原英莉花、アマVの勝みなみや畑岡奈紗に抱いた思い「スゲーなと…」 女子ゴルフの国内メジャー・日本女子オープン最終日が4日、福岡・ザ・クラシックGC(6761ヤード・パー72)にて無観客で行われ、2位と4打差の単独首位で出た原英莉花(日本通運…

原英莉花、アマVの勝みなみや畑岡奈紗に抱いた思い「スゲーなと…」

 女子ゴルフの国内メジャー・日本女子オープン最終日が4日、福岡・ザ・クラシックGC(6761ヤード・パー72)にて無観客で行われ、2位と4打差の単独首位で出た原英莉花(日本通運)が2位と4打差の通算16アンダーでメジャー初優勝を果たした。昨年6月以来1年4か月ぶりのツアー通算2勝目。同じ黄金世代の小祝さくら(ニトリ)との最終組対決を制し、同世代に抱いた“劣等感”を乗り越えて「女子ゴルファー日本一」に上り詰めた。

 憧れの舞台で輝いた。原は1998年度生まれの黄金世代である畑岡奈紗、渋野日向子に続く3人目の国内メジャー制覇。涙はない。18番グリーンで両手を広げ、カメラ目線でガッツポーズを作った。日本女子オープンは6年連続6度目の出場。力強いショットを武器に栄冠を手にした。

 国内最高峰の大会である日本女子オープンは「中学生の頃から私の憧れの舞台」。当時、同世代の選手たちは予選会に挑戦していた。しかし、原は「私の実力じゃ無理だから」と遠慮して出場を見送った。初めて本戦に出場したのは高2の2015年。「こんなところでいつか勝てる日が来るのかと思うくらいのレベルだった」。予選落ちでメジャーの難コースに跳ね返された。

 活躍できるのは遥か先の未来だと感じたが、同世代は前を行く。畑岡が翌年の16年大会で優勝。「本当に自分は小さい時に全然成績が出なくて、勝みなみちゃんとか奈紗ちゃんが優勝しているのを『スゲーな』と思って見ていた」。原は劣等感を抱かずにはいられなかった。「でも、練習すれば、強い気持ちを持てば上には行けると思っていた」。劣等感の隙間には、上を目指す確かな闘争心があった。

試合用ボールに刻んでいる文字とは…

 昨年6月に初優勝を遂げたが、攻める気持ちが強すぎるあまりダブルボギーで崩れる場面も目立った。知らず知らずのうちに気持ちが守りに入る。最近になって自分を見つめ直した。「自分の気持ちのいいプレーは攻めるプレーだと改めて実感した。(小祝)さくらちゃんのショットが上手でピンに絡めてバーディーをとるスタイルを見て、私も果敢にピンを狙っていきました」。最終日まで火花を散らした小祝にも刺激を受け、攻める姿勢を取り戻した。

 どんな場面でも攻めるのではなく、攻めるべきところで持ち味を出す。“大人のゴルフ”も少しずつ備わってきた実感がある。「何が変わったかというと経験。たくさん試合を開催してくだっていて、それで傾向と対策を持てている。今、(畑岡と)同じトロフィーを持っていることを嬉しく思います。今も差はあるけど、詰められればいいな」

 海の向こうで世界一を狙う仲間を視野に入れた。日本タイトル獲得で複数年シードを獲得。海外挑戦もしやすくなった。「大きいですね。やっぱり海外で戦いたいという思いもあるので、世界ランクを上げて向こうでQT(予選会)を受けることも考えたい。悩む材料ができたことが嬉しいですね」。今年の試合用ボールに刻んでいる文字は「get the chance」。一歩、一歩成長してきた21歳が、チャンスを掴むべく同世代に猛チャージをかける。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)