3.28後楽園にてKO-D無差別級王者 秋山準は挑戦者 樋口和貞の挑戦を退けた。試合後、その秋山が次期挑戦者として指名したのは男色ディーノ。リング上でディーノは、KO-D無差別級のベルトに関わった選手の名前を口にした。KO-D無差別級ベルト…

3.28後楽園にてKO-D無差別級王者 秋山準は挑戦者 樋口和貞の挑戦を退けた。試合後、その秋山が次期挑戦者として指名したのは男色ディーノ。リング上でディーノは、KO-D無差別級のベルトに関わった選手の名前を口にした。KO-D無差別級ベルトの重みを、誰よりも理解する男色ディーノが4.11後楽園ホールで王座に挑戦する。

--3.28後楽園のメイン終了後、秋山選手が「(東京スポーツの)紙面を賑わせた奴が1人いる」とディーノ選手の名前を口にしました。その時の気持ちを教えて下さい。
男色ディーノ(以下 ディーノ):東スポの記事では、6月に行われる「CyberFight Festival(サイバーファイトフェスティバル)2021」で秋山選手が王座を防衛し王者としてビックマッチのリングに立ち、そこで「DDTの本流」である私と戦いたい、となっていたわ。だから秋山選手が防衛した時、リングに上がる準備はしていたのよ。
戦う時期や場所に対して私はこだわっていないけど…ただシチュエーションとして秋山選手と、6月の「CyberFight Festival 2021」で戦うと予想していたから、「DDTは私を信用していないな」と感じたわ(笑)。

--そんなことはないと思いますよ。
ディーノ:まあ、それならそれで良いってことよ。ビックマッチの際は集客のための準備が必要になるしね。そういう意味では「DDTの看板」として、今の自分は弱いのだなと感じたわ。ひがみとかではなく、「現在の自分の立ち位置」として受け入れようと思ったのよ。

--準備という意味では、指名を受けて4.11後楽園まで約2週間しかありません。通常の場合、1ヶ月くらい前にカードが発表され前哨戦が組まれますよね。
ディーノ:「いつ何時、誰の挑戦でも受ける」のがプロレスラーとされているので、今回のようなケースもあるのじゃないの(笑)。

--秋山選手は「DDTの顔として君(ディーノ選手)をリスペクトしているから。生半可な気持ちでやろうと言っていない」と発言されました。ディーノ選手の世界に秋山選手が踏み込むのか?踏み込まないのか?はたまたディーノ選手が引き込むのか?どんな展開になるのか興味があります。
ディーノ:どうなんでしょうね。本当に蓋を開けてみないと分からないのよ。秋山選手の気持ちになってみれば、あの人は自分のやってきたことに誇りを持っているタイプなので、「DDTでも、その部分は曲げませんよ」という意味で、私を挑戦者に指名した気もするの。私を屈服させれば、今後の所信表明になるしね。
ただ、私のプロレスに引き込むのが良いのか、どうなのか…でも今回「勝ちたい」わけよ。勝つためには、これまで積み上げてきた世界観を犠牲にするかもね。だからこれまでと違って、ちょっと頭を使う戦いになるかも知れないわね。

--秋山選手がDDTに参戦して、まもなく1年が経とうとしています。参戦が決まった時、ディーノ選手はいかがでしたか?
ディーノ:私は昔から「そこに誰々がいるからDDTだ」「誰々が居なくなったからDDTじゃなくなる」とかではなく「そこにあるものがDDTだ」という認識の仕方なの。
具体的にいうと、飯伏が抜けた。でも飯伏が抜けた状態が「今のDDT」なんだ、というのが私の考え方よ。仮に私が抜けたとしてもDDTが無くなるとも思わないし。誰が抜けたとしても「DDTは、その場に居る人たちが作り出すもの」なのよ。
だから秋山選手が来たから「DDTじゃなくなる」と思わない。それも含めてDDTだと考えているわ。
昔から「DDTは漫画雑誌でありたい」と思っているの。例えばジャンプ、ジャンプらしくない連載があっても、「ジャンプ」になるでしょ?そういった感覚でDDTを捉えているわ。だから秋山選手の本道が来ても、DDTという雑誌というかエンタテイメントは変わりないわ。
ただ秋山選手からすれば、DDTという雑誌は私の色が強かったのでしょうね。長期連載だから、そう思っているだけだと思いますよ。もちろん最近の若い人たちがやっているプロレスもDDTの一部です。やっぱり長期連載していたら、そのイメージが付きますよね。

