「このモニュメントをきっかけに、1人でも多くの子供達が、スケートを始める子がいたらいいなと」平成生まれの東北人・羽生結弦の言葉は、どんなときも強く優しい。平成最後という節目にも、変わらぬ風格と凛とした佇まいも、頼もしく誇らしい。「荒川(静香…

「このモニュメントをきっかけに、1人でも多くの子供達が、スケートを始める子がいたらいいなと」

平成生まれの東北人・羽生結弦の言葉は、どんなときも強く優しい。平成最後という節目にも、変わらぬ風格と凛とした佇まいも、頼もしく誇らしい。

「荒川(静香)さんの隣に自分(のモニュメント)が2人並ぶ、というのは恐縮(笑)」

少年のように照れ笑いする表情は、偉業を成し遂げた“アスリート”というよりも、“東北人”??いや、仙台の“結弦くん”という呼び名が似合っていた。

杜の都・仙台に穏やかな春風が吹いた2019年4月20日、故郷・仙台で行われたモニュメント発表式へ姿をみせた羽生結弦。最高気温17.5度、概ね晴れ模様といった東北地方の空は、“結弦くん日和”で彩られる。

「前日からの設営の人にも感謝してますし、何よりも仙台市民、全国の応援してくださった方々に感謝したい」

モニュメントを眺める横顔は、東北の人たちが応援する“スケートの結弦くん”そのもの。およそ1年ぶりの凱旋は、ほんの僅かな空間と時間で厳かに執り行われ、式典の様子はYouTubeライブで瞬く間に世界中へシェアされた。

「記録として残るのではなく、歴史に刻まれるというのは凄いこと」

日本フィギュアスケート発祥の地とされる「五色沼」そばの地下鉄東西線「国際センター駅」前にそびえ建つ、3つのモニュメント。

コロナ渦で新しい生活様式が推奨される昨今、かつてのように“東北の春”と“結弦くん”が繋がることは、まだ少しだけ難しいかもしれない。

けれど、いつの日か。仙台の“結弦くん”が沢山の人たちに迎えられ、東北に笑顔をもたらしてくれる日を心待ちしたい。

東日本大震災で甚大な被害を受けた都市のひとつ、宮城県仙台市。

“仙台の結弦くん”が成し遂げた五輪二連覇という偉業は、今もなお“東北”という地域に勇気と希望をもたらす存在だ。10年という節目にも、そして、これからもずっと。“結弦くん”は東北とともに、強くたくましく、歩み続けてくれると信じたい。

文/スポーツブル編集部

画像提供/フィギュアスケートモニュメント事務局