今年の日本学生選手権(インカレ)では女子100メートル自由形、女子100メートルバタフライに出場しいずれも表彰台。リレーでも全ての種目に出場し、チームのエース格として活躍を見せた牧野紘子(教3=東京・東大付中教校)。女子総合6位と好成績を…

 今年の日本学生選手権(インカレ)では女子100メートル自由形、女子100メートルバタフライに出場しいずれも表彰台。リレーでも全ての種目に出場し、チームのエース格として活躍を見せた牧野紘子(教3=東京・東大付中教校)。女子総合6位と好成績を収めたインカレについて振り返っていただきました。

※この取材は10月8日にリモートで行われたものです。

「予想していなかった結果だったのですごく嬉しいです」

牧野は個人種目で今年も表彰台に上がった(左)

――今年のインカレは振り返ってどんな大会になりましたか

 個人としては決して良くはなかったんですけど、最低限得点を獲得することができて、最終的に女子の総合6位というのは予想していなかった結果だったのですごく嬉しいです。

――2012年以来8年ぶりの6位のようですが

 そうなんですか、データがあまり分からなくて。2015年からのデータと比較すると、得点も197点で結構高くて、6番で意外とすごいんだなと大会後に確認しました。

――最終日の開始時はまだシードギリギリの8位で少し危うさもあるのかなという風にも思いましたが、チームとしてはどんな風に感じていましたか

 3日目終わってチームでミーティングがあったんですけど、そのときも結構シード争いが、私たちが8番で9、10も結構ギリギリの争いだったので余裕ではないというか、油断したらダメだねということは話していました。でも最終日は1バック(100メートル背泳ぎ)だけ早大は出ていなかったんですけど、他の種目では得点が稼げるというのと、リレーもあるので、きちんと得点をとればシードは大丈夫だと思うから、とりあえず頑張ろうという感じで臨みました。

――個人種目についてですが、以前専門の200メートルバタフライ(2バタ)には出場しないということはお聞きしていましたが、結局100メートル自由形(1フリ)にしたのはなぜですか

 昨年までの結果を見て、1フリであれば2バタと変わらない得点が獲得できると思ってそうしました。

――1フリは少し珍しい顔ぶれが並びましたね

 そうですね、ちょくちょく他の種目が専門の人が、決勝は多分3人、自由形の選手ではなかった感じだったかなと。

――順位やタイムに関してはいかがでしたか

 順位は最高でも最低でも2位を目指すというか2位を確実にとりたいなと思っていました。タイムは去年がリレーの第1泳者で55秒46を出していたんですね、なので今年はベストを出したいなと思って1フリを泳いだんですけど0秒0いくつか足りなくてそこはちょっと悔しかったというか。3年生が1個もベストが出ていなかったので、最後にベストを出せたらなという思いもあったのでちょっと悔しかったですね、自分の中では。

――100メートルバタフライ(1バタ)に関してはいかがでしたか

 1バタも2番という結果で、隣の涼香(長谷川、日大)と競いたかったなというのが悔しい部分ではありますが、その1バタのときの体の状態にしては、58秒も出して。3位にはなってしまったんですけど、あのときできることはやれたかなと思っています。

――長谷川さんは少し前の大会の200メートルバタフライで非常に良いタイムを記録していましたが、それに関してはどういう風に受け止めましたか

 単純にすごいなと思いましたね、最初。涼香もずっとベストが2016年のものだったので、その後も長く一緒に練習したり試合に出たりして、涼香の努力も見てきていたので、私もちょっと嬉しかったです。涼香が5秒を出して本当に、殻を破ったなあと思って。私はまだ練習ちゃんとできてないなと思って頑張らなきゃという刺激にはなりました。

――池江璃花子(日大)さんもインカレに出場して素晴らしい泳ぎをしていましたが、ご覧になったり話したりはしましたか

 璃花子は予選を会場で見て、決勝は配信で見たんですけど、やっぱりさすがだなというか、天才だなと思いながら見ていて。決勝で4位だったんですけど、ちょっと悔しそうな顔をしていて、向上心なんかもすごいなと思いながら。その次の日にリレーだけ出ていて、本当に少しだけ話す機会があったんですよ、友達として「久しぶり」って。楽しかったです。

「最後まで前向きに頑張れた」

レースに臨む牧野

――リレーについてお聞きします。女子4×100メートルフリーリレーは5位という結果でしたが、終盤までは2位争いもしていて悔しいところもあるのかなと思います。ご自身ではどのように捉えていますか

 5位という結果は良かったと思います。上出来というほどではないと思うんですけど、5位とれるとは思っていなかったので嬉しかったです。早大の今年のリレーの戦略としては、先行逃げ切りというかタイムが速い順で組んでいたので、後半差をつめられてしまうのは想定していたことではあって。私が泳いだ後、杏奈(佐々木、スポ2=神奈川・日大藤沢)、まりあ(今牧、スポ1=長野・飯田)、千夏(佐藤、スポ3=埼玉栄)が耐えてくれという感じで見ていて、最後6位と7位と非常に接戦の中で勝って5位に入れたことは大きいなということはチームのみんなでも話していました。

