インカレ直前特集の『結び』は3、4年生対談だ。最終学年として迎える長谷川聖記主将(スポ4=愛知・愛工大名電)に主務の浅田大介(社4=石川・金沢学院)。来年度は唯一の4年生として部をけん引することになる二見颯騎(スポ3=東京・足立新田)。上…

 インカレ直前特集の『結び』は3、4年生対談だ。最終学年として迎える長谷川聖記主将(スポ4=愛知・愛工大名電)に主務の浅田大介(社4=石川・金沢学院)。来年度は唯一の4年生として部をけん引することになる二見颯騎(スポ3=東京・足立新田)。上級生として部をまとめるそんな3選手に、他部との交流事情やコロナ禍での大会模様についても伺った。

※この取材は10月10日に行われたものです。


言葉を選びながら語り始める長谷川

「(浅田は)見ての通り変わり者」(長谷川)

――他己紹介からお願いしたいのですが、まずは二見選手についてお願いします

浅田 全然浮かばんな。(笑)

長谷川 そこ(二見)からかぁ。他己紹介苦手なので、もう少し考える時間をください。(笑)

二見 いや早く紹介してくださいよ。

長谷川 なんか趣味あったけな。そんなら逆に颯騎の方から先に紹介してくれよ

二見 それでは(長谷川の方を向き)こちらから

――それでは長谷川選手についてお願いします

二見 何でもいいんですよね。(笑)

長谷川 変なこと言うなよ、絶対。すぐ書かれちゃうんだから。ちゃんと答えろよ(笑)。

二見 長谷川聖記主将です。愛工大名電出身で、趣味はドラマを見ることで、恋愛リアリティショーをよく見ています。普段は昼寝をしていますが最近は何かと忙しそうです。卒論とかを頑張っています。

浅田 長谷川聖記です!

長谷川 自己紹介みたいやな

浅田 (笑)。基本は寝ていて、起きているときはドラマを見ているか、トレーニングをしています。結構インドア派です。ご飯は小食で、思ったよりも食べないです。卒論も忙しい中、主将として部のことを考えて頑張っています。

――次に、浅田選手についてお願いします

長谷川 浅田のはすぐいけるわ。同部屋で唯一の同期である浅田です。部屋は4年間一緒です。自分だけが知っているところをあげたらきりがないよなぁ。見ての通り変わり者で、最近だとメイク?かなんかやってますね。

浅田 変な風に捉えられちゃうよ、それ。(笑)

長谷川 でも男性でもメイクする人増えてきてるし大丈夫じゃない?あとは、普段なよなよした部分がありますけど、なんだかんだはしっかりしていて周りがしっかり見えている分、協調性があるのかなと『最近』は感じてます。

浅田 最近かよ!

長谷川 最近ね。ここ1年とくにね。それ以外はいろいろありすぎて言えないです。(笑)

二見 浅田大介先輩です。個性豊かな先輩です。嵐が好きでライブの映像をよく見てペンライト持ちながら応援してます。

長谷川 それ、僕との部屋なのに暗くして見るし、僕が昼寝できないの分かっててやってるんですよ。(笑)

二見 あとは主務として多くの仕事をこなしてます。ご飯にも連れて行ってくれます。

――最後に、二見選手についてお願いします

浅田 二見颯騎です。今年から一人部屋になって、結構満喫しているみたいです。1年生とは仲良くしていて、1年生の部屋にはテレビがないこともあって、動画鑑賞やテレビを一緒に見ています。みんなから好かれている方だと思います。3年生は1人で、来年は主将になることもあってその辺を準備していたりするのかな、というところです。

長谷川 本当颯騎は(紹介が)難しいよなぁ。一学年下の唯一の後輩で、同じ授業を取ることもありますし、愛嬌のある後輩なのでかわいいなと思います。でも後輩が入ってきて、上級生になるにつれて自覚が出てきているように思います。あと、あざといかわいいです。(笑)

――初対面の印象から変化はありますか

長谷川 浅田は受験指導のときが初対面よね。その時同じ部屋になってるから、その時から一緒なのか。(笑)その時はでも、全然しゃべらないので真面目な印象が強かったですかね。でもその真面目な印象は今も変わらずといった感じです。

――受験指導で顔合わせの機会があるんですね

浅田 大学に入学する少し前に入学後のための予備訓練みたいな場があるんです。レポートを書く練習のようなことをします。合宿形式で。そこで出会ったとき、(長谷川は)ブレザーの制服だったんです。その時ネクタイがすごく短くて、その記憶が強いです。(笑)

