フォートナイトに出てくるウォーターワークのポーズ「フォートナイト下手くそおじさん」としてYouTubeで発信し続けている小籔千豊さん。『フォートナイト』は基本無料でスマホ、PC、家庭用ゲーム機など様々なデバイスでプレーできる三人称視点(操作…
フォートナイトに出てくるウォーターワークのポーズ
「フォートナイト下手くそおじさん」としてYouTubeで発信し続けている小籔千豊さん。『フォートナイト』は基本無料でスマホ、PC、家庭用ゲーム機など様々なデバイスでプレーできる三人称視点(操作しているキャラクターの姿が見える)のシューティングゲームだ。小籔さんが2020年2月に開設したYouTubeチャンネルは現在10万人の登録者を有し、2021年1月には親子向けの大会にもゲストとして招待されるなど、フォートナイトコミュニティで活躍を見せている。
小籔さんがどっぷりとハマったフォートナイトは、本人にとってどのようなゲームなのか。フォートナイトへの思い入れや、ゲームを通して息子に伝えたいことを聞いた。
インタビュー前編『小籔千豊がフォートナイトにどハマり。「はよ息子寝ぇへんかな」』>>
――YouTubeチャンネルを開設した際、なぜ「フォートナイト下手くそおじさん」の匿名チャンネルにしたのでしょうか。
周りからも「なんで新喜劇とか小籔の名前を出さへんの?」って言われましたね。でも、俺は別にYouTubeで一山当てたいわけじゃないんですよ。俺はきっと一山あてられへんやろうし。自分の場合は堂々とフォートナイトをプレーして、上手くなりたかっただけなんです。
それに、YouTubeという絶対になめてはいけない世界にお邪魔するわけです。フォートナイト関連のYouTuberさんたちも、みんなゼロから始めて徐々に周りに認められてきたわけじゃないですか。だから、自分もただの「フォートナイト好きのおっさん」としてゼロからスタートしたかったんです。「小籔です」と言うのは、フォートナイトの世界の人たちに認めてもらってからでええと。
ただ、とりあえず生配信やってみたら全然人が来ないんですよ。1~2人とか。3人になったと思ったら、また1人。しかも、見ているのが嫁さんや息子だったりするんですよ。東京にいるおっさんが大阪の家族に向けてゲーム配信しているだけっていう状況が1カ月くらい続きましたね。
――配信を始めた頃にある辛い時期ですね。ただ、今では小籔さんであることを明かしています。何がきっかけでしたか。
俺が何も言わなくても、周りから「あいつ、小籔らしいぞ」と言われ始めたんですね。小さいコミュニティで口コミみたいに広がっていって、少しずつ視聴者数が伸びていったんです。そんな折にフォートナイト開発元のEpic Gamesさんから仕事が来て、「顔出しでお願いします」と。公式の人に認められたんだから、このタイミングでオープンにするしかないと思いました。
――フォートナイトにハマる前とハマった後でプライベートに変化はありましたか。
前は空き時間にドラムの練習をしたり、後輩と外食したりしていたんですけど、2020年は新型コロナウイルスの影響もあって家でフォートナイトばっかりやっていました。暇な時に見る動画も、以前は音楽とか健康系のチャンネルだったんですが、今はフォートナイトの動画ばっかりですね。
――ちなみに、悪い変化はありましたか。
いい面の方が多いんですけど、強いて挙げるなら我慢する場面が増えたことですね。2019年は何も我慢することがなかったから、音楽番組への出演やレコーディングのためのドラム練習にすんなりと行けたんですよ。でも今は「あー、フォートナイトやりたいけど、ドラム練習せなやばい」と、奥歯を噛んで行かないといけなくて......。
その分、前よりも集中力が上がりましたね。短い時間で終われば、フォートナイトをやる時間が増えるので、前以上に集中して収録や練習に臨めるようになりました。結果的に良い面なのかもしれません。
あと、フォートナイトを始めて一番良かったのは息子との会話が変わったことですね。それまでは親子でちょっと会話がズレていたんです。前に息子がパソコン教室で曲を作ったと聞いたことがあったんですよ。その曲だと思って聞いてみたらめっちゃ良い曲で「これ自分で作ったん? すごいな」って言ったら「鬼滅の歌やで」と。当時は『鬼滅の刃』を知らなかったんですよ。
――今はフォートナイトがあるのでそのズレはなくなりましたか。
そう。今は「この前(フォートナイトの)シーズンが変わったけど、パパはどう思う?」みたいな会話になりました。ゲームに新しい要素が追加されたらその話になるし、息子が俺の配信を見て「もっと素早く動かないと敵に撃たれる」とアドバイスもくれて。前までは父と子としての会話しかなかったけど、今は友達みたいな会話が増えました。たまに息子が師匠になる場面もあります。自分よりも息子のほうが詳しいことって現状ほかにはないので、ゲームならではの関係性ですよね。
ほかにも、「本番の前には基礎練習が大事」っていうのを改めて感じました。アスリートやアーティストも試合や本番を想定して反復練習を繰り返すわけじゃないですか。フォートナイトには練習ができるクリエイティブモードっていうのがあるんですけど、クリエイティブをするのとしないのとではアリーナ(試合)でのパフォーマンスが変わるんです。
練習があって本番。これって当たり前のことですよね。これは子供の教育面でも意味があると思うんです。息子に対しても「テストがフォートナイトにおけるアリーナだとしたら、日々の宿題はクリエイティブやぞ」と言ったことがあります。ゲームを通して世の中の「当たり前」を勉強してくれたら、勉強でも仕事でも絶対に役に立つはずです。言葉で聞くことはあっても、実感できる機会はほとんどないでしょうし。フォートナイトを通して少しでも学んでくれたらとてもいいなと思います。
――小籔さんは2020年1月24日に、親子向けのeスポーツ大会「フォートナイト 親子で挑戦!ビクロイチャレンジ」に息子さんと一緒に出場されます。大会に向けて息子さんと何かお話されていますか。
息子はそこまで意識していないと思いますね。ただ、前に「パパの配信を見てくれている人は画面の向こうにいる他人じゃなくて、パパや小籔家がお世話になっている人っていうのを忘れたらアカン。お世話になっている方々のところへお邪魔して、『やらせていただきます』くらいの気持ちで配信に出なさい」と伝えたことがあります。そうしたら、俺の配信に出た時になぜか敬語で話すようになっていて。だから、色々なことを自覚して大会に出てくれると信じています。
――小籔さんの生活において、フォートナイトとYouTubeは明らかにいい影響を与えていますね。
ホンマにそうですね。俺は先輩YouTuberやフォートナイトにお世話になったので、何か恩返ししたいと思っています。「小籔がYouTubeチャンネルを始めて良かったな」とか「あいつ頑張ってんな」と思ってもらいたいんですよね。
あと、これからは大人のみなさんにゲームのいい部分を伝えていきたいです。ゲームって悪い部分が取りざたされることが多いんですけど、いい面もたくさんあるから。ゲームの世界でも、子供にルールやモラルを教えられる指導者がいたら、もっと良くなるはずです。武道のように、フォートナイト道、ゲーム道のようなものをみんなで作っていければいいなと思っています。
【Profile】
小籔千豊(こやぶ・かずとよ)
1973年9月11日生まれ、大阪府出身。吉本新喜劇座長。バンド・吉本新喜劇ィズとジェニーハイのメンバー。
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