同会場での第一試合として行われた一戦の熱狂が冷めぬ中、そのおよそ1時間後、明大は関東大学対抗戦(対抗戦)第4戦に臨んだ。明大にとっては今季初めての東京・秩父宮ラグビー場。相手は筑波大に敗戦し、対抗戦の戦績を2勝1敗とした慶大だ。昨季の王者…

 同会場での第一試合として行われた一戦の熱狂が冷めぬ中、そのおよそ1時間後、明大は関東大学対抗戦(対抗戦)第4戦に臨んだ。明大にとっては今季初めての東京・秩父宮ラグビー場。相手は筑波大に敗戦し、対抗戦の戦績を2勝1敗とした慶大だ。昨季の王者である明大が有利かに思われたが、先制したのは慶大。PGを慶大に決められリードを許すも、12分にはSO齊藤誉哉のインターセプトから、自らのトライで逆転する。71分にはスクラムから左に展開してトライを奪うが、その差は12―10とわずか2点だった。手に汗握る展開で迎えた試合終了間際、反則によって慶大にPGを決められ12-13でノーサイド。まさかの敗北を喫した。

 ゲームは慶大のキックオフから始まった。開始直後は明大がいつものように安定したセットプレーを見せ、有利にゲームを進めるかに思われたが、慶大の低く強いタックルを受け、反則が重なる。前半5分、最初のPKで慶大が選択したのはPG。これを決められ、3−0と慶大に先制を許してしまった。しかし、さすがは昨年対抗戦王者の明大。その直後の13分には、「齊藤自身も去年1年生としてシーズンを経験している」(田中澄憲監督)と経験を買われ、今季初めてスタメンの座を手にした齊藤がインターセプトに成功し、自ら取ったボールを蹴り出す。そして、自分でインゴールに走り込んでグラウンディング。さらにゴールも自らの足で決め、7−3と逆転した。その後もいくつかチャンスを作るものの決定力に欠け、そのまま試合を折り返す。


明大の高さあるラインアウト

 7−3と非常にロースコアとなったこのゲーム。後半最初のチャンスをどちらのチームが手にするかということが鍵となっていた。明大はチャンスこそ作るものの、ペナルティーと慶大の統率されたタックルにトライを阻まれる。後半について「自分たちのボールを継続できず自陣に入り込まれて常に自陣でラグビーすることになってしまいました」とNO・8箸本龍雅主将は評価した。後半が始まって17分、慶大にラインアウトからモールを仕掛けられそのままインゴールへ。キックも成功しスコアは7-10。明大にとっては手痛い失点となり、またもや追いかける展開になる。しかし迎えた後半32分、4人もの選手を入れ替え挑んだスクラムから左に展開し、後半から投入されたWTB髙比良隼輝がトライ。12-10と再び逆転した。

 ところがリードはしたものの、その差はたったの2点。1本のPGで勝敗が変わる点差である。互いにノーペナルティーでいきたい試合終了間際。案の定、慶大がターンオーバーでボールを奪うと、アドバンテージを得た慶大に攻め入られてしまう。アドバンテージにより慶大はPKの権利を獲得し、もちろん慶大はPGを選択した。緊迫した雰囲気の中で慶大はこれを冷静に決めて試合終了。12-13と慶大に敗北した。


フル出場でゲームメイクしたSH飯沼蓮

 まさかの敗北を味わった明大。「戦うエリアに関しては自陣が多かったので、敵陣に入る部分は上手くいかなかった」と田中監督が話すように、王者であったが故に、挑戦者のアタックやタックルを全て受けてしまったことが敗因だ。これで明大は、帝京大、慶大と勝ち点が並び、首位早大を追いかけることとなる。予想されていなかったこの試合結果によって、さらなる混戦が予想される対抗戦。明大は本戦の反省から、細かい部分の修正によって、さらにレベルアップしていくに違いない。ここで敗北を味わった明大はどのような修正をしてくるのか。この経験によってひとまわり成長した明大が目指すのは、王者の座ただ一つだ。

(記事 内海日和、写真 塩塚梨子、安岡菜月)

コメント

※記者会見より抜粋

田中澄憲監督

――きょうの試合について

 今季初の秩父宮での試合ということでたくさんのファンの前でプレー出来たことを幸せに思います。試合に関しては、負けてしまいましたが、慶應大学さんから一戦にかける思いや、一戦に勝つための準備などを学ばせていただきました。私たちはまだ若いチームなので、この敗戦をしっかりと次につなげられるように成長していきたいです

