初回は、芦刈太一(商4=東京・筑波大駒場附)、遠藤遼(スポ4=神奈川・法政二高)の2人。ラストイヤーで迎えた今年の関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)、そして4年間にわたって苦楽を共にした同期への思いについて語っていただいた対談となった。※この…

初回は、芦刈太一(商4=東京・筑波大駒場附)、遠藤遼(スポ4=神奈川・法政二高)の2人。ラストイヤーで迎えた今年の関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)、そして4年間にわたって苦楽を共にした同期への思いについて語っていただいた対談となった。

※この取材は11月10日に行われたものです。

「一人一人の役割がはっきりしていた」(遠藤)


秋季リーグを振り返る遠藤

――秋季リーグは準優勝という結果となりましたが、このリーグ戦を振り返ってみていかがでしたか?

芦刈意外に良かったなといった感じでした。もちろん優勝を目指していたんですけど、なかなか(対戦校の)ネームバリュー的にも今年は厳しいリーグ戦になるだろうなと考えていたので、そういうことを踏まえると今年は良かった気がします。最後は試合ができなかったですけど、それ以外は全勝ということでよかったかなと思っています。

遠藤僕はやっていて楽しかったので、最後の年で楽しかったというのはよかったです。自分のことを言えば去年はあまりうまくいかなかったのでそういう意味としても今年は良かったなと思っています。最後の試合ができなかったのは少し心残りですが、ただそれ以外の試合を全て勝てたのは誇りに思います。

――昨年度と比べかなり大きく順位を伸ばし全ての試合を白星でリーグ戦を締めくくりましたが、その要因はどこにあると思われますか

遠藤今年と去年の何が違うかというと一人一人の役割がはっきりしていたというところが1番大きなところかなと思っています。それと+ αで言うと誰が出ても同じクオリティーのプレーをできていたというところだと思います。去年までだったら結構極端な話、ベンチに入っていても出られる人が決まっていたという印象があったんですけど、ただ今年はベンチにいる全員を使うよって感じだったので。だからそういったところで言えば信頼度というか同じクオリティーを出せるからベンチにも入れるから頑張れよというそういう雰囲気があったのが、去年と違いますし誰が出ても同じクオリティーだったというところが強みだったのかなと思います。

芦刈今年は結構チームとしてのまとまりがあって。遼星(阿南遼星、スポ4=大阪・大体大浪商)自体が結構リーダーシップを発揮していたところがありながら、それぞれも自分のチームとしての役割を理解していたという部分があったのかなと思います。それが遠藤が言っている全員が同じクオリティーを出せると言うところにつながっていたのかなと思います。

――リーグ戦での個人での/チームでの反省点は何かありましたか

芦刈チームとしてはセットオフェンスの得点力というところは結構なくて、それで結構苦しい時間もあったりしたのでそこら辺は課題だと思います。

遠藤個人的なところになってしまうのですが、僕はもう少し点を取りたかったなと思っていて。こういうところは4年目にして少し悔しいなと思うことです。

――秋季リーグで一番印象に残った試合を教えてください、またその理由もお願いします

遠藤日体大戦ですね。1番最初の初戦を1点差でもいいから勝ち切れたというところが大きかったですね。そこの試合を勝つ負けるでリーグ戦を通しての早稲田としてのカラーというのが出せるかどうかが決まってくると思うので。そういったものを、俺たちのやってきたこと+早稲田の伝統というものを出しながら勝てたというのが大きかったのです。やっぱりそこが1番の(リーグ戦の)ターニングポイントだったのかなと思います。

芦刈まぁ、僕も同じですかね(笑)。

――今季リーグでは4年生のみならず下級生の活躍も目立ったリーグ戦となりましたが、来年度に下級生に期待したいプレーは何かありますか

芦刈僕は匠(中村匠、スポ3=千葉・市川)と青沼(青沼健太、スポ3=千葉・昭和学院)ですね。日体大戦は最初点が取れていなくて、でもそうした中で口火を切ってくれたのは2人だったんで。まぁただ今年のリーグ戦は4年生が出ていることが多かったので、来年以降に4年生がたくさんいなくなったあと、今年活躍してた人もそうじゃない人もリーダーシップ的な部分を発揮できることを期待したいです。

