東京女子プロレス 1.4後楽園ホールで挑戦者・辰巳リカを迎え撃つプリンセス・オブ・プリンセス王者の坂崎ユカ。辰巳とは同時期に東京女子に入門。「ベルトを獲って有名になりたい」とライバル心剥き出しの挑戦者・辰巳に対して、至って冷静なチャンピオン…

東京女子プロレス 1.4後楽園ホールで挑戦者・辰巳リカを迎え撃つプリンセス・オブ・プリンセス王者の坂崎ユカ。辰巳とは同時期に東京女子に入門。「ベルトを獲って有名になりたい」とライバル心剥き出しの挑戦者・辰巳に対して、至って冷静なチャンピオン・坂崎ユカ。新春大一番、戦いの行方は!

<前編はこちらから>

--試合前のルーティンはありますか?
坂崎:スイッチの切り替えが難しいんですよ。なのでアンモニアを吸っています。試合開始前に吸うとスイッチが入りますね(笑)。

--アンモニアですか!
坂崎:はい、アンモニアは吸います。

--匂いでスイッチを入れるレスラーの方に初めてお会いしました(笑)。ところで、こだわっている道具はありますか?
坂崎:コスチュームですね。ずっと履いている「かぼちゃパンツ」です。プロレスをしていて女子というと華やかさが大切だと思うんですけど、闘いの中で集中できない場面があるんですよ。例えば、アンダーが出てしまったり、コスチュームの生地が気になって動けないとかあると思うんですけど、それを防ぎたい。私は動きを見て欲しいので、「かぼちゃパンツ」にしていますね。

--2019年11月、中島翔子選手を破って2度目のプリンセス・オブ・プリンセス王座を戴冠しました。
坂崎:この時、すぐにでも防衛戦がしたかったです。ただ今年の1月、いきなり山下が挑戦して来たので、出鼻を挫かれたというか、つまずいたというか…勝ちましたけど(苦笑)。前回が防衛回数0だったので「最多防衛するぞ」という気持ちでした。

--チャンピオンになって変わった事はありますか?気持ちであったり、行動であったり。
坂崎:(少し考えてから…)チャンピオンになる前から、私は東京女子に恩があると思っています。常に「2013年に高木さんに拾ってもらった」という気持ちを持っています。ですから王者になったから気持ちや行動が変わった事はないですね。その前から動いています。

--新型コロナの影響で大会が中止になりました。有観客の試合が行われたのが6月でした。久しぶりにお客さんの前で行った試合はいかがでしたか?
坂崎:当たり前だと思っていたことが、当たり前じゃなくなった…有観客で行った最初の試合は「みんなも大変なはずなのに、なぜ東京女子に付いてきてくれるんだろう?」って、こちらも感謝の気持ちが強くなって、お客さんに対しての愛が深くなりました。
強がりを言ってしまえば「無観客の時でも画面越しに見ていてくれる」と理解していたので試合は出来ましたけど、やっぱりお客さんがいてくれるのといてくれないのは全く違いますね。このような状況なので「声を出してくれる」とか「触れ合える」訳ではありませんが、いてくれるだけで安心できます。

--今年11/3はTDCホールという後楽園ホール以上の会場で開催、挑戦者はタッグパートナーである瑞希選手でした。試合中も感極まっている場面が見受けられましたが…
坂崎:瑞希は見た目も細いし寒がりだし、常に心配する存在です。でもプロレスに関しては怪我もしないし、怪我をしていたとしても、それを言い訳にして何かを諦める人ではないと思います。だからシングルで闘ったら楽しいし、良い試合になると思っていました。ただ、どこかでやり難さを感じました。

--それは試合を見ていて感じました。やはり常に一緒に戦っているタッグパートナーだから、闘うとなるとやり難いですよね。
坂崎:そうですね。でも人間として、すごい変なやつで「かまって欲しいけど、かまって欲しくない」とか。気を許している人に対しては暴言を吐いたりするし。自分でも素直じゃないことに気づいていたりするし。
だから私が試合で手を抜くようなことがあれば、多分怒って2度と口を聞いてくれないだろうし、瑞希本人が勝っても怒るだろうし負けても怒るんだろうし…倒すしかないと(苦笑)。

