中国・広東省で開催されている「第9回 BFA U-12アジア選手権」は13日に決勝戦が行われ、侍ジャパンU-12代表は韓国に4-1で勝利。5戦全勝で悲願の初優勝を飾った。■韓国“連破”の立役者となった高橋、仁志監督も「安定している」と評価 …

中国・広東省で開催されている「第9回 BFA U-12アジア選手権」は13日に決勝戦が行われ、侍ジャパンU-12代表は韓国に4-1で勝利。5戦全勝で悲願の初優勝を飾った。

■韓国“連破”の立役者となった高橋、仁志監督も「安定している」と評価

 中国・広東省で開催されている「第9回 BFA U-12アジア選手権」は13日に決勝戦が行われ、侍ジャパンU-12代表は韓国に4-1で勝利。5戦全勝で悲願の初優勝を飾った。

 決勝戦はグループ予選2戦目で対戦している韓国。日本の先発投手は、このグループ予選の韓国戦でも先発した高橋大和だった。仁志敏久監督が「安定しているタイプでコントロールがいい。腕の出方が変則的なフォームで低めに投げられるとアウトを重ねられる」と評価する右腕。グループ予選の韓国戦では4回途中まで投げ、奪った三振はゼロ。内野ゴロで打たせて取った。

 グループ予選とは違い、アジアチャンピオンを決めるファイナルステージ。「試合が始まって、マウンドに立ったら緊張しました」と、立ち上がりは不安定だった。1番打者に四球を与え、2番打者を三ゴロに打ち取ったものの、3番打者には再び四球。4番打者から空振り三振を奪ったが、ここで守備がバタバタした。

 飛び出していた一塁走者を刺そうと福原聖矢捕手が一塁へ送球。ランダウンプレーが上手くいかず、走者がオールセーフとなり、2死二、三塁とピンチは広がった。それでも、5番打者を遊飛に打ち取ってしのいだ。

■2度の右目内視鏡手術を乗り越え完治、「世界で通用する選手に」

「緊張して腕が振れませんでした」という初回の反省を生かし、2回は気持ちを切り替えて投げた。遊ゴロで1死を取った後、2つの空振り三振で3者凡退。「緩急を使い、三振を2つも取れて良かったです」。3回の先頭打者に中前打を打たれてマウンドを星子天真主将に譲ったが、緊張の中、先発投手として無失点で切り抜けた。

 高橋が所属する日高軟式野球クラブの監督で、侍ジャパンU-12代表の西浦生記コーチは「ゲームを作るのが上手い子。今日は緊張していたけど、自分のピッチングをして粘ってくれましたね」と称えた。

 これまで2度、右目の内斜視で手術を受けている。遠近感がつかめず、「右目をつぶって左目だけでボールを見て捕ることもありました」と父・寛之さん。ボールが小さい野球ではなく、サッカーやフットサルの教室に通ったこともあったが、完治して野球を続けた。そして、愛媛県の推薦で選考合宿に参加し、侍ジャパンU-12代表に選ばれた。

 2試合で先発を任され、チームの優勝に貢献。「アジアには日本よりすごい選手がいっぱいいました。もっとうまくなって、世界で通用する選手になりたいです」。この経験を糧に大きく成長する。

高橋昌江●文 text by Masae Takahashi