――前半上手くいっていた点、上手くいかなかった点はどこか

 粘り強いディフェンスは前半から出来ていたと思います。しかし、戦うエリアに関しては自陣が多かったので、敵陣に入る部分は上手くいかなかったと考えています。

――後半にかけて修正出来たか

 修正しようとはしていましたが、コミュニケーションのミスなどもありました。しかし、後半の終盤には良くなっていたと考えています。

――先発SO齊藤の起用理由は

 齊藤は前回筑波戦で途中出場し、非常に落ち着いたゲームメイクをしてくれました。これまでは1年生の池戸(将太朗)が出ていましたが、やはりプレッシャーのかかるゲームになるので負担を減らすという意味と、齊藤自身も去年1年生としてシーズンを経験しているので、落ち着いてゲームメイクをしてくれたと思います。

――齊藤の評価は

 齊藤がどうこうというよりは、チームとしてあのような戦い方をされた時にどのように打開していくかということはこれからチームとして取り組んでいかなければならないと感じています。

――次戦の対戦相手である日体大をどのように見ているか

 ショートウィークになりますが、落とせる試合は1つもないと考えているのでしっかり今日出た課題を克服していきたいと考えています。

NO・8箸本龍雅

――今日の試合について

 難しい試合になると考えて準備していましたが、ブレイクダウンの部分で圧力を受けてしまい、自分たちのボールを継続できず自陣に入り込まれて常に自陣でラグビーすることになってしまいました。課題はたくさん出ましたが、対抗戦はまだまだ続くのでこれから成長していくという点ではポジティブに捉えて。これから成長していく上で、多くの課題の出たいい試合だったと思います。

――逆転してからの5、7分をどう戦おうと考えていたか

 やはり守りに入るとやられてしまうと思っていました。なので『攻撃は最大の防御』ではないですが、勝ち切るために攻撃しながらエリアをとって、ディフェンスでもいいので敵陣に入ろうと話していました。

――慶大のタックルをどのように感じたか

 強かったです。

――明治のブレイクダウンでのクオリティをどのように考えているか

 個人的にはジャッカルをたまたま獲れたので良かったですが、全体的にブレイクダウンでプレッシャーを受けてしまいました。その部分を課題として練習に取り組んでいたのですが、まだまだ自分たちの練習の甘さを感じました。自分たちでもっと高めていける部分があると思うので、次の日体大さんがどうこうというよりかは、自分たちがどうすべきかという部分にフォーカスしてしっかりと課題を修正していきたいと考えています。

SO齊藤誉哉

――今日の試合について

 タフな試合になるということは試合前から分かっていて、しっかりと準備してきてはいました。しかし相手の圧力にのまれてしまったり、自分がキックゲームで負けてしまったりなど課題が多く見つかったので、八幡山に帰ってしっかりと練習したいと思いました。

関東大学対抗戦
明大スコア慶大
前半後半得点前半後半
10
12合計13
【得点】▽トライ 齊藤誉、髙比良 ▽ゴール 齊藤誉(1G)
※得点者は明大のみ記載
関東大学対抗戦Aグループ得点表(11月1日現在)
チーム勝ち点試合得点失点得失トライ
早大16(20)44002086214632
帝京大12(16)43013037223144
明大12(16)43012005514531
慶大12(14)43011844713727
筑波大8(9)4202116113316
日体大4(5)410347268‐2217
青学大0(2)400457283‐2268
立大0400434249‐2155
( )内の数字はリーグが全試合実施された場合にボーナスポイントを加算した際の勝ち点。
 
関東大学対抗戦Aグループ星取表
 明大早大帝京大筑波大日体大慶大青学大立大
明大12/6 14:00秩父宮11/22 13:00秩父宮◯33‐1711/7 14:00秩父宮●12-13◯82‐10◯73‐15
早大12/6 14:00秩父宮◯45-2911/7 11:30秩父宮◯70‐511/23 14:00秩父宮◯47‐21◯46‐7
帝京大11/22 13:00秩父宮●29-45◯54‐17◯98‐1012/6 14:00熊谷◯122‐011/8 14:00上柚木陸上
筑波大●17‐3311/7 11:30秩父宮●17‐5412/6 11:30熊谷◯30-1911/23 14:00AGFフィールド◯52-7
日体大11/7 14:00秩父宮●5‐70●10‐9812/6 11:30熊谷●0‐74◯32-2611/23 11:30AGFフィールド
慶大◯13-1211/23 14:00秩父宮12/6 14:00熊谷●19‐30◯74‐011/8 11:30上柚木陸上◯78‐5
青学大●10‐82●21‐47●0‐12211/23 14:00AGFフィールド●26-3211/8 11:30上柚木陸上12/5 13:00大和スポーツセンター
立大●15‐73●7‐4611/8 14:00上柚木陸上●7-5211/23 11:30AGFフィールド●5‐7812/5 13:00大和スポーツセンター

※秩父宮は秩父宮ラグビー場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、早大Gは早大上井草グラウンド、明大Gは明大八幡山グラウンド、上柚木は上柚木公園陸上競技場、大和は神奈川大和スポーツセンター競技場。