第4回は同じスナイプ級スキッパーとしてしのぎを削る尾道佳諭(スポ3=山口・光)と蜂須賀晋之介(スポ3=茨城・霞ヶ浦)。お互いをライバルと認め合う二人にスナイプチームの雰囲気や現状の課題、全日本インカレの向けての意気込みをお聞きしました。 …

 第4回は同じスナイプ級スキッパーとしてしのぎを削る尾道佳諭(スポ3=山口・光)と蜂須賀晋之介(スポ3=茨城・霞ヶ浦)。お互いをライバルと認め合う二人にスナイプチームの雰囲気や現状の課題、全日本インカレの向けての意気込みをお聞きしました。

※この取材は10月23日に行われたものです。

どんな時でも熱心にサポートしてくれる(蜂須賀)


忌憚なくインタビューに応じる蜂須賀

――お二人が知り合ったのはいつ頃ですか

蜂須賀 小学校2年生くらいですね。

尾道 低学年の頃だったと思います。

――その時のお互いの印象を教えてください

蜂須賀 昔はそんなに覚えてないんだよな。

尾道 小さい頃の記憶ないよね(笑)。

――今の印象はいかがですか

蜂須賀 よきライバルであり、よき仲間です!

尾道 一緒です。でも、中学、高校時代はあいつ速いなと思っていました。

蜂須賀 中学でお前勝っただろ(笑)。

尾道 でも一回だけじゃん。中一の頃は負けたし。

――お互いに尊敬しているところはありますか

尾道 一番は筋肉ですね。

蜂須賀 ありがとうございます(笑)。尊敬するところはヨットに乗っていない時でも熱心にサポートしてくれるところです。僕は1年生の頃、自分がレースに出てない時のサポートが嫌だったんですけど、その後自分が乗っている時にサポートしてくれるありがたみが分かって、佳諭はどんな時でも熱心にサポートしてくれるので、僕はどちらの立場でも頑張ろうと思いました。

今年のチームは日本一(尾道)


1年生の白石とペアを組む尾道

――今のスナイプチームの雰囲気はいかがですか

蜂須賀 雰囲気はいいと思います。

尾道 いいんじゃないですかね。上の3艇が安定していて、どんな風速でも対応できる力と臨機応変さもあると思います。あとはスナイプリーダーが常識に縛られない人で部活の常識もそうだし、レースでも柔軟に対応できるので、僕は今年のチームは日本一だと思っています。

――先日、470チームの方からスナイプはまとまっているという話を聞きましたが、お二人ともそれは実感していますか

蜂須賀 してます。

尾道 スナイプチームのリーダーが実力もそうだし、自分の考え方に芯がある人であり、みんなを動かせるリーダーシップを持っている人なので、すごくまとまっているチームになっていると感じます。

――この1年を振り返ってみていかがですか

尾道 今のスナイプ級の3艇はどんな風域でも走れるのですが、それ以外の艇は風の強い冬の期間に乗れていないので、どうしても強風や不安定な風でのレースの走りにムラが出てしまうということは振り返ってみて感じました。

蜂須賀 今年は乗っている時間は去年とさほど変わらないと思うのですが、やはり久しぶりに乗ると今まで無意識にできていたことが意識しないとできなくなっていたので、焦りを感じながら練習やレースに臨めたのはよかったです。 また、みんなが緊張感を持って、張り詰めた雰囲気の中で練習を行うことができました。

尾道 確かに練習自体には緊張感はありました。ただ、僕は人よりも感覚で乗っていて、一回覚えた感覚はあまり忘れないので、そういった焦りはなかったです。

――活動休止の間は何をしていましたか

蜂須賀 僕はスナイプではなく、470のクルーの練習をしていました。

尾道 スナイプってなかなか乗れないんですよね。僕らは地元に帰っていたのですが、ジュニアでスナイプを持っているチームは少なくて、どうしても420、470で練習するしかない状況でした。僕も人がいるときは470に乗っていたですが、ほとんど乗れる人がいなかったので、ジュニアのOP級の指導をしていました。

――この期間ではどんなトレーニングをされていましたか

蜂須賀 僕はいつも通りです。ボディーメイクを中心に、背中や足などのヨットに使う部分は高回数で攻めて、ヨットに使わない部位は筋肥大を意識していました。これは自宅で行っていて、歯磨きくらいの感覚でやっていました(笑)。

尾道 ほっといてもこいつ毎日トレーニングしてるんで(笑)。

蜂須賀 トレーニングじゃないから(笑)。もはや日課です。

――現状の課題を教えてください

選手名① 風が弱い時のレースの前後の準備とレース中の対話に冷静さがないことが課題です。強風はフィジカルでどうにかなるのですが、風が不安定な時はスタートラインの傾きや潮やマークの位置にも細かく見る必要があるので、そういった頭を使うレースになった時にどれだけ準備ができるかが課題です。

尾道 僕は中風から強風でのレースが課題です。みんなが走りづらい風の時には走れるのですが、他の艇が走れる中風域が苦手です。あとはスタートです。偏ったスタートラインだと走れるのですが、ラインに偏りがない場合はスタート後に走り負けてしまうので、ラインの位置取りと前後にスペースを持ってスタートしていきたいです。

