山口俊がFAで巨人へ移籍したDeNA。創設5年目で初のCS進出を果たしたチームにおいて、11勝を挙げたチームの勝ち頭の流出は痛手となるが、来季は19年ぶりのリーグ優勝&日本一を目指して戦い抜かなければならない。果たして、先発ローテ争いはどう…

山口俊がFAで巨人へ移籍したDeNA。創設5年目で初のCS進出を果たしたチームにおいて、11勝を挙げたチームの勝ち頭の流出は痛手となるが、来季は19年ぶりのリーグ優勝&日本一を目指して戦い抜かなければならない。果たして、先発ローテ争いはどうなるのか、今季の戦いぶりをもとに占う。

■井納が山口の「代役」から「主役」へ、石田&今永も当確

 山口俊がFAで巨人へ移籍したDeNA。創設5年目で初のCS進出を果たしたチームにおいて、11勝を挙げたチームの勝ち頭の流出は痛手となるが、来季は19年ぶりのリーグ優勝&日本一を目指して戦い抜かなければならない。果たして、先発ローテ争いはどうなるのか、今季の戦いぶりをもとに占う。

 ラミレス監督は今季、原則6人で先発ローテーションを組み、山口を「エース」と呼び、期待を寄せてきた。そのなかで、山口に代わる柱として期待されるのが、井納だ。

 そもそも、井納は今季、山口の「代役」として存在感を発揮した1年だった。広島との開幕戦では右足首捻挫の山口に代わって開幕投手に抜擢され、ラミレス監督に就任初勝利をプレゼント。オールスターでは左足首捻挫の山口に代わって出場すると、初出場したCSでは右肩違和感で山口が不在の中、巨人とのCS第1ステージ初戦、続く広島との最終ステージ第2戦でともに勝利し、大舞台で無類の強さを誇った。7勝11敗と負け越しこそしたが、先発ローテを1年間守り、実績、経験ともに来年は山口の「代役」ではなく、先発陣の「主役」を任せられるだろう。

 若い左腕2人も期待は大きい。2年目の石田は山口に次ぐ9勝をマーク。5月には月間MVPを獲得するなど1年間ローテを守り、11月の強化試合で侍ジャパン初選出。ルーキー・今永は12球団新人トップの8勝をマークし、防御率2.93と安定感を誇った。ラミレス監督は「井納、石田、今永が来年の開幕投手の候補になる」と話しており、この3人が先発ローテは当確といっていいだろう。

■ベテラン、若手、新加入…残り3枠は混戦

 残り3枠は、混戦の争いとなる。実績でリードするベテラン・久保は、今季は自己最少の15試合登板で5勝にとどまり、巻き返しに燃える。14年の開幕投手を務めた4年目の三嶋も今季終盤に存在感を示し、秋季キャンプで投手MVPに選出された。3年目左腕の砂田は今季、先発・中継ぎでフル回転。終盤は中継ぎとして良い働きを見せており、来季は先発として課題のスタミナ面がカギを握るだろう。

 新加入でも先発候補はいる。今オフに獲得したウィーランドは今年、マリナーズ傘下3Aで14勝をマーク。26歳と若く、期待値は高い。今秋のドラフトで獲得した1位左腕の浜口、同2位右腕の水野の大卒コンビは即戦力候補として期待されている。今後、外国人投手の獲得や山口の人的補償で新戦力が加わる可能性もあり、先発争いを活性化させてほしいところだ。

 ほかにも、若手では最速154キロの剛腕を誇る来季2年目・熊原、ラミレス監督の期待が大きい20歳右腕・飯塚、中堅でも12年の開幕投手・高崎、来季8年目の国吉ら1軍登板経験ある選手たちが復活を狙っている。

 こうした面々から、指揮官は春季キャンプからオープン戦を見極めた上でローテを組むことになる。今季は先発陣が開幕から56試合連続で5回以内の降板なし、という快記録を作り、躍進の原動力になった。山口移籍の影響を感じさせないような“奮投”を先発陣が見せられるか。それが、2年目の「ラミレスDeNA」の命運を握っている。