10月3日、東京六大学秋季リーグの第3週が始まり、第1試合では早大・早川隆久(4年・木更津総合)と法大・鈴木昭汰(4年・常総学院)による珠玉の投手戦が展開された。

力強いストレートに加えてチェンジアップなどの変化球も抜群のキレ。法大の強力打線を見事に封じた早川。捕手の岩本と試合後ハイタッチ

それぞれ千葉・木更津総合高、茨城・常総学院高のエースとして甲子園に3度出場し、通算5勝と同世代の投手の中で群を抜く実績を残してきた2人。ともに大学では苦労も多かったが、伝統校のエースとして最初で最後の直接対決を果たした。
 初回から走者を許すなど厳しい投球が続いた鈴木とは対照的に早川は先頭打者から149キロのストレートで見逃し三振を奪うなど、いきなり4者連続三振と快調なスタートを切った。
一方で鈴木も毎回のように走者を出しながらも、持ち味の1つでもある粘りの投球でピンチを凌いでいく。また早川は打者としても5回と7回に安打を放って出塁すると、全力疾走を怠らず果敢に次の塁を狙いでチームを盛り立てた。

こうして集まった5000人の観衆が固唾を飲んで見守った投手戦は両校無得点のまま進んでいった。
ついに試合が動いたのは最終回だ。9回表の早大の攻撃で、この日代打として途中出場し既に1安打を放っていた福本翔(3年・早実)がセンター前に安打を放って出塁すると、9番・早川の犠打は相手の野選を呼んで無死一、二塁と好機が拡大した。
この後2死二、三塁となるが、打席には3番の瀧澤虎太朗(4年・山梨学院)。5回の1死満塁で空振り三振を喫していただけに「どんなブサイクな形でもいいから走者を返そうと思っていました」と一、二塁間へ打球を放つ。これを法大の二塁手・高田桐利(2年・広陵)がなんとか抑えるが送球が若干逸れてセーフ。
魂の内野安打で先制点をもぎ取ると、代わった三浦銀二(3年・福大大濠)から岩本久重(3年・大阪桐蔭)も適時打を放って、早川が2点目のホームを踏んだ。
その裏の早川は疲れを微塵も見せないかのような140キロ台後半のストレートを次々と投げ込むなど、簡単に三者凡退に抑えて試合終了。小宮山悟監督から「ドラフト1位指名される投手が完封無いなんてカッコ悪いぞ」とハッパをかけられていた早川が、その期待に十二分に応えるリーグ戦初完封をやってのけた。
一方の鈴木は初回から球数がかさみ最終回には軸足が吊りかけていた。粘りの投球を見せようとしていたが力尽き、9回3分の2を138球投げて降板。ベンチに戻ると悔し涙を流した。

高校時代が技巧派のイメージもあったが鈴木だが今や最速152キロ左腕にまで成長を遂げている←

■早稲田大vs法政大1回戦
早大 000000002=2
法大 000000000=0
【早】○早川-岩本
【法】●鈴木、三浦-大柿

◎早大・小宮山悟監督
「今日“も”早川は素晴らしかったです。大したものだとダグアウトで見ていました。僕だったら暴れていますよ(笑)明治戦の1分けがあったので今日の引き分けは負けに等しいと思っていました。最後よく瀧澤が1点をもぎ取ってくれました。早川には土日とも投げるように伝えてあります」

◎早大・早川隆久(4年・木更津総合)
「嬉しいですが優勝しか見ていないので、明日も行く準備をします。優勝するために自分は自分のやることをしっかりやって、何がチームに必要かを常に頭の中に入れています。投手も9人目の野手。走塁でも全力疾走を怠らずチームの鑑になろうと考えています」

◎法大・鈴木昭汰(4年・常総学院)
「このような試合になると分かっていたので、最後打ち取りきれなかった僕の負けです。いつもと同じ気持ちで自分の投球をしようと思ってマウンドに上がりました。結果がすべて。(降板時の涙は)やっぱり悔しかったので。次の試合に向けてしっかり準備をしていきたいです」

文・写真=高木遊