遠藤僕は今年は今年だし来年は来年だと思っているのでその代になるとわからないとは思います。ただ、早稲田というチームの伝統は引き継ぎながらその年の自分たちの1番生かせるプレーをやってチームを作ってくれたらいいなと思っています。自分たちのチームの強みというのを生かしてくれるようなプレーに期待したいです。

――今、お話に上がった早稲田の伝統というところはどういったものでしょうか

遠藤礼儀かなとは思います。どのチームもやっているとは思うんですけど、早稲田はやっぱりいろんなOBの方もいらっしゃるし僕たちも他のチームから見られて恥ずかしくないような態度だったりを見せるというところがハンドボール以外の部分での伝統かなと思います。

「これからの糧になるようなものをいっぱい得た」(芦刈)


4年間の思い出を語る芦刈

――今年度でお二人は引退されてしまいますが、率直に今までの4年間を振り返ってみていかがですか

遠藤うーん、まぁ充実していましたね。

芦刈充実していないって言われたらどうしようかと思いました(笑)。

遠藤高校は結構厳しいところだったのでケチョンケチョンにされていたんですけど(笑)。でも大学に入ったら違う環境で。高校は先生主導だったけど大学は学生主体だったので、自分でやらなきゃだめだったというのが大きかったです。自分で色々と考えてやらなきゃいけないという意識が芽生えたのは成長したかなと思います。

芦刈意外と大学って自由というか学生主体だと思うよね。僕は遠藤と違って中学高校は部活動にあまり力を入れていないしコーチも監督もいなかったので。大学に入ったらぼんやりと監督とかコーチに指導をされてそういう中でやるのかなと思っていたんですけど、意外と早稲田はそうでもなくて。そういったところは入ってみて意外だったことでした。

遠藤あとは、同期が良かったかなって思うね。本当に同期に何度救われたことかわからないです。ハンドボールに対してもそうですし私生活なんかも同じ学部だったりで一緒に勉強したりもしたので、そういった面で恵まれていたのかなと思います。

――この同期でよかったと思う何か具体的なエピソードなどは何かありますか

芦刈僕は1年生の頃が自分のレベルと同期とのギャップがあって、でもそういう時に一緒に自主練をしたりだとか同期との仲が良かったりっていうのは良かったなと思っています。そういう同期のおかげで逃げずに済んだと思っています。

遠藤ハンドボールだとやっぱり僕の個人的なことになってしまうのですが、高校の時の時も同期が10何人いてすごい環境だったんですけどやっぱりハンドボールに対する温度差っていうのを感じていて。ちょっとそういうところではもし同じ温度差でできていたらもっと楽しいのかもしれないのになと思っていました。それがなかなかうまくできないまま高校卒業して大学入ったときに自分より上手い人がいっぱいいるのでそういう人たちに合わせなければいけないしそういう温度感っていうのは合っていたからこそ今すごく充実しているのかなと思っています。やっぱり同期とかの温度感が合っていたというのは良かったなと思っています。

――この4年間でどういったところが一番成長したと思いますか

遠藤先輩の背中を見ながらプレーをしていたので毎日が勉強でしたし、早く追いつきたいというのがずっとありました。すごい刺激を受けながらやれたということがあって、だから4年生になってからはそれを還元しなきゃいけないと感じていました。本当にその4年間で多分、人としてハンドボールのプレーとしてもよくなったのかなと思います。先輩との関わり合いをすごく大事にしていたので先輩と関われたのはすごく良かったなと思います。

芦刈大学という上下関係があって勝ちへのこだわりも競争もあってっていうそういうタフな環境の中で、入った時は自分がうまくなかったので自分の立ち回りじゃないですけど自分のカラーを出していたりだとか人間関係の中で色々なことにトライしていっていました。ただ来年度以降は1年目にまた戻るので、そういった意味ではこれからの糧になるようなものをいっぱい得たと思っています。