--3.28後楽園で秋山選手とリング上でマイクのやりとりがありディーノ選手が引き上げた際、いつも以上に観客の拍手が大きかったように感じます。この拍手の大きさが4.11後楽園のディーノ選手に向けて、観客の期待の現れだと思います。今回の樋口選手、前回の遠藤選手等、KO-D無差別級のタイトル戦は真正面からぶつかり合う戦いが続きましたよね。
ディーノ:私のスタイルは変化球。直球・直球ときて、ここで変化球。これが私の役目だと思って戦っている部分もあるわ。秋山選手は豪速球です。ただ、DDTが反撃の狼煙を上げるために今回のカードを組んだのかとも思っているの。ここから攻勢に転じるためにね。
どこのプロレス団体でも、直球は投げられるのよ。DDTが、ここで変化球を持ってきたのは、それなりの意味があるのではないかと思うけどね。

--秋山選手とのタイトル戦で、ディーノ選手が想定しているプランはありますか?
ディーノ:結局、私が出来ることはそんなに多くないわ。まあ、秋山選手の想像を超えていくしかないでしょうね。

--それは秋山選手が、「これまで体験したことがない戦い」ということですよね。
ディーノ:試合の中でやれることは多くないと思うけど、戦う前の選択肢は複数あって「どれで行こうか」悩んでいるところよ。ただ今回は勝ちたい。どれが1番「勝ち」に近いのだろうか…どれだけシミュレーションしても勝てないのよ。だからどれが1番近いのか考えている最中です。

--当然ですが、今回は「勝ち」にこだわるのですね。
ディーノ:勝ちにこだわりたいわ。(少し悩んで…)でもここがDDTらしさかも知れないけど、その中で自分が曲げたくないものもあるの。だから自分の内面との戦いかもね。

--そう言った意味でも、4.11後楽園はイデオロギーの戦いなのでしょうか?
ディーノ:私はどう思ってもらっても構わないわ。でも私の中ではイデオロギーの戦いではないと思っているのよ。結局、スタイルを含めプロレスのリングで何を描くかは自由なの。DDTは、その自由度が広いだけ。
「何を選んで、君はそこにいるのか?」という話だから、秋山選手も私も突き詰めて考えると一緒のはずよ。

秋山選手は全日本プロレスの王道を突き詰め、自分なりに解釈し本道に辿り着いた。私はその道を選ばないように歩んできて、ここにいるの。方法論が違うだけ。それに関しては秋山選手も分かっているはずよ。
だから「君のことを(私のこと)リスペクトしている」という発言は、そういうことだと思っているの。

--今回、「DDTの本流とプロレスの本道の戦い」と言われています。ディーノ選手はディーノ選手で、長年ここまで積み上げてきたものがある。それを秋山選手にぶつけるということですよね。
ディーノ:何度言わせるの?さっきも言ったように方法が違うだけでやってきたことは、私も秋山選手も一緒なの。根本は同じよ。他人が何と言おうと、お互い積み上げてきたものをリング上でぶつけ合うだけ。

--それを外野が「イデオロギーの戦い」と言っているだけですね。最後に、この一戦を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
ディーノ:(少し考えて…)ただひたすら応援してくれ!としか言えないわ。私と秋山選手に色々な積み重ねがあるように、お客さんにも積み重ねがあるはず。
本人がどう思うのかは別にして、秋山選手はエリートと見られている人です。社会には一部のエリートと、それ以外の人がいるの。今回「それ以外の人の気持ち」を私が一旦全て預かります。背負わせて!と思っているの。そして4.11後楽園で背負ったものと積み上げてきたものを、秋山選手に全てぶつけるわ。

<インフォメーション>
4.11後楽園ホール「April Fool 2021」でKO-D無差別級王者 秋山準選手から指名を受け、タイトルに挑戦する男色ディーノ選手。詳細はDDTプロレスリング公式サイトをご確認下さい。→https://www.ddtpro.com/schedules/15385

また4.11後楽園ホール大会は動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEで生配信されます。→https://www.ddtpro.com/universe

男色ディーノTwitter→https://twitter.com/dandieno


取材・文/大楽聡詞
写真提供/DDTプロレスリング