを積み、1試合の公式戦を戦った経験も加わる。さらに、ピッチコンディションも回復することであろう。
従って、香港戦では間違いなくカンボジア戦より良い内容の試合ができるはずだ(そうでなかったら大変なことになる)。
■チームづくりに立ちはだかる問題
しかし、2024年のオリンピック予選への最大のシミュレーションとなる2022年のAFC Uー23選手権できちんとした内容の試合をして、その後につなげるためには、チーム作りを急がなければならない。
Jリーグの日程と重複することもあるだろうし、年代別代表では海外組の招集も難しい。
だが、それでも招集可能なメンバーだけでも代表を組んで試合を積み重ねて、チームとしての実戦経験を上げていかなければならない。本来なら大会形式の試合に出場することが望ましいだろうが、それが不可能であれば親善試合を組んで、試合数をこなすことがこのチームにとっての最大の課題ということになる。
もちろん、新型コロナウイルス感染症の影響は他国も同様ではあろうが、代表優先で強化を図ってくる国もあるだろう。ベトナムでは、パンデミックが進行した結果、国内リーグ(Vリーグ)が中断してしまったと聞くが、それを逆手にとって代表の活動日数を増やすことだって可能だ。
現場での準備とともに、日本サッカー協会として、技術委員会として、知恵を出してこの難関を乗り越えていってほしい。それが、パリ・オリンピックでのメダル獲得という夢を実現するために必要不可欠の条件ということになる。