チーム事情から見るドラフト戦略2020〜ロッテ編 ロッテが元メジャーリーガーのチェン・ウェインと契約したという話を聞いて、ちょっと驚いた。(10月11日現在)首位ソフトバンクとのゲーム差はわずかに「2」。2005年以来、15年も遠ざかってい…
チーム事情から見るドラフト戦略2020〜ロッテ編
ロッテが元メジャーリーガーのチェン・ウェインと契約したという話を聞いて、ちょっと驚いた。(10月11日現在)首位ソフトバンクとのゲーム差はわずかに「2」。2005年以来、15年も遠ざかっているリーグ制覇にいよいよ本腰を入れてきたのか......そんな本気モードがヒシヒシと伝わってきた。
チェンといえば、中日時代の2009年に最優秀防御率のタイトルを獲得するなどNPBで36勝を挙げ、メジャーでも59勝をマーク。実績なら、今のロッテ投手陣のなかでは群を抜く。
もちろん、コンディションの心配はあるが、それを確認したうえでの「契約金3000万円」なのだろう。
10年近くも続いた"左腕不足"が、小島和哉の台頭、中村稔弥の成長、そしてチェンの加入で一気に解消......というほど、プロ野球の世界は甘くない。
高校時代は木更津総合のエースとして活躍した早稲田大・早川隆久
そこで1位は、重複覚悟で地元・千葉出身の左腕・早川隆久(早稲田大)を狙うべきだ。昨年あたりから、リリースが見えにくくなった投球フォーム。誰かに教わったな......としか思えないほどの変わりようである。
半身になっている時間が長く、そこから右足をしっかり踏み込んでから体を一気に切り返す。このメカニズムを忘れなければ、1年目から10勝も期待できる。早川が一枚加わるだけでロッテ投手陣は劇的に変わるはずだ。
もし早川を抽選で外したら、同じく千葉出身の右腕・木澤尚文(慶應義塾大)でどうか。140キロ代後半のストレートをベルトよりも低いゾーンに集められ、そのストレートと同じ軌道からカットボール、スプリットも投げられる。
どの球もカウント球にも勝負球にも使える精度の高さを誇り、ファウルでカウントを稼げるのは先発タイプにとって大きな強みだ。将来のエース候補の期待もかかる。
野手に目を移すと、左打者は安田尚憲、藤岡裕大、今季売り出し中の和田康士朗が一軍にいて、2年目の藤原恭大、ルーキーの高部瑛斗など若い選手も頭角を現しつつある。
しかし、清田育宏、荻野貴司、井上晴哉......ロッテ打線を支えてきた"右打ち"の選手たちは揃って30歳を超えており、イキのいい右打者を最低でも2人はほしいところだ。
2位に井上朋也(花咲徳栄)が残っていれば、迷わず指名したい。スイングスピード、長打力、実戦での集中力は高校生離れしており、通算本塁打のような"数字"では測れない能力を備えた強打者だ。
もうひとりは、昨年の都市対抗で長打を連発し、新人王に当たる「若獅子賞」を獲得した今川優馬(JFE東日本)。ホームランしか狙っていないような豪快なスイングから、右にも左にも長打が打てる。それでいて脆さがなく、勝負強い。相手にしてみれば厄介な打者だ。
フルスイングはタイミングが合っていないとできない技術である。一見、威勢がいいだけのように見えるが、本物のフルスイングができる打者は相当な技術の持ち主である。そういった意味で井上も今川も高い技術力を武器に、球界を代表するバッターになる可能性は十分にある。
なにより、ロッテには佐々木朗希という楽しみがある。近い将来、圧倒的な戦力でリーグ制覇どころか、日本一も狙えるのではないか。井口資仁監督となって3年目、常勝チームへの下地はできあがりつつある。そういう意味でも今年のドラフトは極めて重要になる。