12月27日から宮崎県宮崎市で行われる「NPB12球団ジュニアトーナメント2016 supported by日能研」。各チーム18名の精鋭小学生が日本一をかけて戦う大会も今年で12回目。過去には、松井裕樹投手(楽天)、森友哉捕手(西武)、高…

12月27日から宮崎県宮崎市で行われる「NPB12球団ジュニアトーナメント2016 supported by日能研」。各チーム18名の精鋭小学生が日本一をかけて戦う大会も今年で12回目。過去には、松井裕樹投手(楽天)、森友哉捕手(西武)、高山俊外野手(阪神)らを輩出した同大会で、指揮官はどんなことを思うのか。
 今回は、横浜DeNAベイスターズジュニアの監督を務める鈴木尚典監督に話を聞いた。

練習を見つめる鈴木尚典監督(ベイスターズジュニア)

鈴木尚典(すずき・たかのり)・・・1972年4月10日生まれ。静岡県浜松市出身。横浜高から1990年ドラフト4位で大洋(後の横浜、DeNA)で入団。1998年に2年連続の首位打者、日本シリーズMVPを獲得する大活躍で横浜の日本一に貢献。2008年に現役引退し、現球団職員(野球振興担当)。2013年からベイスターズジュニアの監督を務める。

★この活動が終わったとき、「もっと野球を好きになって欲しい」
————まず、この18人の選手選考で大切にしたことはどんなことでしょうか?
鈴木 スタッフ全員で見て、(応募者)580人の中の18人を選んだので、どの選手もレベルが高いです。バランスが取れている子ももちろんですが、一芸があるという部分も評価に入れています。それは足が速いとか球がメチャクチャ速いとか球を遠くに飛ばすとか。そういう能力の子も選考の中に入れて、(9月から12月までの)4ヶ月かけて成長させようという感じでやっています。

————指導の中で大切にしていることは、どんなことでしょうか?
鈴木 僕だけじゃなく、コーチも元プロ野球選手なので、レベルの高いところを求める指導をしてしまうことがあるのですが、ふと考えると「あ、まだこの子たち12歳の小学生なんだよな」って(笑)。じゃあ、「自分が小学生でここまでできたかな?」って考えながら、極端に難しいことを言ってはいません。自分たちも目線を下げて、同じ目線で会話をしてあげられるように意識し、4ヶ月接してきました。
 あと、一番大事なのは「もっと野球を好きにさせてあげる」ことが僕たちの役目かなと思います。もちろん優勝を第一目標にやっていますけど、それと同じくらい、この活動が終わった時に、もっと野球が好きになっていて欲しいなと思いますね。

————やはり「野球が好き」ということが原点になりますか?
鈴木 やっぱり「野球が好き」っていうことは、子供だけでなくプロ野球選手でもそうなんですよ。自分はプロを18年やりましたけど、36歳でユニフォーム脱ぐまで、野球少年のような「もっと上手くなりたい」って気持ちを持っていました。「もっとヒットを打ちたい」「もっと守備も走塁も上手くなりたい」って気持ちを持っているかが大事なんです。子どもたちは、これからの可能性を持っているので、そういう気持ちをさらに上げてあげたいなと思ってやってきました。

★練習は「良い結果を残すための準備」
————目指す野球は、どんなものでしょうか?
鈴木 こういう(理想の)野球というより特に勝ちたいです。目指すところは優勝しかないです。今年が12回目ですけど、まだ横浜は優勝してないので。多くの応募の中から選ばれた子たちなので、ここで練習するだけでも上手くなっていきますし、見ていて本当に楽しいですよ。本当にプロ野球選手になりたいっていう子ばかりなので意識が高いです。

————この活動を通して、どんなことを持ち帰って欲しいですか?
鈴木 (結成してから)たった4ヶ月なんですけど、やっぱり「準備の大切さ」を教えてきました。やっぱり、どんな良いプレーをするにしても、「準備がすべて」。それを小学生のうちから分かっていて欲しいです。実際、僕はそれが分かったのが25歳くらい。タイトルを獲った時くらいに分かったので。それを小学生のうちから分かっていたら、もっと凄い成長ができると思うし、僕は小学生の頃にそんな意識ではやっていませんでしたから。経験者として教えられるのは、そういうことかなと思います。

————それは、野球以外でも通じることですね。
鈴木 練習をどういう意識でやるか。練習を、「良い結果を残すための準備」と思って取り組めたら、すごく成長できます。練習というと、「大変、キツい」というイメージですが、「準備」ってなったら、きつい感じはしませんよね。プロ野球でも、何万人もの前で活躍するためと思ったら、練習もきつく感じませんでした。良い選手ほど、良い準備をしっかりしているので、12歳のうちから覚えてくれたらいいな、と思います。


ベイスターズジュニアの指導陣。写真左から、北川利之コーチ、鈴木監督、小山田保裕コーチ

取材・構成・写真=高木遊
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