――早大に入ってから一番印象に残っている試合はありますか

芦刈2つ上のインカレ(全日本大学選手権)の筑波戦ですね。結構勝ち方が劇的だったのでかなり印象に残っています。僕は上の応援席から見ていて、その時はうまくなくて試合に出たいという自分の気持ちはあまりなかったというか、自分の実力なら試合に出られなくてしょうがないって思っていたんですけど、ただああいう試合を見るとキャプテンとかは「全員で勝ち取った勝利だ」と言っていたんですけど僕は自分自身が勝利は全く貢献できていないと思っていたので、あの試合があって自分もコートに立ちたいという気持ちはかなり強くなったかなと思います。

遠藤僕は1個上の代の秋リーグの立教戦ですね。僕、その時干されてて(笑)。全く試合に出れらなくて、今思えば良い経験だったと思えるんですけど全くベンチにも入れないし試合も出してもらえないっていう状況に萎える時期もありました。ただ、その試合がきっかけで試合に出てシュートも決めれて、その後の試合につながることができたので自分が人として成長した瞬間だったのかなと思います。

――この学年での1番の思い出は何かありますか

遠藤プレー面だとミニミニ(菅記念ミニミニカップ)かな?(笑)。

芦刈あー、それね(笑)。公式戦とはまたちょっと違う感じのリーグ戦があるんですよ(笑)。

遠藤3年だけでチーム組んで、僕と芦刈の2人で代わる代わるキーパーしてね(笑)。あれは楽しかったですね。

芦刈同期全員で試合出てたもんね。

遠藤キーパーってめっちゃ痛いんだね。びっくりしちゃった(笑)

芦刈俺は遊びでキーパーやってたことがあったから知ってたけどね(笑)。

遠藤プライベートでは同期で箱根行ったことあって。だいたい他のイベントは1人欠けていたりするんですけど(笑)。

芦刈楽しかったね、本当に(笑)。

「感謝の気持ちというのが伝わるようなプレーというのをできればいいな」(遠藤)


引退試合となる早慶戦への思いを話す遠藤と芦刈

――引退試合となる早慶定期戦では、どういったようなプレーをしていきたいですか

芦刈まぁ、最後なんで悔いを取り返すチャンスはないので4年間やってきたことを出せたぞって思いながら終われたら良いなって思っています。

遠藤僕は小学校からずっとハンドボールをやっていてもう10年以上にやっている中で、その最後の試合が早慶戦になるので一区切りというか集大成として見せられれば良いかなと思います。やっぱり父と母も直接見たいなと思っていたと思うんですけど今年はどうしても無観客になってしまうので。父と母だけでなく色んな人に支えてもらっていたのでそういう人たちに感謝の気持ちというのが伝わるようなプレーというのをできればいいなと思っています。

――ご自身で思う早慶定期戦の見どころはどういったところでしょうか

遠藤1つのイベントみたいな感じなので楽しんでみてほしいと思います(笑)。今年の早稲田の色だったり慶應の今年の色だったりというのが見られるのが見どころなのかなと思います。

芦刈やっぱり阿南キャプテンかな(笑)。みんなの気持ちを背負っているんで7mスローとか絶対外さないと思いますね(笑)。

――最後に意気込みをお願いします

遠藤勝ちます!

芦刈監督とかにも試合前になると「何年も負けてない」っていうプレッシャーをかけられるんですけど(笑)。そういう意味では内容もそうですけどまずは勝って終わりたいと思っています!

――ありがとうございました!

(取材・編集 高橋さくら、栗林真子)


これまでの4年間を振り返っての一言を色紙に書いていただきました!

◆芦刈太一(あしかり・たいち)(※写真左)

1998(平10)年6月21日生まれ。173センチ。東京・筑波大駒場付属高出身。商学部4年。色紙に書いた『信』という言葉には同期を見ていて自分(達)を信じるということの大切さを感じたという意味が込められているそうです。引退試合となる早慶戦でも己を信じた熱いプレーが見られること間違いなしです!

◆遠藤遼(えんどう・りょう)(※写真右)

1998(平10)年6月9日生まれ。174センチ。神奈川・法政二高出身。スポーツ科学部4年。小学校から10年以上にわたってハンドボールを続けてきたその一区切りが早慶戦になると話されていた遠藤選手。試合を通して今まで支えてきてくれた人に『感謝』を伝えられるようなプレーをしたいと意気込まれていました!