バレーボールの第73回全日本高校選手権は9日、準決勝が行われ、男子は駿台学園が市尼崎を下した。 2時間10分の激闘を制…
バレーボールの第73回全日本高校選手権は9日、準決勝が行われ、男子は駿台学園が市尼崎を下した。
2時間10分の激闘を制し、駿台学園の選手は雄たけびを上げた。2018年度の高校総体覇者にフルセット勝ち。2大会連続で決勝に駒を進め、梅川大介監督は「2年生がガス欠になったところで、3年生がやってくれた。紙一重でしのげた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
勝利の裏に、大黒柱の冷静な判断があった。試合序盤、ブロックに跳ぶ中島彬(2年)の上から、市尼崎のエース坂本雄大(3年)に強打を打ち込まれた。ここで動いたのはセンターの金田晃太朗(3年)。「自分が一番ブロックに自信がある」と中島に代わり、自己判断で坂本のマークについた。
相手の決定率を下げるだけでなく、要所で坂本の強打をブロック。最終セット5-4でも相手エースを一人でシャットアウトし、勝利を引き寄せた。金田は「不安もあったけど、最後は気持ちが勝った。体が勝手に動いてくれた」と笑顔を見せた。
普段は口厳しい指揮官が「あんな選手見たことない」と舌を巻く跳躍力が持ち味。「もも裏の筋肉で跳ぶ一般的な選手と違って、腱の力で跳ぶ。だからノンステップでも高さが出せる」と梅川監督。コロナ禍での地道なトレーニングも功を奏し、最終セットでも高さを維持し続けた。
前回大会は決勝で東山(京都)にストレート負けを喫した。リベンジしたかった相手は、3回戦を前に欠場。当初は「東山がいない中で日本一になってどうなんだろう」と戸惑いもあったが、東山がいても「日本一といわれるチームになろうと意識を統一してきた」と金田。4大会ぶりとなる頂点まではあと1勝。「最後は気持ちが強いチームが勝つ。泥臭くても1点を積み上げて、必ず日本一になる」。悔しさを糧に、この1年で磨いてきた成果をぶつけてみせる。(川峯千尋)