――翌日の4×100メートルメドレーリレー(メリレ)は残念ながら決勝に進むことができず9位に終わりましたが、チームとしてはいかがでしたか

 目標では決勝に残りたかったんですけど、実際泳いでみて8位と2秒くらいの差があっての9位で。まあ意外と差が大きかったので仕方ないというか。私がバック(背泳ぎ)を泳いでそこまで速くなかったのもあり、すごく良かった人もいなかったので、どんなにみんながちゃんと泳げていても決勝には届いたかわからないからこの順位は仕方ないというか受け止めようという感じでした。

――最後の4×200メートルフリーリレー(8継)は予選が5位、決勝で7位と順位を落とす結果となりました。最後ということで皆さん疲労も蓄積している状況だったかなとも思いますが、いかがでしたか

 8継も順位を見ると残念だったなと思うかもしれないんですけど、私としてはよくみんな頑張ったなというか泳いでくれてありがとうという感じで。私がタイムを2秒落としてしまったので、本当に申し訳ないなという風に思っています。この体力不足というのはこれから強化していきたいと思うし、決勝も予選からタイムを1秒以上あげていないと6番になれていなかったので、8継も今の時点ではよく頑張ったという感じです。

――全体的に皆さんがやれることをやって結果に繋がったのかなという印象があります

 そうですね、女子はみんなが本当にやりたかった目標を達成することはできなかったと思うんですけど、それでもチームの一人ひとりが確実に点数をとれたので雰囲気としては良かったかなと思います。

――今大会を終えて、良かったなと思っている部分とここは課題だなと思っているところがあれば教えてください

 良かったところは泳ぎには関係ないんですけど、結果が良くなくても最後まで前向きに頑張れたかなという部分があります。リレーでは私が1番上の学年だったので女子チームの雰囲気だったり声かけだったりをして、良い雰囲気で4日間過ごすことができたかなと思います。去年とかおととしは自分の結果にとても落ち込んで、控えとかで泣いてしまったりとかあって、そういうことが今年は前向きに出せるような意識をしながらできたかなと思います。なのでまあ結果は成長してないんですけど、そういう部分では成長できたかなと思っています。

 悪かったところは単純にタイムが良くなかったというかベストも出なかったですし、得点もフリーは3番エントリーだったので2位に上げることはできましたが、バッタは3番に落ちちゃったりというのがあったので、8継の1泳もそうですけど申し訳なかったなと思います。あと4継の予選なんですけど、ちょっと私失敗をしまして、スタート出遅れたんですよ、映像を見ないとわからないと思うんですけどスタートでストリームラインが組めなくて(笑)前半差が開いてしまったので、決勝残ったから良かったもののそういうハプニングがあって、きちんと対応していく必要があるなと感じました。

「来年は6番を死守して今年を超えたい」

――インカレと早慶対抗大会の間にオフを挟むということでしたが、しっかり泳げる身体の状態になってからどれくらい経ちましたか

 オフを取ると以前話したんですけど、泳がない期間というのはあまりなくて、それなりにずっと泳いでいて、でも距離だったり内容が200とかのレースのための練習ではなくて100だったりいつもよりはスプリントの練習だったりちょっと強度を落とした練習をしていました。

――練習時間なんかも短くしていたのですか

 練習時間も平均的には短かったと思います。

――コンディションとして不安がある状態でインカレに臨んだわけではなかったということでしょうか

 そうですね、でもがっつり追い込んだ練習というのはしていなかったので、やっぱり100の後半が保つかなという不安はあって。実際落ちて後半バテたんですけど、そういう部分でちょっと不安はありましたね。

――今年6位という好成績を収めた選手は来年も全員残ることになります。少し気が早いですが次はさらに上の順位を目指そうかなという気持ちも出てくるのかなと思うのですが、来年についてはどう考えていますか

 早大も今1〜3年生しか選手いないんですが、全国的に見ても4年生が少なくて。種目によっては本当にメンバーが変わらないので、新1年生が入ってどうなるかということはやってみなければ分からないんですが、今年6番で5番とは結構差があるんですね。なので来年は6番を死守して今年の197点よりも、200点を超える得点を出して今年を超えたいなと思います。でも新入生が入るかっていうことに関わってくると思うし、早大の女子は受験をしたりで入ってくるので、そういうところは予想がつかないんですけど、今年よりは得点で超えていきたいなと思っています。個人としても優勝したいと思います。

――今後について少しお聞きします。12月の日本選手権は何に出場する予定ですか

 まだ決まっていないんですけれども、タイムテーブルにもよりますが、12月なので種目はたくさん出るかなと思います。少し話したのは個メ(個人メドレー)とかフリーとかタイムスケジュールを見て判断しようかという感じですね。12月で結構追い込んでいる中での試合になるので、追い込んで、でもちょっと調整して出る形になると思います。12月、2月と少し大きい大会が続くのである程度タイムも意識しながら、という感じです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 青柳香穂)

◆牧野紘子(まきの・ひろこ)

東京・東大付中教校出身。教育学部3年。2020年日本学生選手権では5種目に出場。100メートル自由形は55秒48で2位、100メートルバタフライは58秒95で3位。いよいよ最高学年となる20-21シーズンは女子部主将を務め、東京五輪出場を目指します!