関西六大学野球秋季リーグ第6節対神院大2回戦(2020年10月12日) 京産大自慢の投手陣が神院大打線をシャットアウトし…
関西六大学野球秋季リーグ第6節対神院大2回戦(2020年10月12日)
京産大自慢の投手陣が神院大打線をシャットアウトした。先発の藤本が7回無失点と最上級生の実力を見せつけると8回からは山口、北山の黄金リレーで完封勝利。これで最終成績を7勝3敗とし、次節大商大の結果を待つのみとなった。
京産大 000 010 000 = 1
神院大 000 000 000 = 0
試合成績
| 守備 | 選手名(出身高校) | 打数 | 安打 | 打点 | 四死球 | 三振 |
| 8 | 遠藤秀(滝川第二) | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 |
| 6 | 宇都宮(宇和島東) | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| D | 材木(綾部) | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 9 | 川岸(京都成章) | 4 | 2 | 0 | 0 | 1 |
| 5 | 笹原(福知山成美) | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 |
| 2 | 久木崎(京都成章) | 4 | 1 | 1 | 0 | 0 |
| 3 | 木村(浪速) | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 7 | 山本(鳥取城北) | 3 | 0 | 0 | 0 | 2 |
| 4 | 酒井航(桜宮) | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 |
| 選手名(出身高校) | 投球回 | 被安打 | 奪三振 | 与四死球 | 失点 |
| 藤本(京都学園) | 7 | 3 | 2 | 3 | 0 |
| 山口(済美) | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 |
| 北山(京都成章) | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 |
試合展開
勝って首位の大商大にプレッシャーをかけたい一戦。試合前のブルペンから調子が悪かったと語る先発の藤本は走者を許す苦しいピッチング。しかし、女房役久木崎の二度の盗塁阻止でエースを救い無失点の投球を続ける。その後、力強いボールを投げることを意識したという藤本は高い修正力を見せ7回無失点。許した安打はわずか3本という内容に「回を追うごとに自分のピッチングができるようになったことが良かった」と自身の投球を振り返った。

藤本を援護したい打線は相手投手の変化球にタイミングが合わず苦戦を強いられる。流れを変えたのは5回。先頭の4番川岸が中前安打で出塁し無死の走者を出すと、笹原の犠打でチャンス拡大。続く久木崎がスライダーを中前へはじき返し川岸が生還。待望の先制点をたたき出した久木崎は「追い込まれていたので狙い球を絞らず反応で打つことができた」と語った。昨秋は打率3割を達成し、今季も勝負強い打撃を見せている久木崎。勝村監督からもポイントゲッターと評価される2回生捕手が攻守に躍動した。

8回からはここまで無失点の藤本を代え、継投策に入る。バトンを受け継いだ山口は四球と安打で一死1・2塁のピンチを招くも後続をなんとか切り抜け無失点リレー継続。9回のマウンドに上がった北山は相手打線を全く寄せ付けず、2つの三振を奪う完全投球で試合を締めくくり完封リレーで接戦をものにした。

今日の試合で勝利投手となった藤本は公式戦通算10勝を達成。最終戦で二桁の大台に乗せたが、本人は「本当はもう少し勝ちたかった」とはにかんだ。この試合を持って今季リーグ戦全試合が終了。成績を7勝3敗とし、最終節が残る大商大の結果を待つ形となった。「やることはやったので人事を尽くして天命を待つ」(勝村監督)。ここまで幾度とない逆境を跳ね返してきた今季の硬式野球部。逆転優勝を信じ、万全の準備を重ねて関西選手権に備える。【記事編集・写真撮影 松田拓真】
コメント
勝村監督
ー先発の藤本投手の投球はどのように見られていましたか。
今日はストレートの四球が2回あった。あそこで簡単に走者を出すので、こういったところはもう少しピリッとしなければいけない。そこにつけ込まれてしまう。スキをなくさないと守りにくくなってしまうので、厳しいことを言うが自覚してもらいたい。全体としては悪くはないけれど、6回を超えるとストライクとボールがはっきりしてしまうのも今後の課題。最終戦で7回まで投げることはできていたので、次の準備をしっかりしていってほしいと思う。
ー今日の継投について
7回に藤本がストライクとボールがはっきりしてきたので、光原コーチと久木崎に確認して思い切って代えようということになった。色々とパターンは考えていたがまずは山口、その次に北山でいった。来年は北山、山口、荒木が中心となってやっていかなければいけないので、さらに努力してほしいと思う。
ー攻撃面についてはいかがですか。
初回もチャンスだったが遠藤のスタートが少し悪かった。あの場面は1発で決めていかないととは思っていた。あとは5回に1点しか取れなかったこと。(一死)1・3塁の場面で山本がもう少し状況を考えたバッティングをして欲しかった。三振が1番ダメな場面。ああいった状況でのバッティングがなかなかできていないので、そこをしっかりとやれるように成長してほしい。山本の足ならゴロさえ転がせればゲッツー崩れで1点が入るし、外野フライでも点が入るなどいろんな選択肢がある。足が遅いのなら選択肢も狭まるが、山本には足がある。そこをどれだけイメージしてできているのか。あそこでもう1点取れていたらもう少し楽な展開になったと思う。全体としては相手投手の変化球にタイミングがあっていなかった。
ータイムリーを打った久木崎選手は今シーズン勝負強い打撃を見せました。
久木崎に加えて材木、酒井の3人が今季のポイントゲッターとなった。材木は打率はそこまで高くないが、ここぞという場面で打ってくれる。本当はもう少し4番5番がしっかりしてほしい。川岸も打率は良いがここという場面で打てていない。1年の頃から試合に出ているので、そこをもう少し改善していってほしいと思っている。
ー久木崎選手は守備の面でも貢献。
最近結構走られていたが今日は良いところでよく(盗塁を)刺してくれた。あれはとても大きかった。(8回)サードでアウトにできたことも大きかったが、少しうちに運があっただけでまだまだ全体としては力不足。より鍛えていかないといけないかなと思う。
ーあとは商大の結果を待つだけとなりました。
今日連勝して少しでもプレッシャーをかけられたことは良かった。やることはやったのであとは人事を尽くして天命を待つといった感じですね。しっかり練習に取り組んで待ちたいと思います。