長谷川 どんな印象や、それ。(笑)

浅田 あと、性格は優しくて人思いの印象だったんですけど。

長谷川 過去形かい。

浅田 あと、僕は小論文をさぼりがちで80分のものを40分やって残りは携帯で遊んでたんですけど、彼は80分まるまるやってて偉いなぁと思ってました。

長谷川 ただ書けないだけなんでね。あと、漢字が分かんなくて聞いてた気がする。

浅田 そんなんだから国語が弱い子なんだという印象でした。(笑)でも悪い印象は全くなかった。

――今の4年生が二見選手と初めて会われたときは

長谷川 なんだっけ?受験指導かな。でも全くその時の印象がないです。印象薄すぎるわ。

浅田 いつの間にかいたよな。印象薄すぎる。(笑)ただ足立新田高校からくるということで橋本侑京(令元スポ卒)先輩の後輩にあたって、いかれた子が来るのかなと思っていたら、意外とまともだったんです。それぐらいしか印象なくて逆にごめん!

――長い相撲歴の中で過去に対戦経験などはあったりしますか

浅田 俺が負けたときあったな。めっちゃ細いときの聖記にな。

長谷川 浅田はめちゃくちゃ強かったので、小さいときの記憶でも、「こいつに勝った!」というのは印象に残ってますね。たぶんその1回だけですね。

浅田 今見返すとあの時は、ひどい相撲とってたなと思いますね。北信越の大会でしか顔合わせる機会がなかったね。

「相撲やってるのに柔道もできないよ!」(浅田)

――相撲と並行してやっていたスポーツはありますか

二見 水泳を少しだけやってた経験はあります。ですがやっぱり全然相撲とはつながりがないですね。

長谷川 僕は小学校4年生から6年生まで部活で野球をやってました。でも野球って体が大きければやっぱり球は飛ぶじゃないですか。だから野球の方には活きましたけど、相撲には活きなかったです。(笑)練習で走った記憶はあまりないですけど、いま少し走れるのはその経験がいきてるからなのかな。そこで体力がついたんかなぁ。

浅田 僕も水泳だけでしたね。途中で柔道に誘われたこともあるんですけど、「相撲やってるのに柔道もできないよ!」と思って必死に断ってました。(笑)

――そういえば以前、柔道部のもとへ練習に行かれたことありましたよね

二見 レスリング?も行きましたよね。

長谷川 もともと仲が良い部活っていうのもあるんですけど、それらのスポーツは相撲に近い動きがあるのでそこで何かを吸収できるのかなって感じです。

――他部活との合同練習はどのような経緯で実現するのですか

長谷川 時期的なのもあり、少し変わったことをしてみようかと部内で話が合って、相撲と動きが近い部活の方にお願いして実現しました。


率先して質問に答えることの多かった浅田

――部活関係なしに、日常でよく交流のある部活や選手はいますか

浅田 レスリング、柔道、ウエリフ(ウエイトリフティング)とかは本当に仲がいいです。ここは代々、部としてつながっていて先輩方からつなげてもらうからですね。

長谷川 寮が同じっていうのもあるんだと思います。柔道部とは寮は違うんですけど、とりあえず体は大きいし。(笑)今はできないですけど、ウエイトリフティングとかは試合を見に行ったことあります。柔道も行ったけど、レスリングはないかな。

浅田 バスケも行ったなぁ。

長谷川 1年の時に行ったな!早慶戦か。でもいろいろな部活見に行きたいね。野球とか。

浅田 今年は授業少ないからいろんな部の大会、行く気満々だったのになぁ。

「取り組み以外はずっとマスク」(二見)

――ここからは今年度のこれまでを振り返っていただきたいと思います。まず、練習形態に変化はありましたか

浅田 今年前半はやはり集まれなくて、どうしようかと考えることになりました。6月までは全然会えなくて、練習しなければいけないんですけど、大会があるのかも分からない状況で、モチベーションが続かない状況でした。長谷川と僕は寮に残れたんですけど、他は帰省していました。

長谷川 そうですね、僕らは就活のこともあったので残らせてもらいました。

二見 僕は実家で2か月間過ごすことになりました。

――その期間の部活動はどのようなことをされていたのですか

浅田 部の間でレポートを出し合って、今だからこそ自分たちを振り返ろうとしてました。あとは動画をつなげ合って、みんなで練習し合おうともしました。それでもバッテリーが上がってしまったりしてうまくいかなかったんですけど、対策しながらやってました。ミーティング以外でも自由に連絡を取り合って、世間話もしながらモチベーションを維持しようかと。早稲田のチーム力は大切にしなければいけないので、コミュニケーションは取るようにしてました。

