「日々勉強の姿勢が自分を大きくしている」というELLY ダンサー、ラッパーとして名を馳せている三代目 J SOUL BROTHERSのELLY。アーティストとしてはもちろん、昨年11月からBSスカパー!のeスポーツ番組「e-elements…



「日々勉強の姿勢が自分を大きくしている」というELLY

 ダンサー、ラッパーとして名を馳せている三代目 J SOUL BROTHERSのELLY。アーティストとしてはもちろん、昨年11月からBSスカパー!のeスポーツ番組「e-elements GAMING HOUSE SQUAD」でMCを務め、さらに今年1月からはダンスリーグ「D.LEAGUE」のアンバサダーも務めるなど活躍の幅を広げている。

 ゲーマーとしては「リテイルローの村長」の名で知られ、自らチームを設立。「フォートナイト」の世界大会にも出場したほどの実力の持ち主だ。ちなみにフォートナイトとは、基本無料のシューティングゲームで、スマホ、PC、家庭用ゲーム機など様々なデバイスでプレーできる世界的なeスポーツタイトルの一つ。2019年には海外のeスポーツ大会で16歳のプレーヤーが優勝し、3億円超の優勝賞金を獲得したことで大きな話題となった。

 ジャンルの枠を超えて活躍するELLYに、現在のeスポーツ市場に求めるものや、本業での目標などについて話を聞いた。

――今年の1月、久々にフォートナイトをアップロードしたとツイートされ、多くのファンからは「おかえりー」などの歓喜のコメントが寄せられました。これはまた大きな企画の予兆なのでしょうか。

 本業の制作で忙しくてフォートナイトをしばらくやれていなかったんですよ。ただ最近はライブの期間に移ってきたので、少しずつプライベートの時間が取れるようになりました。意外かもしれませんが、ライブなどの実働の時期のほうが休みが多いんですよ。だからそろそろフォートナイトに戻るタイミングだなと思ってアップロードしました。

 あと、「ETERNAL(エターナル)」という大人数でオンラインプレーをするゲームのアンバサダーも務めているので、このゲームでも大会に出て上を目指せるチームを作りたいと思っています。

 ちなみにエターナルはプレースキルだけじゃなくて、ある程度資金力も必要になる珍しいゲームなんですよ。子供向けではなくて、金銭的に余裕のある大人向けのゲームです。投資家の方々もかなり参加しています。EXILE TRIBE軍団とそのファン、そして視聴者の皆さんとチームを組んでやりたいなと思っています。もちろんこのゲームでも日本一を目指したいですね。

――大会のお話が出ましたが、今後見てみたいゲームのリーグはありますか。

「eスポーツタイトル」と言われるゲームは、数が多いですよね。それぞれリーグが開催されていますが、今はそのゲームを好きな人だけが集まっている印象があります。しかもゲームの流行り廃りが早い。そうすると観戦する側にとって観にくいというか、ついていけない部分がでてきてしまう。だから実際のスポーツのように、時代が変わっても観戦できる、そんな普遍的なシステムを作ったほうがいいと思うんですよね。

 そう考えた時に、もっと総合的なリーグがあると面白いのかなと思いました。十種競技みたいにいくつかのタイトルを集めたら面白いんじゃないでしょうか。

 フォートナイトみたいなTPS/FPS(※1)、「ぷよぷよ」みたいなパズルゲーム、エターナルみたいなMMORPG(※2)などをセットにして、総合的にチームの順位を決めるシステムがあると、壁が壊れるというか、好きな人だけが集まるイメージは完全になくなると思っています。長い目で見られるような枠組みがあれば、観戦する側にとっても見やすいはずです。
※1:シューティングゲーム。TPSは「サードパーソン・シューティングゲーム」の略称で三人称視点シューティングゲームのこと。FPSは「ファーストパーソン・シューティングゲーム」の略称で一人称視点シューティングゲームのこと。
※2:マッシブリー・マルチプレーヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲームの略称で大規模多人数同時参加型オンラインRPGのこと。

――eスポーツを広めていくという意味ではとても面白い企画ですね。ここまではeスポーツの未来について語っていただきましたが、今後の本業における長期的な目標やアーティストとしての理想の形を教えてください。

 アーティストとしてはグローバル市場に突っ込んでいきたいですし、準備もしています。僕の軸はダンスなので、その世界では個人としても三代目JSBとしてものし上がっていきたいです。

 理想としている形は、音楽の部分はこう、マネタイズの部分ではこう、eスポーツの部分はこうって自分の中で5つくらいに分けています。その中で、いろんな人を尊敬して勉強することを常に心掛けています。ビジネスマン、起業家、ゲームで上手い人、そういう人たちを尊敬して学んでいく。「日々勉強」という姿勢が自分を大きくしていると感じています。

――その「日々勉強」という姿勢が、ELLYさんが多方面で活躍している秘けつなのでしょうか。

 そうですね。ただその分野で一番になりたいと思っていても、常に上には上がいます。それに、数ある生き方の中でアーティストが一番すごいとは思っていません。だからこそいろんな方面で活躍してる人の影響を受け続けたいんです。人から影響を受けることは本当に大事で、「すげぇ」「おおっ」って思える人たちと出会ってどんどん吸収してきて今の僕があります。歳を取ってもどんどん吸収していきたいですね。自分のフィルターを通して吸収すれば、自分らしい形で少しずつ積み重なっていくんですよ。結局、こういう姿勢が自信につながっているんだと思います。

――これまで尊敬し影響を受けた人の中で、一番印象に残っている方はいらっしゃいますか。

 うーん......めちゃくちゃいますね(笑)。いろんな面で影響を受けているので、「この人!」と挙げるのは難しいです。でも一番となると、おじいちゃんかな。僕が子供の頃にいつもおじいちゃんが言っていたのが、「桜の花は1年で2週間しか咲かないけど、そればかり見ていてはいけない。そのほかの時期にちゃんと種を撒き、ちゃんと水をあげて土を肥やさなくては、次の年に美しい花を咲かせることはできないと思いなさい。それはお前自身の人生にも言えること。常にそれを頭に入れながら生活しなさい」ということです。

 この言葉はダンスにも、それ以外の仕事にも生かされています。自分が「これはいい感じにできているな」と思ったことがあったら、そこで満足せずにすぐに種を撒いて、土も肥やして、次に備える。何かが崩れた時にも次のことが生み出せるように常に準備をしておく。これが僕の基盤になっている言葉ですね。

【Profile】
ELLY
9月21日生まれ、青森県出身。国内外問わず、数多くの有名アーティストのバックダンサーから振り付けまでをこなし、三代目J SOUL BROTHERSにパフォーマンスとして加入。その後三代目J SOUL BROTHERSをはじめ、多数のアーティストの楽曲の振り付けや構成に関わる。高いクリエイティブ力を生かし、パフォーマー以外にも役者、コレオグラフィー、ヒップホップアーティストなど幅広いジャンルで活躍している。