――下級生とのコミュニケーションで大切にしていることはなんですか。

蜂須賀 なめさせないことです。これは普段の会話ではなく、ヨットにおいて常に尊敬のポジションにいられる存在でありたいということです。谷川さんは普段からいじったりしているのですが、ヨットに関しては非の打ちどころはないので、そういった存在になれればいいと思っています。

尾道 できるだけどうでもいいことでも話そうとはしています。やはり硬くなってしまうと、どんどんチームの空気が悪くなってしまうので、いい意味で緊張がほぐれて自分の力が発揮できるような環境をつくりたいです。そのためにも、細かいことでも話していきたいなとは思ってコミュニケーションを取っています。ただ、機嫌が悪い時は口数が減ってしまうので、そこは直していきたいです(笑)。

――学業との両立はできていますか

尾道 そこも自分は課題ですね。ただ、オンライン授業になってからは問題なくできています。

選手名② 僕もオンラインになってから出席率が上がって、前期は単位が全部取れて、で家族にフル単祝いをしてもらいました。後期は授業が少ないので、全休みたいなもんですね(笑)。

――ヨット以外の悩みはありますか

蜂須賀 就活はまだする気はないのですが、食品関係の企業を考え始めました。

尾道 それ、色々もらえるからだろ(笑)

――ヨットの他にスポーツや習い事はしていましたか

蜂須賀 水泳を幼稚園から中学3年までやっていました。

尾道 僕も年中から中学1年まで水泳をやっていました。あとは体操を少しやっていました。

――ヨットに生きたことはありますか

尾道 水に対しての恐怖心はないですね。転覆しても、パニックにはならずに対処できることですかね。

蜂須賀 水泳は生きたかどうかわからないですけど、僕は食べるのが大好きなので、そのおかげで筋力はみんなよりちょっとあったのかなと思います。

尾道 ちょっとじゃないだろ(笑)。

蜂須賀 今は筋トレしているのであるんですけど、ヨットを始めた頃からうまい選手の真似をすることができて、力任せにやってみることができたので、それは生きたかなと思います。

――お二人は幼い頃から競技を行っていると思いますが、自分に合っていると感じたクラスはありますか

蜂須賀 合っているというのはなく、自分から合わせに行くのでそういうのはないですね。乗っていて420、470級は速いので楽しいです。スナイプ級は考えるのが楽しいです。

尾道 2人がいいですね。

蜂須賀 僕は1人でもいいです。ただ、1人乗りで嫌なことは2人乗りにはなく、2人乗りで嫌なことは1人乗りにないので、どっちもどっちです。

尾道 僕は体が小さいので、1人乗りだと走れないですね…。

超えたい目標は…

――ライバルや憧れの選手はいますか

尾道 憧れの選手はいないです。というのも憧れてしまうと負けても仕方ないと思ってしまうので、憧れることはしないようにしていますね。ライバルは晋之介です。

蜂須賀 言うな言うな(笑)。

尾道 越えたい目標はスナイプ級だと松尾虎太郎主将です。あとは岡田奎樹さん(平29、スポ卒)にはコース取りで勝ちたいですね。

――全日本インカレまで2週間を切りましたが、心境はいかがですか

蜂須賀 不安要素を削れるだけ削って大会に臨みたいです。あとは微風で勝つための準備を徹底していきたいです。

選手名② 力的には総合優勝できる力はあるんですけど、どれだけ力があっても負けることがあるので、満足することなく力を出し切っていきたいです。また、時間は少ないですがさらに力をつける努力を欠かさないように練習に励んでいきたいです。

――会場が西宮から和歌山へと変わりましたが、気持ちの変化はありますか

蜂須賀 去年は行ったことがない海面だったのですが、今年は行ったことがある海面なので、焦りとかはないですね。

尾道 ワセダには和歌山でレースしたことがある選手が多くて、他の大学よりも走った経験があると思うので、そこは有利なのではないかと感じます。

――全日本インカレに向けての意気込みを教えてください

蜂須賀 持っている手札をすべて出して、運に左右されない勝ち方をしたいです。

尾道 目標としているのは総合優勝なのですが、ギリギリで勝つというよりは圧倒的な力を見せて優勝します!

――ありがとうございました!

(取材・編集 足立優大)


最後は一文字で締めていただきました!

◆尾道佳諭(おのみち・けいと)(※写真左)

1999(平11)年10月15日生まれ。163センチ。51キロ。山口・光高出身。スポーツ科学部3年。ヨットが速い人はみんな遊んでいる(?)と噂のスマホゲーム『モバイル・レジェンド』にハマっているという尾道選手。レースでも戦略的な走りに期待がかかります!

◆蜂須賀晋之介(はちすか・しんのすけ)(※写真右)

1999(平11)年9月3日生まれ。171センチ。71キロ。茨城・霞ヶ浦高出身山口・光高出身。スポーツ科学部3年。1日に5、6食を摂ることを日課としている蜂須賀選手。自慢の筋肉を生かして他の艇を寄せ付けない走りを見せてくれることでしょう!