新型コロナウイルスの影響を受け、リンクが一時閉鎖されるなど練習中断を余儀なくされたフィギュアスケーターたち。自粛期間を経て抱いた、シーズン前の思いについてのインタビューをお届けする。(この取材は8月25日に行われたものです)第2回は堀義正…

 新型コロナウイルスの影響を受け、リンクが一時閉鎖されるなど練習中断を余儀なくされたフィギュアスケーターたち。自粛期間を経て抱いた、シーズン前の思いについてのインタビューをお届けする。

(この取材は8月25日に行われたものです)

第2回は堀義正(商1=新渡戸文化)のインタビューです。(1)の続きとなります。

――昨シーズンを振り返っていかがですか。

 「全日本ジュニアに出場できたことは嬉しかったのですが、正直言うと昨年1年通してあまり満足してないシーズンだと思っていて。東京ブロックまでは自分の全力を発揮できていたのですが、東日本、全日本と登っていくにつれて、気持ちの方が先走ってしまって、演技がだいぶ疎かになってしまったのかなと思います。それが結果に出てしまって点数が伸びなかったり、変なところでミスしてしまったり、練習では失敗しないところを試合で失敗してしまったり。あとは詰めすぎた練習のせいで足を故障してしまったり、コンディション管理もうまくいかなくて。やっぱり4、5年ぶりの全日本ジュニアという大きな舞台に出場できたのは嬉しかったのですが、そこに自分の調子を合わせられなかったというのはまだまだ成長が足りないところだと思うので、今シーズンは無観客ではあるんですけど、自分の中でコンディションを常にいい位置でキープできるように今心掛けているところです」

――やはりトリプルアクセルは堀選手にとって重要なポイントになってくるのでしょうか。

 「そうですね。重要なポイントになってくるのですが、今のスケーター全体を見てみるとトリプルアクセルというのは上位に行くにあたっては跳べて当たり前のジャンプだと思っていて、上を目指していくには4回転ジャンプが絶対に必要になると思っています。自分はそこまで表現力があるほうだとは思っていなくて、滑りとかスケーティングスキルも他の選手にだいぶ劣っているというのをだいぶ感じています。それが結果にも出ているので、今シーズンはそういうのをカバーするような曲を選んで、表現力をつけているつもりなので、上位に食い込んでいければいいかなと思っています」

――ご自身の持ち味を教えてください。

 「ジャンプの高さですかね。ジャンプの高さで評価をもらったり、加点をもらったりします。そこしか自分の強みだと言えるところがないので、そこは強みとしてさらに強くしていけるような練習はしています。でも、その分足の負担がすごくて、ケアしないとすぐケガをしてしまうんです。そのときは、その都度休んでしっかり治してという風にして、昨シーズンと同じような結果にならないように考えながら練習しています」

――今シーズンのプログラムについて教えてください。

 「ショートは昨シーズンと同じ『カイジ』という曲です。フリーは今まで自分がやったことないような曲調にチャレンジしてみたいなと思って、『美女と野獣』を選曲しました。この『美女と野獣』なんですが、聴いただけだと『これ美女と野獣なのかな』というくらいあんまり知られていないようなパートを使っています。今までチャレンジしてこなかったミュージカル風な曲を自分で編集しました。今シーズンは川越先生という表現力を伸ばしてくださる先生に振付をお願いして、想像通りものすごく動く振付になって、すごく疲れるんですけど(笑)最初の方は手も上がらないくらい疲れていたのですが、やっと今は息切れくらいに治まるようになったので、これからジャンプをいれて何とかブロックに間に合えばいいなと思っています」

――自粛期間は自宅でトレーニングをされていたのでしょうか。

 「そうですね。縄跳びとか、家の周りをぜんそくりょくで走ったり。あとは、明大前が家から近いので、大学まで走って、『あぁこれが明治大学か』と見て帰るのが日課になってて(笑)あとは、家でスケート靴を履いて、ショートとフリーを音楽かけながら地上でやったりとかはしていました。他には基本的な腹筋、背筋、柔軟もやっていました」

――練習再開後はブランクを感じましたか。

 「僕はかなり感じました。3回転ジャンプとかが、自粛前はふんわり跳べるようになってたんですよ。もう足がつけば回ってるでしょうというくらい。でも自粛期間が明けてからはちゃんと意識しないと跳べなくなったりしていましたね。あとは全体的に体力が落ちていました。いくら地上でやっていても氷上での体の使い方は違うので、体力はとても落ちていました」

――大学4年間を通してどんな選手になりたいですか。

 「お手本にされるような選手ですかね」

――堀選手ご自身が目標としている選手はいらっしゃいますか。

 「町田樹さんです。表現力がものすごく好きで、真似しようと思っても全然真似できないんですよね。あとは羽生結弦選手とかは何に関しても異次元レベルでうまくて。あとは身近な選手なのですが、早稲田大学の西山真瑚くんですね。毎日僕の足りない表現力をものすごい勢いで表現しているので、すごいなと思います。憧れですね」

――大学4年間通しての目標を教えてください。

 「日本代表で世界の大会に出れるようになりたいです」

――今シーズンの目標を教えてください。

 「自分は2年間疲労骨折をした経験があって悔しい思いをしてきたので、そういった意味で今シーズンはケガには人一倍気を配っていきたいと思っています。あとは昨シーズンは失敗が多くて試合でいい演技をしたことがなくて、今までもそういう演技が数えるくらいしかないので、一つ一つの要素を確実にこなしていきたいと思っています」

――ありがとうございました。

[加川遥稀]