雲一つない紺碧の空の下、全日本学生選手権(インカレ)初戦が行われた。会場は大井ホッケー競技場サウスピッチ。スポーツをするには理想的な涼しさだった。対戦相手は慶応義塾大学で、今年初の早慶公式試合となる。夏の練習試合で早大を2-1で下した慶大…

 雲一つない紺碧の空の下、全日本学生選手権(インカレ)初戦が行われた。会場は大井ホッケー競技場サウスピッチ。スポーツをするには理想的な涼しさだった。対戦相手は慶応義塾大学で、今年初の早慶公式試合となる。夏の練習試合で早大を2-1で下した慶大は、インカレ初戦の相手として申し分ない強敵だった。試合開始後しばらくは慶大に主導権を握られ、失点の危機も何度もあったが、FW清水拓登(スポ4=滋賀・伊吹)がペナルティコーナー(PC)を決めてから流れが変わる。慶大の猛攻は相変わらずだったが、先制点を取った早大の攻撃に勢いが出はじめた。慶大ゴール前に攻める機会も増え、試合終盤は互角の戦いを繰り広げる。両チーム何度も相手サークルに攻め込むが得点にはつながらず、そのまま1-0で試合を終えた。MF山下翼副将(スポ4=滋賀・伊吹)は、関東学生秋季リーグ(秋リーグ)1戦目で駿河台大に1-0で勝ったときと比較して「スコア的には一緒なんですけど内容がすごく今回のほうが良かった」と語った。

 試合開始後まもなくゴール前に追い込まれてからは、慶大の攻撃を必死でやり過ごす戦いとなる。第1クオーター(Q)約7分にゴールの1メートルほど手前でシュートを打たれるなど、あわや失点という場面が何度もあった。結局、終始慶大に翻弄されて第1Qを終えた。第2Qも序盤から慶大が試合を支配する。慶大の攻守の切り替えが見事で、苦しい戦いを強いられた。しかし、第2Q約7分に早大がPCを獲得。清水が正確にゴールに打ち込み、慶大優位の展開にあって先制点を挙げた。それ以降、早大の攻撃に徐々にきれが出てくる。第3Qは、慶大の攻撃をチーム全員でやり過ごして隙を突いて攻める戦い方で拮抗し、もう慶大に押されてばかりではなくなった。


敵をかわすMF山下副将

 第4Qは、試合序盤の劣勢を感じさせない互角の攻め合いでスタートした。第4Q約7分、2度目のPCを獲得。山下が打ったがこれは防がれた。その直後の約8分、慶大がPCを獲得。最大の危機だったが、GK西本京平(スポ2=大阪星光学院)をはじめとする数人の選手で何とか防いだ。第4Q終盤、1点を返そうと慶大の攻撃がますます激しくなる。しかし、慶大の攻撃陣の隙間を狙ってボールをクリアするなど冷静に対処し、1-0で勝利することができた。この試合に向けて慶大の戦法を分析し、対策してきたことについて、藤本一平コーチ(平23スポ卒=奈良・天理)は「無失点で終えられたので成果は出たかなと思います」と振り返った。


慶大のPCでゴールを死守するDF岩井怜太(政経3=東京・早大学院)(写真左)

 今年初の早慶戦を制した。しかし、清水が「福井工大に勝つのが僕らの目標で、ベスト4目指してるので」と述べたように、このインカレの目標は慶大に勝つことではない。次戦で勝てばベスト4入り達成となるが、対戦相手の福井工業大学は昨年インカレ3位であり、その2回戦目で早大は3-0で敗北している。秋リーグ2戦目で大敗した明治大学よりも手強いだろう。しかし、藤本コーチが「試合を重ねるなかで成長してきている」と述べたように、秋リーグ開幕以来の実戦の中で早大ホッケー部は確実に強くなっている。果たして、全国ベスト4を勝ち取ることはできるのか。

(記事 七澤拓未、写真 小出萌々香)

結果
TEAM1Q2Q3Q4QTOTAL
早大
慶大
コメント

藤本一平コーチ(平23スポ卒=奈良・天理)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

トーナメントなので、勝てたということが一番よかったというか、うれしいです。

――慶大相手にどのようなゲームプランを予定していましたか

相手がかなり早大に対してライバル心を持っている学校ですし、かなりフィジカルを使ってくるチームで、センタリングと言うんですかね、サークル内への打ち込みがチームとしての特徴ということはもう前々からわかっていたので、それに対してひるまずに身体を張って止める、スティックを人工芝に下ろしてしっかりと打ち込みを防ぐということ、そして打ち込まれてもそのこぼれ球を早大が拾うということを徹底して練習してきました。そこは無失点で終えられたので成果は出たかなと思います。

