我慢の時期を経てやっとこの大舞台を迎えられた。どれだけ大会がなくなり落ち込もうとも、集大成となる全日本大学選手権で優勝という思いを揺るがず持ち続け、練習に励んできた。そんな待ちに待った今大会の初戦では九州共立大と対戦。1、2セット目は、サ…

 我慢の時期を経てやっとこの大舞台を迎えられた。どれだけ大会がなくなり落ち込もうとも、集大成となる全日本大学選手権で優勝という思いを揺るがず持ち続け、練習に励んできた。そんな待ちに待った今大会の初戦では九州共立大と対戦。1、2セット目は、サーブで相手レシーブを乱しブロックで仕留めるという早稲田の強みが存分に発揮され快勝した。大幅にメンバーを入れ替えた3セット目は自チームのミスで失点を重ね苦しい展開になったものの、何とかこのセットも奪取。結果、セットカウント3-0(25-9、25-12、25-22)でストレート勝利を収めた。

 サーブで相手の守備を乱して多彩な攻撃を封じ、ブロックで仕留める練習を積んできたという早大。1セット目は序盤からそのプレースタイルが遺憾なく発揮された。特にそれが顕著に表れたのは、大塚達宣(スポ2=京都・洛南)にサーブが回ってきた13-7の場面。強烈なジャンプサーブで相手レシーブを崩し、攻撃に参加するスパイカーが絞りやすくなったことから、常に2枚以上のブロックが付きスパイクを次々にシャットアウト。ブロックで5得点をあげ、さらに大塚の2本のサービスエース、相手のミスで22-7まで引き離した。その後は宮浦健人主将(スポ4=熊本・鎮西)のスパイク等で得点し、25-9で締めた。2セット目も同様、相手に思い通りの試合運びをさせない。徹底されたリードブロック(※1)のほかにも、相手を欺く中村駿介(スポ4=大坂・大塚)のトスワークが生きたスパイクで連続得点を重ねた。17-10では上條レイモンド(スポ3=千葉・習志野)・大塚の2枚ブロックで攻撃を粘り強く封じ、1点をもぎ取る場面もあった。これに思わず相手は2回目のタイムアウトを要求。それでも早大の勢いは止まらず、このセットを25-12とした。

 

この試合大塚は2本のサービスエースを決めた

  3セット目は大幅なメンバーチェンジを行った。セッターに仲濱陽介(スポ3=愛知・星城)、レフトに吉田悠眞(スポ3=京都・洛南)、重藤トビアス赳(スポ2=神奈川・荏田)、センターに秋間直人(スポ2=愛知・桜台)、岩本大吾(スポ2=兵庫・市立尼崎)、ライトに中島明良(法2=京都・洛南)、リベロに北川諒(教3=東京・早実)が入った。普段、部内の紅白戦でレギュラーメンバーと対戦しているBチームの選手たちだ。「最近Aチームと善戦していたが、今季初の大会に途中出場ということもあり力を出し切れなかった」と吉田が話すように、プレーに硬さが見られた。序盤の4連続得点で差をつけたものの、サーブやスパイクのミスを連発し、チームに焦りが生まれる。それでも秋間、岩本のセンター線を中心とした攻撃で応戦。終盤まで一進一退の攻防が続くも、21-22での中島のスパイクを皮切りに4連続得点し25-22に。初戦をストレート勝利で終えた。

 


3セット目は大幅にメンバーを入れ替えた

 1、2セット目ではこれまでのサーブとブロックの練習の成果が顕著に表れた。サーブで相手守備を崩すことができたため、攻撃枚数は絞られ徹底してリードブロックを行えた。また直接自チームに返ってきたサーブレシーブや、十分な体勢で打たれなかったスパイクはチャンスボールとなり、余裕を持って多彩な攻撃を展開できた。だがメンバーを大きく入れ替えた3セット目では各々が本来の力を発揮することができず、スパイクやサーブでのミスが続いた。「全日本インカレでは何が起こるか分からない状況だからこそ、誰が出ても同じようなプレーができるチームにしたい」と宮浦主将は話す。『誰が出ても強い早稲田』を実現できるかどうかが今後のカギを握るだろう。

(記事 西山綾乃、写真 平林幹太)

