「THE ANSWER スペシャリスト論」女子プロゴルファー・北田瑠衣「THE ANSWER」が各スポーツ界を代表するアスリート、指導者らを「スペシャリスト」とし、第一線を知る立場だからこその視点で様々なスポーツ界の話題を語る連載「THE …

「THE ANSWER スペシャリスト論」女子プロゴルファー・北田瑠衣

「THE ANSWER」が各スポーツ界を代表するアスリート、指導者らを「スペシャリスト」とし、第一線を知る立場だからこその視点で様々なスポーツ界の話題を語る連載「THE ANSWER スペシャリスト論」。女子ゴルフでツアー通算6勝を挙げた北田瑠衣(フリー)が「THE ANSWER」スペシャリストの一人を務める。2006年から10年連続でシード権を保持した実力者。ゴルフ界のトレンドやツアーの評論、自身の経験談まで定期連載で発信する。

 今回は「プロゴルファーとスポンサーの関係性」。ゴルファーって年間どのくらいお金がかかるの? プロアマ戦って何のためにあるの? ゴルフをあまり知らないライト層のファンにもわかるよう、北田が選手の立場から解説する。

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 プロゴルファーである以上、お金は必要になってきます。ウェアや用具、ボールなどは契約していた場合は提供してもらえますが、それ以外の経費は全て個人で負担します。移動にかかる費用、宿泊費、プレーするためのプレーフィーも必要です。

 仮にシード選手として開幕戦のダイキンオーキッドレディスから最終戦のJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップまで年間全38試合に出続けるなら、経費だけで1000万はかかります。さらにトレーナーやコーチ、専属キャディー、マネージャーを付けている人はお給料も払っていますし、経費もさらにプラスされる形になります。トーナメントで予選落ちした場合、賞金はゼロ。経費の分、赤字になります。

 現役選手たちはオフになれば、新型コロナウイルスが感染拡大する前は海外の暖かいところで数週間に渡ってトレーニングもしていました。そういった経費はスポンサーから頂いたお金でまかなっています。獲得賞金が1億円を超えるような選手でもない限り、サポートは選手にとって本当にありがたいものです。

 契約金も一律ではありません。年間100万円のケースもあれば、1000万円、1億円のケースもあります。通常最も高額になるのは所属契約です。所属になると、記事になった時などに自分の名前の後に企業名が入ります。

 ウェアに企業のワッペンを入れたり、帽子やバイザーにロゴをつけたりもしますが、一般的には契約金額の順に目立つ場所に名前を入れるケースが多いです。キャップやバイザーのつばの部分、キャップの両サイド、両袖という順で、袖は右と左でも金額が変わります。ほかにもキャディバッグや、最近では選手の横に常についているキャディーとスポンサー契約を結び、身に着けているものにスポンサーロゴを入れるケースもあります。

 今はほとんどの選手がマネジメント会社に所属しているので、マネジメント会社や広告代理店を通じてスポンサー契約のお話を頂くケースが多いようです。私自身は初優勝のタイミングでマネジメント会社のサポートを受ける形になりましたが、初めてのスポンサーも同じ時期。プロになってからお世話になっていたゴルフ場でした。

プロアマ戦がきっかけでスポンサー契約を結ぶケースも

 プロアマ戦がきっかけでスポンサーになって頂くケースも少なくありません。実際に私もご一緒した企業から、後日スポンサー契約のお話を頂いたこともありました。プロアマ戦は、多くはトーナメント前日にトーナメントのスポンサー関係者とプロが一緒にラウンドするツアー恒例の行事です。

 大会を盛り上げるために尽力して下さっている関係者に楽しんでもらうためのもので、試合によっては有名人の方が参加されることもあります。プロアマ戦は基本的にチーム対抗戦。個人のストロークではなく、1つのボールを交互に打ったり、それぞれがショットしてから最もいいポジションにあるボールを選んで進めたりするようなケースもあります。

 チーム戦ですから、必然的に和気あいあいとした雰囲気になります。その中でアマチュアの方から求められればアドバイスをしたりもしますし、中にはプロよりも飛ばす方がいて盛り上がったり、凄く楽しくプレーできます。

 プロアマ戦は凄く大事だと思っています。今は女子プロの年齢もどんどん下がっています。20歳そこそこで普段なら出会うことのできない有名企業の会長、社長の方々とゴルフをしながら、色々なお話を聞くことができます。貴重な場所ですよね。そういう方がスポンサーとして、トーナメントを支えてくださっている。プロとしていいプレーを見せるのは当然大事です。“おもてなし”と言ってはなんですが、そういう場で楽しくプレーしてもらうのも凄く大事だと私は思っています。

■北田瑠衣 / THE ANSWERスペシャリスト

 1981年12月25日生まれ、福岡市出身。10歳でゴルフを始め、福岡・沖学園高時代にナショナルチーム入り。2002年プロテストで一発合格し、03年にプロデビュー。04年はニチレイカップワールドレディスでツアー初優勝し、年間3勝で賞金ランク3位。05年には宮里藍さんとペアを組んだ第1回女子W杯(南アフリカ)で初代女王に。06年から10年連続でシード権を保持した。男女ツアーで活躍する佐藤賢和キャディーと17年に結婚し、2児のママとして子育てに奮闘中。(THE ANSWER編集部)