--元々タッグを組む時も、たまたまパートナーになったとか。
坂崎:2018年、「たまたま」抽選で決まりした。気を使わずに言い合える仲なので、居心地はいいですね。

--最後の場面で、TDCホールの入場口の前で改めてお客さんに向けて、マイクなしで挨拶をしましたね。
坂崎:東京女子の選手が横一列になって、かなり場所を取っている訳ですよ(笑)。でも、その列が私にとっては圧巻で、横を見れば仲間たちがいる。前を見るとお客さんがいる。「コロナ禍で、これだけの人が集まってくれた」と、グシャグシャになってました(笑)。

--そしていよいよ来年1.4後楽園で辰巳リカ選手の挑戦を受けることになりました。高木さんにプロレス入りを直訴した時のお二人ですよね。
坂崎:リカとは紆余曲折あるんですけど、お互いプロレスラーになってからは2人の歯車が噛み合わなくなっています。練習を始めたのは一緒の時期ですが、リカは立て続けに怪我をして、思い通りに行かないことを体感しています。同じ時期にプロレスを始めたけど、微妙に違いを感じていると思いますよ。
12.12成増大会の試合後のマイク「ベルトを獲って有名になりたい」という発言を聞いて、これがリカの本音なんだろうなと。思い通りに行かなかった分、その中で一生懸命もがいているのかなと思いますけどね。

--そういう気持ちの辰巳選手をチャンピオンとして、どのように迎えようと思いますか?
坂崎:自分はすごく冷静になっているんですよ。今までの山下・中島・瑞希とは違って、落ち着いている自分がいます。リカに対して…すごく冷静な気持ちで見ていると言いますか、正直響いてこないんですよね。
12.26板橋で年内最後の試合がありますが、そこのカードも組まれるか分かりませんし(※取材時点では不明)。「やれるなら、やって来いよ」という気持ちですかね。

--チャンピオンとして辰巳選手の全てを受け止めるぞ、という心境なんですね。
坂崎:そうです。

--2020年は新型コロナの影響があり、誰もが我慢を強いられる1年でした。坂崎選手にとっての2020年はいかがでしたか?
坂崎:「こんな人生を送れる人は、なかなかいないんじゃないか」と思えるほど濃ゆい1年で、何も思い通りに行かない。4月に東京女子でアメリカ大会が予定されていて、これを誰よりも楽しみにしていて。「東京女子のみんなでアメリカに行ける」「そこでタイトルマッチができる」そこから東京女子が、また変わっていくんだろう、と思っていたらバツンと道が閉ざされてしまいました。
海外への渡航も伸びてしまって。そんな環境の中で自分に出来ること・やらなければならないことを、より整理整頓できたと思っています。だから新技開発に踏み切れた。精神的に強くなったからこそ「ファイヤーバード」も完成させることが出来た気がしていますね。
ステイホーム期間中は自宅で練習し、道場での練習が解禁になった後は、みんながやっていない時間を借りて技の練習をしていました。結構前から取り組んではいたんですけど、私の精神的な弱さから、どうしても足で着地をしてしまったり身体の一部を痛めてしまったりと思い通りに行かなくて。
「自粛になって道場が使えない」となった時、「この期間に完成させるしかない」と思い自分を追い込んで出来るようになりました。

--いろいろと耐えることで学んだことや完成した技があった2020年、そして2021年はどのような1年にしたいですか?
坂崎:まだコロナが終息している訳ではないので、なんとも言えないですけど、「攻める時は攻めて、守る時は守る」という姿勢でメリハリをつけて、そしてコロナが終息する時まで、実力をつけて行こうと思っています。

<インフォメーション>

6年連続開催となる東京女子プロレス「イッテンヨン」後楽園ホール。メインイベントはチャンピオン坂崎ユカ選手が、同期である辰巳リカ選手の挑戦を受けるプリンセス・オブ・プリンセス王座選手権。詳細はこちらをご確認ください→https://www.ddtpro.com/schedules/14770

また1・4後楽園大会の模様はインターネットテレビ局ABEMAの格闘チャンネルで生配信され、動画配信サービス「WRESTLE UNIVERSE」では初の全編英語での実況生中継が行われます。

ABEMA視聴URL→https://abe.ma/2ISG16P

WRESTLE UNIVERSE→https://www.ddtpro.com/universe

坂崎ユカTwitter→https://twitter.com/YukaSakazaki

坂崎ユカInstagram→https://www.instagram.com/enjoygirl1227/

取材・文/大楽聡詞

写真提供/DDTプロレスリング