シーズン直前インタビュー　井上千尋

　新型コロナウイルスの影響を受け、リンクが一時閉鎖されるなど練習中断を余儀なくされたフィギュアスケーターたち。自粛期間を経て抱いた、シーズン前の思いについてのインタビューをお届けする。

（この取材は８月25日に行われたものです）

第８回は井上千尋（商３＝椙山女学園）のインタビューです。

--現在の調子はいかがですか。

　「２か月くらい練習ができなくて、６月くらいから練習を始めてやっと元に戻ってきたかなという感じです」

--やはり２か月も滑らないと感覚は狂うものですか。

　「ジャンプとか自体はおかしくならなかったんですけど、やっぱりプログラムを通して練習したりすると体力や質が落ちてしまった感じで、まとまってみんなに見てもらえるような演技には全然なっていなくて、そこを練習しています」

--自粛期間のトレーニングを教えてください。

　「１週間に１回オンラインでトレーニングをする機会があって、そのトレーニングを自分で毎日やっていました。筋トレしたり走りに行ったり、陸上でジャンプの練習をしたりしました」

--氷に乗れない間、不安な思いなどはございましたか。

　「めっちゃ不安でした（笑）このまま飛べなくなるんじゃないかとか思ったりして。色々な人のスケートの動画とかを観たりしていました」

--オンライン授業はいかがでしたか。

「めっちゃ大変でした（笑）課題めっちゃ多いじゃないですか。（課題をやりながら練習もしなくてはならないですよね）課題をやるのは大変なんですけど、ある程度猶予がある授業が多くて、その時間にやらなければいけないという授業があまりなかったので、お昼とかに練習に行って夜課題をやってという感じです。そこは学校に行くよりはよかったなと思うんですけど、その分課題もやらなきゃいけないので結構大変でした」

--昨シーズンを振り返っていかがですか。

　「去年はずっと出たいと思っていた全日本選手権（以下全日本）に出れたので、とても良いシーズンだったなと思います。でも全日本で自分の実力を出し切ることができなかったので、今年はしっかり全日本に出て、そこで結果が残せるようになりたいなとすごく思ったシーズンでした」

--昨シーズンを通しての収穫や課題を教えてください。

　「私は結構試合でのジャンプのミスが多かったので、自分ができることは確実にやらないといけないとすごく思いました。（練習でもそういったことは意識していらっしゃいますか）自主練習とかで、1本ずつジャンプするのと、プログラムを通してジャンプを飛ぶのは結構感覚が違って、自分で練習してるときは飛べても曲の中では飛べないみたいなのが結構あったので、曲を何回もかけてその曲の中で飛ぶというのを自分に覚えさせる練習をやっています」

--今シーズンのプログラムについて教えてください。

　「FＳ（フリープログラム）は昨シーズンと一緒なんですけど、ＳＰ（ショートプログラム）を新しく変えました。ＳＰはムーラン・ルージュの『Come What May』という曲なんですけど、振り付けしてくださった先生が身体を大きく使って、一歩が大きく滑れるようなプログラムを作ってくださって、のびのびと滑れるようなプログラムになっています。プログラムの最後がステップになっているので、そのステップで魅せれたらいいなと思います」

--『Come What May』を選んだ経緯を教えてください。

　「そこまでこの曲がやりたいという思ったわけではなかったんですけど、アイスダンスの選手でこの曲を使っている選手がいて、その選手の演技がとても好きで、上手なので、自分もこんな風に上手なスケートができたらいいなと思ってこの曲にしてみました」

--ＦＳを変えなかった理由は何かございますか。

　「『ロミオとジュリエット』は自分がずっと使いたいなと思っていた曲なので、１年でやめないで、もっと練習して完成度の高い演技ができるまでやりたいと思ったので変えませんでした」

--３年生になって心境の変化などはございますか。

　「それが意外と全然なくて。学校もコロナの影響で行ってなかったりして、あまり３年生になったという実感がないです（笑）」

--上京して約２年半が経過しました。ご自身で成長したと思う点はございますか。

　「成長できたかなと思う部分も少しはあるんですけど、そんなに２年半も経った感じもしないのに、もう折り返し地点まで来てしまっているので、もうあとちょっとで終わってしまうという焦りが強いです」

--おうち時間の過ごし方を教えてください。

　「今までスケートしかやってこなかったので、新しいことを色々やってみたいなと思って、お菓子を作ったり、ご飯もちゃんと献立考えて作ってみたり、色々な映画を観たりしました。（例えばどんなものを）ケーキを焼いたり、和菓子だと大福作ったり、お団子を作って、みたらしやあんこなどトッピングを変えたりして遊んでました（笑）（映画は）感動する話が好きで、海外の感動するお話のシリーズみたいなのをいっぱい観て１人でずっと泣いてました（笑）」

--今シーズンの目標を教えてください。

　「今シーズンは試合もあるかないかわからない厳しい状況で、今までとは違うので、できることを確実にやることを目標にしています。それができれば、自信がついたり、結果にもつながってくると思うので、できることを確実にやるというのが大切になってくるかなと思います」

--ありがとうございました。

［加川遥稀］