笹原主将
ー今日の試合を振り返って
ずっと続けてきたピッチャーを中心に守り勝つことができた。ピッチャーもゼロに抑えてくれましたし、守るところでしっかり守れていたのでそこが勝ちにつながったのだと思います。リーグ戦全体を通しても、こう言った部分は徹底できていたと思います。
ー最後の試合になる可能性がある一戦でしたが、試合前のチームの雰囲気はいかがでしたか。
今日メンバー2人変わり、4回生の大山と保澤がベンチに入って最後というところでしっかり4回生中心にやっていこうという流れで試合に入れたかなと思います。
ー主将として1年間を振り返って
正直主将の仕事はあんまりできていないと思います。周りがたくさんサポートしてくれましたし、自分の役割不足な部分もありましたけど、本当に勉強になった1年でした。この経験を社会人になっても生かしていきたいです。
ー一緒にやってきた4回生に声をかけるとしたら
みんなが下から支えてくれたのでありがとうと言う言葉と、特に高校からずっと一緒にやってくれた田井中に感謝しかないです。
ー下級生に向けてメッセージを
一番思うのは自分は少し悔いが残ってしまったというところです。悔いなく1年やりきるということが1番伝えたいメッセージです。後悔のないようにやってほしいです。

藤本投手
ー最後になる可能性がある試合。試合前はいかがでしたか。
悔いが残らないようにという気持ちを持ってマウンドにあがりました。
ー今日の投球を振り返っていかがですか。
試合前のブルペンでの調子はいつもより悪かった。試合に入る前の少しの時間で体の軸やコンディショニングをしっかりしてマウンドに立ち、強いボールをアバウトに投げるということを立ち上がりに意識して投げていました。その結果、回を追うごとに自分のボールが投げられるようになってきたのでその点は良かったかなと思います。ヒット打たれているボールもまっすぐで押していて完璧に捕らえられたものではなかったので、あんまり気にせずに強いボールを投げるという気持ちを持ってました。
ー降板後、後輩2人が締めての勝利となりました。
野球部に担当という制度があって、自分は山口と北山だった。自分の親しい後輩2人が締めてくれて完封リレーを飾れたことは自分にとって嬉しかったです。北山はプロに行く素質があるし練習でも頑張っている。今の状態で満足せずもっともっとう上にいってもらいたい。山口はまだ(公式戦での)投球回数が少ないと思うので、僕が抜けたあと北山、山口に荒木を加えた3人が軸となってチームを引っ張ってもらいたい。
ー今日の勝利で公式戦10勝となりました。
もうちょっと勝ちたかったという気持ちはあります。でも、二桁に乗せることができたので自分としては最後頑張れたかなと思います。社会人ではもっとストレートのキレやスピードを上げていって、自分の理想の投球ができるように磨いていきたいと思います。
ー4年間一緒に戦ってきた同期に声をかけるとしたら、何を伝えたいですか。
ずっと笹原や宇都宮は自分が投げているときに後ろから声をかけてくれた。これから自分の道をしっかりと歩んでほしいと思います。

久木崎捕手
ー先発は藤本投手。リード面ではどういったことを工夫されていましたか。
ちょっとブルペンで球が上ずっていて調子が悪そうだったので、ゾーンで勝負しましょうと伝えていた。試合が始まるとまとまって投げることができていたので緩急を意識しながらリードしていました。1番良かったボールはストレート。コーナーに決めるというよりはコースはアバウトだったんですけど、球に強さがありました。2年間一緒にやってきてリードの仕方や組み立てはわかっていたのでそこは良かった部分かなと思います。
ー要所で盗塁を刺す活躍でしたが、意識されていたことはありますか。
走ってくることはある程度わかっていたので、準備だけ怠らないように意識してプレーしていました。
ー継投について何かコミュニケーションは取られていましたか。
藤本さんは代わったタイミングで少し球が浮き出していたので、光原コーチと相談して山口でいくことになった。山口は少し調子が悪かったので、声をかけるなどしてもう少し工夫はできたかなと反省しています。
ー決勝打となるタイムリーを打つなど打撃面での貢献も大きかったと思います。
打った球はスライダー。追い込まれていたので、狙っていたというよりも来た球を打つ感じでと反応で打ちました。(チャンスでは)後ろに木村さんがいるのでなんとか後ろに繋げようと思って打席に立っています。元々バッティングに自信はないが、去年の秋に3割を打てたことがある程度の自信にはなっていると思います。
ー今後に向けて高めていきたいところはなんですか。
勝てるキャッチャーになりたいので、負けないようにリード面などを工夫できたらと思います。

【取材:松田拓真】