上原浩治(カブス)、41歳となった今でも衰えを感じさせず、メジャー8年間で残してきた投手成績の一つであるWHIPでは史上最高の数値を記録している鉄人右腕である。そんな上原がメジャーの強打者をねじ伏せてきたのは、わずか2つの球種。「球種は2つ…

上原浩治(カブス)、41歳となった今でも衰えを感じさせず、メジャー8年間で残してきた投手成績の一つであるWHIPでは史上最高の数値を記録している鉄人右腕である。
そんな上原がメジャーの強打者をねじ伏せてきたのは、わずか2つの球種。「球種は2つでも、投げ分ければ3つ4つになる」と上原は言う。
Vol.2では、上原浩治の投球マジックに迫る。 ※WHIP:投球回あたり与四球・被安打数合計で、投手の成績評価項目の1つである。

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メジャー屈指の鉄人右腕「上原浩治」神クローザーの魔術

生島>
上原さんの武器、これについてお伺いしていこうと思うんですけども、まず89という数字に思い当たる節はございますでしょうか?
 
上原>
89ですか、いや何ですかね。
 
生島>
89マイル、これが上原さんのフォーシームの平均球速。
 
上原>
いやもう出ないですね、今はもう87ですね、去年は87じゃないですか。
 
生島>
87とすると、日本に直すと140。
 
上原>
140kmでないですね、はい。
 
生島>
これはアメリカの中継よく聞いていると出てきますけど、90マイル以下で抑えられるのはマジックであると。 上原のフォーシーム《ストレート》の球速は140km以下。150km以上を出す投手が多い、メジャーでは異例な球速である。
 

 

「上原浩治」はなぜフォーシーム《ストレート》とスプリット《フォーク》のみで勝負できるのか

上原>
球種は2つですけど、きちんとコースに投げ分ければ、それが3つ4つになるわけですから。その2つを極めることの方が大事じゃないですか。
 
生島>
ちょっと握っていただけると嬉しいのですけども。まずフォーシームを見せていただけますでしょうか。
 
上原>
フォーシームは普通ですね。
 
生島>
じゃあスプリットの握りを。
 
上原>
まあいろいろと。典型的なのがこれですね。
 
生島>
いろいろとバリエーションがあるのですよね、縫い目とかにかけたりだとか。 その指先の感覚についてより深くお話を伺いたいなと思うんですけども。
 
上原>
まあでもフォークボールは指先じゃないですからね。
 
生島>
どの辺りですか?
 
上原>
ここですよ、第一関節のちょっと内側に入ったところですね。
 
生島>
じゃあペンだこができるあたりですね。
 
上原>
そうですね、その近くですね。ペンだこのあたりからまっすぐと同じように指を切るイメージですね。 まっすぐと同じ軌道にしないといけないんで。抜いてしまうと一回浮いてしまいますから、それはバッター気づきますから。
 
生島>
そこで見分けがつかなくなるわけですね。
 
上原>
そこを見極めるバッターはたくさんいると思うので、そこをいかに同じところから投げられるか。同じ高さ、同じ軌道で行くかっていうところで、真ん中くらいから落ちるのか、そのまま行くのかという違いでバッターは戸惑うと思います。
 

 

上原がメジャーでいかに今の投球術を身につけたのか

生島>
面白くなってきましたよ、いつくらいから今のように見分けがつかない投球術を自分のものにされたんですか?
 
上原>
ジャイアンツいる時からそういうイメージは常に持っていました。
 
生島>
メジャーに行ってやはり、ブルペンに回って今の様なスタイルが完成していった。
 
上原>
そうですね、渡米して2年目からですね。
 
生島>
じゃあオリオールズの2年目ぐらいから。 それがやはり生き残る道だったというか、そこに活路があったということでしょうか。
 
上原>
もう、終わっていいやと思ってずっと投げているんで。毎年毎年。 この日で終わっていいやって思って投げていますから。 潰れていいやって思ってやっているので。 その気持ちがうまいことボールに伝わっているんじゃないですか。
 
生島>
気持ちの面もやはり大事ってことですね。
 
上原>
それは大事だと思います。結局マウンドに上がって打たれそうだなとか、そういうマイナスな気持ちで上がっているピッチャーは絶対打たれると思うので。ビビってでも、抑えられるっていうプラスな気持ちにならないと。 マイナスでずっと考えると、間違いなく打たれると思いますね。
 
生島>
どうでしょう、やはり新しい変化球というのは?
 
上原>
覚えようという気はありますけど、それ以上に今持っているまっすぐとスプリットをどう磨くかっていう方を考えていますね。
 
生島>
今の武器を最高のものに高めていくっていうところの重要性ですよね。