6月13日(土)に、西岡良仁(日本/ミキハウス)によるオンラインテニス教室「N論」が開催された。第8回は「世界に出たらキミに何が待っている!?」をテーマに。小学生から大学生までの率直な質問に、…

6月13日(土)に、西岡良仁(日本/ミキハウス)によるオンラインテニス教室「N論」が開催された。第8回は「世界に出たらキミに何が待っている!?」をテーマに。小学生から大学生までの率直な質問に、西岡が自らの体験を交えながらアドバイスしていった。【動画】ジョーウィルフリード・ツォンガ vs 西岡 良仁/全仏オープンテニス2021 1回戦

「N論」は、西岡を中心として保護者・教育者・メディア・パートナー企業など多くの人がつながって自由に語り合う場としてスタート。“これからのテニス”を担う世代の可能性を広げることを目的に、定期的に開催されてきた。

今回のテーマは、「東京オリンピック」というグローバルな一大イベントの開催予定が間近に迫ることから、世界に目を向ける機会を持とうと設定。西岡自身も「テニス選手は、海外で活躍してる人がとても多いです。僕自身も海外遠征をたくさん経験しているので、テニス選手から見た世界などを話していけたら」と語った。

■幼い頃から世界を知らないと、活躍するのは難しい?

最初は、「幼い頃から留学をしていないと世界で戦うのは厳しいのか?」という質問が寄せられた。これに、西岡は「テニスに限らず、早いに越したことはないです。でも、遅いからダメということもないと思う」と回答。

幼い頃から世界を知ることのメリットは、固定概念がないからいろんなことが吸収しやすく、何事も新鮮に捉えられること。一方で、成長してからは良し悪しを自分の頭で考えることができ、知識を貯められること。西岡は、「何歳からでも、新しい世界を経験することによって強くなることはできます。大事なのは、外に出てみようと思うこと」と語った。

西岡自身は、日本では同世代に負けなしとなった頃、中国遠征に参加し、台湾のジュニアNo.1選手に敗北。「同世代に負けることがあるんだと、新たな気付きがあり、世界って広いなと思いました」と笑った。

しかし、「海外に行けば強くなれる」というのは、間違いではないが、正しくもないと説く。「自分に合っている場所かどうか、ということが大事で、日本の方が合うという子もたくさんいます。海外へ行くことは確かに可能性を広げるけれど、第一ステップにすぎません。そこから“何をするか”を考えられるかどうかで、強くなれるかどうかが決まる」とアドバイス。

続いて、「海外に出て一番ワクワクすることは?」という質問には、「日本では出会えないような体格の人たちと出会えた。パワーが違えば、ボールのはね方一つも違う。多種多様なテニスが出来るのが、毎回おもしろかった」「私生活でも新しい発見だらけ。日本のルールは通用しないし、いろんな人の、いろんな正しいが存在するんだなと気付く」などと、実体験を交えながら話を進めていった。

そして、語学については「僕は、ひたすら“話そう”という努力をした。話さないと、何も分からないんですよ。分からなくても話すというのが大事。例えば、アメリカに住んでいる人がみんな、完璧な英語を話しているわけではないんです。曖昧な英語でも生活できるから、通じる話し方をしたほうがいい。他の人種の人たちの考え方が分かるようになってくると、面白みが増えて、別の世界観が広がるから」と助言していた。

■新コーナー「N論ワンポイントレッスン」重要なのは”フォロースルー”

N論では、この回から新企画を始動。事前に自身のテニスのプレー動画を提出しておくと、西岡が直接テニスのお悩み相談に乗ってくれるという嬉しい企画だ。動画と共に寄せられたのは「フォアハンドを強く打つには?」「スピンをかけた力強いショットを打つには?」「バックハンドを強く打つには?」というお悩み。

「フォアハンドを強く打つ」ためには、「体重が伝わりきっていないのかも。打ち終わりを長くすることは、僕もイメージしていることなんだけど、それだけで変わるよ」と西岡。

そしてスピンについては、「ナダルを思い出して。ナダルのショットに強烈なスピンがかかるのは何故か?腕が後ろにすごく伸びているんです。あれがパワーを出す秘訣」。バックハンドについては「利き手と逆の手で打つことを練習に取り入れるといい。逆手がうまく伝えれば、大きく振れるようになってパワーを伝えることができる」などと、すべてにおいて“フォロースルー”が重要であることを伝えていった。

今年のクレーシーズンを終えた今、西岡は「テニスの変化」と感じているという。「全仏オープン」2回戦で対戦したロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)を例に、「アグレッシブなテニスが出来ないと、この先勝ち残っていけない。僕も変わっていかなければと思う。でも、若い世代にはそれが当たり前になっているとも言えるので、活躍の土壌があるんだと思います」とコメント。

次なる大舞台は「ウィンブルドン」。パワープレーに対応するために、「ネットプレーへの強い気持ちを持つこと」を課題として挙げた。「サーブもよくなってきているので、噛み合っていけばチャンスは出てくると思っています。芝は今まで苦手としていましたが、一歩ずつ改善していけたら。ダブルスもがんばりたいですね」

また、「東京オリンピック」への代表入りが確実となった西岡に、参加者たちからは「がんばってください!」とエールが送られた。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「N論」での西岡良仁

(写真提供:N論事務局)