『特集:Jリーグが好きだっ! 2021』浦和レッズリカルド ロドリゲス監督インタビュー(後編) 今季から浦和レッズの指揮…

『特集:Jリーグが好きだっ! 2021』
浦和レッズ
リカルド ロドリゲス監督インタビュー(後編)

 今季から浦和レッズの指揮を執るリカルド ロドリゲス監督(徳島ヴォルティス→)。実は彼に聞きたいことがあった。

 日本代表は2018年ロシアW杯でベスト16入り。現在は2022年カタールW杯に向けてアジア予選を戦っているが、2017年から4年間、日本のサッカーに触れてきリカルド監督から見て、日本代表、さらには日本サッカー自体が進化しているのか、ということである――。

――日本に来て4年、その間、日本サッカーの成長についてはどう見ていますか。

「まず、日本のサッカー、J1のリーグ戦を見ていると、戦術レベルが高いですし、選手の技術も高い。欧州に行って、トップクラブでのプレーを目指す選手たちからは、野心があふれているのが見て取れます。

 では、世界のトップクラスの中に日本が入っているか? というと、まだそこまでのレベルには至っていません。ただ、私が見る限り、着実に成長していることは確かです」

――日本はW杯においてベスト8入りを目指しています。ベスト16の壁を突破するためには、どんなことが必要でしょうか。

「日本人は技術がありますし、努力することを厭わない。そのうえで、W杯の決勝トーナメントでは1回負けたら敗退という厳しい状況にありますから、その中で戦える強い精神力が必要となります。

 さらにベスト8に行くためには、1チャンス、2チャンスしかないところで決め切る決定力。それが求められます。組織力は高いレベルにあるので、ピッチの中のあらゆるエリアを支配しながら、チャンスを決め切ることができれば、ベスト8入りは狙えると思います」

――かつて、浦和にも多くの代表選手がいました。年代別の代表も含めて、チームから代表選手を出していくことも重要だと思うのですが、いかがでしょうか。

「そうなるのが一番です。(今のチームにも)ポテンシャルの高い選手がいるので、それがパフォーマンスにつながるようになっていけば、代表への道が開けるでしょうし、そこで活躍してくれれば、私はさらに幸せな気持ちになります(笑)。そうなることが、私たちの仕事がよかった、ということにつながるので」

 日本代表においては、実力がありながら、出場機会がない選手がどうしても出てくる。同様のことは、レッズでも起こり得る。質の高い選手が多く、自信に満ちあふれた選手が数多く在籍しているからだ。

 そうなると、出場機会を失った選手がストレスを溜め、チームの一体感に影響を及ぼしかねない。その辺り、リカルド監督はどう考えているのだろうか。

――浦和は選手層が厚く、力のある選手が出場機会を失う可能性もあります。そういった選手に対しては、どうアプローチしていきますか。

「徳島でもそうでしたが、私から選手に話をすることになると思います。チームを作り上げるためには、メンバー全員がプラスになる存在にならないといけません。選手には、試合に出場した際には全力で戦ってほしいと思っていますから、そのために私は、選手のパフォーマンスを評価しながら公平にメンバーを選んでいきます。

 ただ、場合によっては、それまで先発で出場していた選手がサブに回ったり、出られなくなったりする時もあります。そういう時は選手と話をします。そこで、選手に理解してほしいことは、監督は90分間で試合を捉えている、ということです。

 90分間で勝利を収めるためには、ベンチに座っている選手が最後の20分で仕事を全うすることも大事なことです。試合は総力戦だと考えています。チームの勝利を第一に考えて、自分のエゴを抑えることができれば、選手自身の成長はもちろん、チームの結果や成長にもつながっていきます」

――浦和はここ2年間、リーグ戦では下位に低迷。目指す方向性が定まらず、浦和のサッカーが見えなくなっていました。

「私が浦和に来たのは、まさにそうした状況を打破し、浦和のスタイルをここで作り上げるためです。私が日本に来た当初、浦和はゲームをコントロールするチームで、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)でも優勝をしていました。

 ただ、そのようなすばらしい歴史があるからといって、その時のチームスタイルに執着するようなことはありません。あくまでも、未来に向かって進んでいきたいのです。浦和には若くて才能にあふれた選手がいますが、彼らとチームを作りながら、同時にどのような選手が必要なのかも考えていきたい。そうして、浦和のスタイルを作るのが、私の狙いです」



リカルド ロドリゲス監督のもと、チームのスタイルを構築している浦和レッズ

――それは、日本で言えば川崎フロンターレ、海外で言えばバイエルンのようなチームなのでしょうか。

「2チームともゲームをコントロールしながらポゼッション率を高め、攻撃的なサッカーを展開しています。それらのように、新スタイルの浦和をみなさんに見せたいと思います」

――監督にはそのチャレンジの先に見据えるもの、秘めたる野心などもあったりするのでしょうか。

「将来的にはイングランドで指揮を執ってみたいという気持ちはありますし、そこに向かっていく道程を楽しむことも大事だと思っています。しかし今は、浦和で選手の成長に喜びを感じていますし、浦和での目的を実現し、目標を達成することだけを考えています」

 リカルド監督が何度も言っていたように、新たなチーム作りは決して簡単なことではない。まさしく一大事業である。しかも、リカルド監督はレッズのスタイルを生み出そうとしている。

 それをこれから育み、定着させていくためには、それなりの時間と忍耐が必要になるだろう。万が一、目先の結果だけを求めてしまうと、その一大事業は一瞬にして破たんしてしまう可能性がある。

 スタイルの定着は、我慢の歴史でもある。

 リカルド監督のチャレンジに対して、クラブ、選手、ファン・サポーターはどれほどの覚悟を持って、そのプロセスを楽しむことができるのか。レッズの未来を左右すると言ってもいい、大いなる挑戦がいよいよ始まる。

(おわり)

リカルド ロドリゲス
1974年4月3日生まれ。スペイン出身。スペイン各クラブのコーチなどを歴任し、2011年からサウジアラビアサッカー協会のテクニカルアドバイザーに。2013年にはU-17サウジアラビア代表の監督を務める。その後、スペインやタイのクラブで指揮を執り、2017年から徳島ヴォルティスの監督に就任。そして今季から浦和レッズの指揮官となった。