――いざ大会が開催されて、現地で大変だったことはありますか

二見 体重別は時間差で入場だったんですけど、うちの部は115キロ未満級と135キロ未満級だけだったので、割とまとまって入場できました。それでも、終わったらすぐに帰らなければいけなかったので、他の人の相撲を見るということはなかなかできませんでした。応援とかできなかったのも残念で、取り組み以外はずっとマスクをしていなければいけない状態でしたね。

浅田 あれ変態だよね。廻しとマスクって。(笑)違和感しかないですよね。

――無観客での開催でしたが、応援があった方が力は出る方ですか

二見 寂しい感じはあったんですけど、意外と周りを気にせずに相撲を取れて集中できたかな、という感じです。

長谷川 応援があったら、確かに力は出るんですけど、でも応援されると緊張するタイプなので、寂しいですけど集中はできますね。

浅田 僕もあまり周りを気にする方ではないので、応援がないから力が出ないというわけではないです。ですけど、土俵に上がった時のシーンとした雰囲気は本当に違和感でした。それ以外は普通にやってました。でも、団体戦の時はどこまで声掛けをしていいのかなどが分からなかったです。だから団体戦になるとつらいのかもしれないです。

二見 団体戦で言えば、特にうちの監督はよく声を出す監督なので。(笑)

――Bクラス団体優勝を決めて二見選手がガッツポーズをした瞬間は会場全体が湧く場面がありましたね

二見 あんまりその時のことは覚えてないです。でも、2-2で迎える大将戦は初めてだったので、勝てたのは嬉しかったです。

「勝っても負けても攻める相撲を」(浅田)

――ここまでの大会結果についてみていきたいのですが、ここまでの活躍をどのように評価していますか

二見 個人戦に関しては全然ダメで、体重別では一回戦で敗れて、東日本(学生選手権)の大会でも、団体戦で気持ちが切れてしまって格下相手に敗れてしまいました。なので、個人戦でも気持ちを入れてやっていかないとな、と思います。

長谷川 一言で言えば、あまりよくないですし、納得はしていないです。思うように自分の形にさせてくれないことが多いのでその分、勝ちが少なくなってきているので辛い部分はあります。そこで考えながら相撲を取れているので、良くもなく悪くもなくという感じです。

浅田 東日本(学生選手権)では良くない相撲を取ってしまったなというのがあります。体重別はベスト8を目標にしていましたが、16で終わってしまいました。悔しい結果でした。内容は良くなってきているとは思うんですが、まだまだ力不足を感じています。インカレに向けて調整していきたいなと思います。

――どのような形を目指していきたいのですか

長谷川 自分としては組んでいきたいんですけど、周りも研究してきているのでなかなかさせてもらえないです。そこで、どうやったら組めるのかを考えて取ることが自分にプラスになると捉えてますし、それができる人は上で戦える人なのかなと思っています。流れの中で突きになるのは良いんですけど、自分のスタイルではないですね。こだわりすぎも良くはないんですけど。それでも自分の形にもっていって勝てれば良いなと思います。

――団体戦では結果についてはどうですか

長谷川 けが人もいた中でよくやったかなとは思うんですけど、それでも自分たちの中では最低限の結果です。目標が達成できたのは良いことですが、まだ上を目指すためにはどうしなければいけないのかを考えていかなければいけない結果だったと思います。

――団体戦ではいつもより攻撃的な相撲を取っていた浅田選手が印象的でした

浅田 個人戦の方が気持ち的には楽ですね。伸び伸びとできる印象がありますね。団体はいい意味でも悪い意味でも緊張します。今までは守備型で、相手が隙を見せた瞬間押していくスタイルだったんですけど、最近は自分から押していこうとしています。団体戦で言えば、勝っても負けても攻める相撲を取れば次に続くかなとは思うので、それが団体戦での相撲内容の特徴になるかもしれないです。

長谷川 僕は個人も団体も意識しないですね。自分の相撲を取るだけなんで。でも団体戦の方が気合は入るのかな、とは思います。

浅田 カッコいいな。(笑)

――後輩の活躍から刺激を受けることはありますか

長谷川 半々くらいかな。でも、先輩がいたときもいい成績を残しているとやっぱり悔しいとは思いますし、負けてられないなとはなりますね。

浅田 僕はあまり気にはしないです。気にしたらプレッシャーになってしまう性格なので。

「それだけ聞いたら監督怒っちゃうよ。(笑)」(長谷川)

――最後に、今後についての話を伺いたいと思います。4年生のお二人は卒部が刻々と近づいていますが、何か感じていることはありますか

長谷川 「まだまだやりたい!」というところまではさすがにないです。ですけど、「名残惜しい」とか、あとどのくらいで卒業なのかという実感がないのが現状です。

浅田 コロナで練習できていなかった時期も多かったし、「やっと卒業だ!」というのもないし、「やり足りない」っていうのもない感じじゃない?

