大友美有のフォトギャラリーはこちら>>eスポーツに青春を捧げる高校生たちがいるーー。eスポーツの「甲子園」とも呼ばれる大会「STAGE:0(ステージゼロ)」の第2回大会が8月から9月にかけて開催され、全国から1779校2158チームの合計5…
大友美有のフォトギャラリーはこちら>>
eスポーツに青春を捧げる高校生たちがいるーー。
eスポーツの「甲子園」とも呼ばれる大会「STAGE:0(ステージゼロ)」の第2回大会が8月から9月にかけて開催され、全国から1779校2158チームの合計5555人が参加した。大会は、5対5のチーム対抗戦略PC向けゲーム「League of Legends(LoL=ロル)」など3部門で行なわれ、激戦の様子を伝えるライブ配信の総視聴者数は、全国の高校生の約2倍となる747万人を記録。注目度の高さを示した。
一体、eスポーツの何が高校生たちをこれほどまでに駆り立てるのか。その答えを探るべく、LoL部門で2連覇を達成したN高等学校(通信制)の大友美有にeスポーツを通した青春の形を聞いた。
eスポーツのプレーヤーでモデルとしても活躍する大友美有。N高の選手として2連覇に貢献した
ーー優勝おめでとうございます。大会を終えた今、どんな気持ちですか。
大友 今大会は、N高として絶対に連覇を成し遂げたい気持ちと同じくらい、プレッシャーや不安を感じていました。だから、冬の「全国高校eスポーツ選手権」よりも練習量を3〜4倍に増やして挑みました。優勝できてとにかくうれしかったです。
ーー昨年初開催だった「STAGE:0」は今年2回目で、もうひとつの甲子園とも言える大きな大会「全国高校eスポーツ選手権」も年度末に第3回が開かれます。回数を重ねる中で、何か変化を感じましたか。
大友 5人でプレーするLoLだからこそ、チームの連携がレベルアップしていると感じましたね。とくに今大会ではLoL経験者がコーチに就いた学校も増えていて、知識や戦術面で勉強になることも多くありました。次の大会が少し怖いくらいです(笑)。
ーー大友さんが所属するN高等学校のチーム「KDG N1」にも、コーチが就いていたと聞きました。
大友 週1回のコーチングを受けていました。プレー以外にも、仲間への情報伝達の仕方を指摘してもらったり、時には揉めごとの仲介に入ってもらったりと、チーム内のコミュニケーションについて教わりました。
ステージゼロはオンラインでの大会。決勝戦で奮闘する大友美有(左下)ーーリーグ・オブ・レジェンド(Riot Games)○c 2020 Riot Games, Inc. All Rights Reserved
ーー人間関係の面でも成長があったのですね。
大友 練習で一緒にいる時間が長い分、お互いに『こういうところがダメ』と気づく点が多いです。ただ、気づいたことを全部言うのではなくて、何をどこまで伝えるのか、どんな視点で伝えるのかなどを考えるようになりました。お互いのことを考えながら、それでいて本音を言い合って、しっかり受け止めて、直す......という流れを繰り返すうちに、メンバー同士で厚い信頼関係が築けたと思います。
ーー信頼関係はチーム対戦のLoLではやはり重要ですか。
大友 そうですね。チーム内で役割があって、危ない場面でも的確な指示で引っ張る人もいれば、みんなのメンタルケアをしてくれる人もいて。そんなメンバーを最後まで信じられたことが、優勝できた要因のひとつだと思います。
ーー高校生にとってのLoLの魅力はどのような点にあるのでしょうか。
大友 全員に当てはまるかわかりませんが、青春を謳歌(おうか)できることですね。私は通信制のN高等学校に通っているので、教室でみんなとわいわいする機会があまりないんです。ゲームもオンラインで顔を合わせずにできるものですが、それでも学生同士がひとつの目標に向かって一丸となって動けるのが、今は一番の魅力です。
ーー大会やコンテストに向けて努力する他の部活動のように「eスポーツ」という分野でも青春の形ができているのですね。
大友 はい、そう感じます。今回の大会が終わってから、打ち上げとしてみんなでご飯を食べに行きました。大会に合わせて数日間メンバーと一緒に過ごしていたのですが、離れる時にすごく寂しくて。もし毎日のように顔を合わせていたら、もっと悲しい気持ちになっていたのかなと思ってしまいました(笑)。
ーーN高は2連覇を達成し、実力を示しました。「KDG N1」のチームメイトmarimo選手は国内トップのプロチームにサブメンバーとして加入するなど、夢あるキャリアもつかめる環境に見えます。
大友 私自身、eスポーツの強いN高でLoLをやりたくて転入してきた人間ですし、私と同じように「KDG N1」を志す人も多いと聞いています。N高はeスポーツに力を入れていて、私たちがもっと上に行けるように環境を整えてくれています。環境が整えばもっといろんな才能が発掘されると思うので、上を目指したい人はどんどんN高に来てほしいなと思いますね。
ステージゼロ2連覇達成の瞬間。仲間との結束が生んだ優勝だったーーリーグ・オブ・レジェンド(Riot Games)○c 2020 Riot Games, Inc. All Rights Reserved
ーー大友さんも、N高に所属しながらプロチーム「Rascal Jester(ラスカル・ジェスター)」で練習生としても活動しています。そうした活動を含めて、大友さんにとってLoLはどのような存在ですか。
大友 初めは趣味でしたが、今は心の底から大好きなゲームであり、自分が努力して成長するべきフィールドだと思っています。N高とプロチームの2つのチームで練習をするようになってLoLを楽しめる時間が増えましたし、「ラスカル・ジェスター」での練習を経てどんどん自信を持ってプレーできるようになってきています。もっともっと成長したいです。
ーーちなみに、大会優勝の自分へのご褒美はありましたか。
大友 ご褒美として、空いている時間は家に引きこもって楽しくLoLをする時間に捧げようと思っています。他には特に考えていなかったのですが、甘いものが好きなのでスイーツを食べに行くとか、ほしい化粧品が発売されるので買っちゃおうかなと思いました。
Profile
大友美有(おおとも・みゆう)
通信制のN高等学校に在籍する高校3年生。「女子高生ミスコン2019」で関東エリアグランプリを受賞し、ファイナリスト入りを果たす。さらに2019年12月開催の「第2回 全国高校eスポーツ選手権」League of Legends部門にN高eスポーツ部として出場し優勝。2020年7月にeスポーツプロチームRascalJesterの練習生として加入した。ゲーム内では「ShakeSpeare(シェイクスピア)」の名前で活動。