 
(※1)リードブロック…相手のスパイクを見てするブロック

★Today’s Feature 第2回 堀内直人

  前人未到の四連覇に挑む早大。選手の実力の高さはもちろんのこと、その強さを支えているのは裏方である。「裏方のサポートあっての早稲田」と宮浦主将が話すように、その活躍は直接目に見えるものではないが、サポート陣の働きは確かに強さの基盤を築いてきた。今回は部内初の学生トレーナーであり、アナリストも兼ねる堀内直人(スポ2=愛知・滝)にスポットを当てる。

 


試合後に選手の体のケアを行う堀内

 バレーボールに全力で関ることができる環境を求め、早大バレー部の門をたたく。全国的に有名なプレイヤーが集うチームで選手として活動することへの限界を感じていたこともあり、当時からアナリストでの入部を希望した。アナリストの勉強をする傍ら、スポーツ科学部の授業で人体についても学んだ。得た知識をアウトプットすべく、チームのトレーナーから指導を受けることもあった。「アナリストもやりたいけど、トレーナーもやりたい」。2年時から部内初の学生トレーナーとしても活動し、アナリストとの二足のわらじを履くことになった。

  アナリストとトレーナーを兼ねるのは、堀内ただ一人だけ。周りに迷惑をかけ大変だと思うこともある。だが、データの共有や体のケアを行うことで選手が試合で思い通りのパフォーマンスをしている姿を見ると、アナリストとして、そしてトレーナーとしての自分の仕事に価値があると感じられるという。慣れないことに試行錯誤する日々だが、堀内の挑戦がチームのさらなる飛躍を支える。

(記事・写真 西山綾乃)

 

セットカウント
早大25ー9
25-12
25-22
九州共立大
スタメン
レフト 大塚達宣(スポ2=京都・洛南)
レフト 水町泰杜(スポ1=熊本・鎮西)
センター 村山豪(スポ4=東京・駿台学園)
センター 上條レイモンド(スポ3=千葉・習志野)
ライト 宮浦健人(スポ4=熊本・鎮西)
セッター 中村駿介(スポ4=大坂・大塚)
リベロ 荒尾怜音(スポ1=熊本・鎮西)

コメント

松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)

――全日本インカレを迎えて率直にどう思われましたか

東京のコロナの状況があまり良くない中なので、まず開催ができたということにホッとしています。学生たちも安心したんじゃないかなと思います。

――相手チームの印象とどのような印象をお持ちになったか教えてください

九州共立もスポーツ科学部があってバレーボールで入学してくるというのを聞いていたので、ですからいいチームだなと思いましたね。思い切ってやってくるチームに対して、我々がどう立ち向かうかというのが勝負だと思うんですけど。受けに回らずチームの精度を高めようということが意識されていたので、1、2セット目に出たチームに関してはそこが良かったなと思いますね。逆に3セット目に出たチームは自分のチームのことができなくて、相手のペースになってしまった。向かっていかなかったですね。その部分は点数に現れたなと思います。

――少し自チームのミスが目立ったなという印象でした

そうですね。点数をあげてしまう。ちょっとしたことなんですけど、僕から見たら、基本的な足を動かすとかのしっかりしないといけないところも疎かになっていて。そういうところがミスにつながったと見ていて分かりましたよね。

――きょうの勝因は何だと思われますか

自分たちの中で一つでも多く試合をしたいという中での位置付けがしっかりできていたなと。つまり、自分たちの練習してきたことを出し切るんだということが1、2セット目はできていたので、いいゲームだったと思います。

――それはサーブで崩してブロックで仕留めるということでしょうか

そうですね。そのバレーをやってきたので、それがきょうできていましたね。

――明日以降、選手たちに期待することは何ですか

やってきたことをどれだけ出せるかということですね。それは今だけじゃなくて、将来的にも自分たちの自信にもつながると思います。とにかく持ってる力を全部出す、それだけですね。

宮浦健人(スポ4=熊本・鎮西)

――きょう全日本インカレを迎えられて率直にどう思いましたか

きのうまでは全日本インカレ開催の実感が湧きませんでしたが、きょう始まってみて「インカレが始まったんだな」という感じがしました。あと久ぶりの公式戦だったので、すごく楽しかったです。