――ハーフタイムにはどのような話をされましたか

2クオーターに先制というか1点取れて、ただ勝負はここからだぞという話をしていたので、先にこっちがもう1点取ろうと言って、引き続きひるまずに体を張って全員で守ってチャンスを狙っていこう、と話しました。

――いまの早大チームの印象はいかがですか

コロナの影響もあったりでちょっとトレーニングや試合経験自体もことしはあまり積めていないなかで、正直まだまだ伸び代は大きいと思っています。ただ、秋季リーグが始まって駿河台大とやって、その後に明大とやって、山梨学院大にも日帰りで遠征に行ったりして、試合を重ねるなかで成長してきていると思います。きょうの試合のなかでもクオーターごとに成長した選手もいたと思うので、具体的には小比類巻(周、政経1=東京・早大学院)とか、3クオーター全然だめでかなり活を入れたんですけれど、その後第4クオーターはだいぶよくなったので、こういう経験を通じて成長していってほしいなと思います。

――次戦の福井工大戦に向けてコメントをお願いします

インカレ準々決勝ということで、勝てばベスト4に入る試合ですし、僕は10年前くらいかな、卒業したんですけれど、僕も四年間ベスト4に入れなかったですし、ベスト4に入れば全日本選手権があるので、その切符を獲得するためには絶対に勝たなきゃいけない相手、かつきょねんも同じ準々決勝で負けている相手なので、きょうと一緒で、体を張って、ことしのスローガンである『ONE TEAM』をしっかり意識して、みんなで勝利をつかみたいと思います。

FW清水拓登(スポ4=滋賀・伊吹)

――今季初の早慶戦はどうでしたか

毎年やって4年目になるので今年で、その中では一番今年の慶應が仕上がっているかなと自分でも思っていて、このあいだの山梨にも良い試合をしていたのでそこはしっかり気引き締めないとなと思っていて。予想通りというか今までの中では一番やってみても強くて、そこらへんは相性とかもあるとは思うんですけど、一週間で結構対応しここまで練習してきたので、そこは上手くはまったのかなという感じです。

――PCで決めたときの感想を聞かせてください

点取るとしたらPCだなとずっと思っていて、そこでしっかり一色(一色岳登、国教4=東京・早大学院)がペナルティコーナー取ってくれて、練習でもずっとやっていて決めるだけだったので、そこはいつも通りできたので良かったと思います。

――次の福井工大戦への意気込みをお願いします

今日の試合やる前にもチームメイトにも言ったんですけど、福井工大に勝つのが僕らの目標で、ベスト4目指してるので、そこには絶対何としても勝ちたいなと思っているので、この一週間でしっかり、まだまだ足りないところいっぱいあると思うので、しっかり調整して、万全の状態で臨んで、結果いい勝負して勝てたらいいなと思います。

MF山下翼副将(スポ4=滋賀・伊吹)

――今日に向けてチームとしてどのような準備をしてきましたか

今日は、慶應との練習試合で夏に2―1で負けてしまって、それの反省点とか、最近の練習試合とかでも課題が上がってきたので、そこを重点的に練習時にクリアしていって試合に臨めたと思いました。

――ディフェンスからミッドフィルダーになりましたが、どちらの方が自分に合っていると感じますか

自分的にはミッドフィルダーの方が良いのかなと思っています。ミッドフィルダーの方がボールをもらう回数であったり、ドリブルをしたりパスをする回数が増えて。パスを後ろから貰ってそれをフォワードに繋げたときにチャンスが生まれるので、そこがすごく中盤のほうがやりがいを持ってできるのではないかなと思います。

――秋リーグ開始時に比べてチームとして成長している実感はありますか

そうですね。実感はあります。1試合目の駿河台のときも1―0で勝ったんですけど、スコア的には一緒なんですけど内容がすごく今回のほうが良かったです。課題を見つけた上でそこをクリアして今回の結果に繋がったので、すごく自分的にもチーム的にも成長できたのではないかと思います。