長谷川 全然実感わかないね。

浅田 大会も10月から急に始まって、普段だったら気持ちを作る期間があるんですよね。だから今みたいな日程だと先を考える余裕があまりないですね。いまは、早く調整してインカレに合わせないとな、という焦りがあります。それに今後もまだ(延期された)大会があるかもしれないですし。

長谷川 本当にあっという間でした。あと1年として考えていたんですけど、一応はあと1カ月で終わりなので早いですよね。だから、終わってみて、「もう終わりか」って感じることになるんでしょうけどね。


落ち着いた受け答えが印象的だった二見

――二見選手は来年度は部で唯一の4年生になりますね

二見 この学年は一人しかいないのでやはり意識はしますし、いざ4年生になった時に部をどうやってまとめていこうかなという怖い部分もあります。

浅田 でもやっぱり4年になると全然違うよ、とは言っておきたいです。部に無関心ではいられなくなる。

長谷川 え、4年生になるまで無関心だったの!(笑)

浅田 そういうことじゃない!周りのことをより考えないといけなくなってくる。それまでは自分もあって周りもあって、という感じだったけど4年生は周りが1番にあって、自分もあってという感じになるよね。

長谷川 そういうことね。良かった。それだけ聞いたら監督怒っちゃうよ。(笑)

「(インカレは)気持ちが一番入る大会」(二見)

――さて、インカレに向けてはどのような稽古をしているのでしょうか

浅田 今までのリズムを崩さないように、変わったこととかは特にしていないです。

――インカレでの目標などは定まっていますか

浅田 まずはベスト8に行くことです。

長谷川 これまでインカレでは成績をなかなか残せていないので、ベスト8に残れていないんですよね。なので、このメンバーでベスト8には残りたいです。

浅田 本当の目標はベスト4ですが、これまでベスト8には残れていないので、まずはベスト8です。

――最後に、インカレに向けて意気込みを教えてください

浅田 気負わず、自分の力を出し切りたいです。特別なにかやってやろう、という気持ちはないわけではないですが、気持ちを入れすぎても空回りするので、気負わずやりたいです。

長谷川 インカレは大会の中で大きなものなので、そこで良い結果をやはり残したいです。4年間やってきたことを出し切れれば、自然と結果はついてくると思います。力を出し切って完全燃焼します!

二見 インカレは毎年悔しい思いをしているので、気持ちが一番入る大会です。4年生と出場する大会は最後?いや、まだ最後にはならないと思いますが、いい結果で終えてほしい思いがあるので、頑張りたいと思います!

――ありがとうございました!

(取材・編集 大貫潤太)


仲の良さが伺える3選手

◆長谷川聖記(はせがわ・まさき)(※写真右)

1998(平10)年5月28日生まれ。180センチ、130キロ。愛知・愛工大名電高出身。スポーツ科学部4年。4年生らしく、浅田選手とともに色紙には『完全燃焼』の文字が。これまで数多くの大会で優勝、入賞の結果を残してきた長谷川選手もついに最終学年に。完全燃焼に向けて、強い信念を持って残り少ない大会に臨みます!

◆浅田大介(あさだ・だいすけ)(※写真左)

1998(平10)年8月15日生まれ。175センチ、115キロ。石川・金沢学院高出身。社会科学部4年。最近は主務として忙しい日々を過ごしているという浅田選手。特に主務の仕事をして感謝されるときが、自分が部に貢献できていることが1番実感できるのだとか。もちろんインカレでは選手として白星でチームに貢献し、早大相撲部を部の目標とする成績へと導いてくれることでしょう。

◆二見颯騎(ふたみ・そうき)(※写真中央下)

1999(平11)年12月18日生まれ。174センチ、110キロ。東京・足立新田高出身。スポーツ科学部3年。コロナ禍を寮ではなく自宅で過ごすことになったという二見選手。家ではダンベルを購入しトレーニングに励み、走りや四股踏みも欠かさなかったそうです。今年のインカレ開催地は中学校の地元である埼玉県立武道館。そんなゆかりある地で成果が発揮されることに期待です!