――きょうの勝因はどこにあると思いますか

みんな自分たちのパフォーマンスをしっかり出そうと意識していたし、実際できていたのでそこが勝因かなと思います。

――相手チームの特徴を教えてください

相手は全体的に身長が小さかったのですが、クイックが速かったり、速いトスをサイドに散らしてくるなという印象でした。

――きょうはサーブで相手レシーブを崩してブロックで仕留めるという、早稲田の強みが出ていたように思いました

今年の武器はサーブだと思いますし、サーブからのブロックというところも11月くらいからそういう練習をしてきたので、その成果が出ていて良かったなと思います。

――3セット目はBチームが出場していましたが、ご覧になっていかがですか

途中に危ないシーンはありましたが、今後も全日本インカレでどういうことが起こるか分からないという状況なので、ベンチのメンバーも出場する可能性はあると思います。誰が出ても同じようなプレーができるようにするということを今年のチームの目標として掲げてきたので、その反省は明日につなげていきたいと思います。

――最後に次戦に向けての意気込みをよろしくお願いします

明日は大阪産業との試合ですが、ベストを尽くすということと、試合に出る選手、ベンチにいる選手、応援する選手を含め、全員で頑張りたいと思います。

吉田悠眞(スポ3=京都・洛南)

――全カレの一戦目を迎えました。率直な感想は

「やっと」という気持ちですね。今まで春リーグ(春季関東大学リーグ戦)と東日本インカレ(東日本大学選手権)がなくなり、秋リーグ(秋季関東大学リーグ戦)の代替大会も中止になってしまいました。4年生と試合ができるのは最初で最後の全カレなので、この大会に向ける気持ちはすごく大きいです。

――今日の出場のタイミングはあらかじめ決まっていましたか

そうですね。今まで大会をしてきておらず連戦に慣れていないので、できるだけAチームに疲労をためないように僕たちも試合に出ることを予定していました。今日は2セット目の途中から出場するということを伝えられていました。

――ご自身のプレーを振り返っていただけますか

まだまだ、全然駄目でしたね。最近はAチームと戦ってもBチームはかなり良かったのですが、慣れない体育館での今期初大会に途中出場という状況で力が発揮できず、表情も固くなってしまいました。しかしそれを言い訳にしていたら駄目なので。それでもやり切るのが控えの選手の仕事だと思っているので、明日以降もチャンスがあれば今度はしっかりと役割を果たせるように頑張ります。

――AチームとBチーム、どちらにも出場されました。それぞれの雰囲気はいかがでしたか

やっぱりAチームの方がバレーを楽しんでいるという感じがありました。Bチームは最初の方にミスがあり、慌てて視野が狭くなってしまいました。そう言った意味ではAチームは気楽に戦えている印象がありました。

――3セット目の結果をどのように受け止めていらっしゃいますか

松井先生からも「初戦だから仕方のない部分はある」という言葉はかけていただきましたが、自分たちのやるべきことができていませんでした。この大会は自分たちのやってきたことを出す場でもあるので、もっと出し切りたいです。

――明日以降に向けて意気込みをお願いします

明日以降も必要とされる場面があると思うので、どんな場面で起用されても自分らしいプレーがしたいです。まずは、バレーボールを楽しんで、笑顔をつくってやっていきたいです。

岩本大吾(スポ2=兵庫・市立尼崎)

――初戦を終えられました。今大会にかける思いは

今年は公式戦が次々と中止になり、チームの中心になってきてくれた4年生たちにとって良い大会になるよう準備をしてきました。その準備通りになるといいなという思いです。

――第3セットでの出場はあらかじめ決まったものでしたか

これまで連戦の経験がないチームなので、スタメンで出ているメンバーが長期戦を戦っていくと考えたとき、初戦は僕らが出るかもという話はされていました。ですが決まっていたかと言われるとそうではないですね。

――出場が決まったときのお気持ちは

試合前からも監督から「やってきたことを出すだけ」と言われていたので、自分のプレーを100%出せるように意識していました。

――ポジション柄コートの内側と外側からチームを見る機会があったと思いますが、雰囲気などはいかがでしたか

自分がムードをつくる役割なのかなと思っているのですが、正直そんなにムードは良くなかったです。ですが下がったAチームのメンバーがベンチから声をかけて、やりやすい環境をつくってくれました。自分も外側から見られたので良かったかなと思います。

――ご自身のプレーを振り返っていかがですか

先月後半あたりからずっとAチーム対Bチームというゲーム練習が多く、最終的にセットを取れたこともありました。全カレに向けて、自分も含めてチーム全体でピークをもってこられているのかなと思います。

――今後への意気込み

自分は明日ベンチ外ということが分かっていたので、今日出せるぶんは出しました。チームとしては明日以降、4年生の最後の舞台を良いものにできるように頑張っていきたいと思います。