関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)第4節。ここまで勝利がなく何としても白星を掴みたい早大は、ここまで4季連続で優勝している絶対的女王・東京女子体育大学(東女体大)と対戦した。ここまでの3試合通じての課題であった立ち上がりでまたも苦しむ。2点…

 関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)第4節。ここまで勝利がなく何としても白星を掴みたい早大は、ここまで4季連続で優勝している絶対的女王・東京女子体育大学(東女体大)と対戦した。ここまでの3試合通じての課題であった立ち上がりでまたも苦しむ。2点目を挙げるまでに14失点を喫するなど前半だけで21失点とやはり序盤をものにできない。後半は何とか立て直し、善戦を見せたが追いつくことはできず。またも初勝利はお預けとなった。

 長い15分となった。開始早々から猛攻を見せる東女体大に対し、ここまでは機能していたセットDFが崩され、毎分のように失点を喫する。紅林詩乃(スポ3=東京・佼成学園女)の速攻、阿部美幸(スポ3=東京・佼成学園女)のシュートで得点を挙げるも、相手の勢いを跳ね返すことはできなかった。「立ち上がりの運動量の足りなさが一番の原因」(衣川紗菜、スポ4=愛知・旭丘)。その言葉通り、相手両45のカットインや逆速攻に対応できず、前半15分で2-15と大差をつけられる。その後は、山根萌(スポ4=千葉・昭和学院)が2つのペナルティスローを獲得し、岡崎麗(教4=埼玉・浦和実)が決め切る。続いて衣川紗が素早い速攻で得点を挙げ、必死の抵抗を試みた。しかし、前半終了間際に痛恨のペナルティスローを献上。しっかりと決められ、7-21という大差で後半を迎えることとなった。 


速攻からフリーシュートを放つ衣川紗

 後半に入ると、気持ちのこもったDFが見え始めて徐々に相手の勢いを抑えだす。阿部美の切れ味鋭いディスタンスシュートで先制した後は失点を重ねたものの、前節に引き続き調子のよい村上楓(スポ1=福岡・明光学園)がスピードに乗ったカットインから得点を挙げ、相手の流れを分断した。続けて、村上がペナルティスローを獲得すると、流れは早稲田に。そんな村上が17分過ぎに退場となってしまい数的不利となったが、江連織圭(スポ2=千葉・昭和学院)のビックセーブで何とか切り抜ける。その後は互いに点を取りあう展開に。自身が獲得した岡崎のペナルティスローによる得点、DFで活躍を見せていた垣内美春(社4=富山・氷見)の速攻からの今季初得点、阿部美の綺麗な放物線を描いたエンプティゴールという3連続得点には、粘り強いDFからの攻撃ということしの早稲田の理想的な攻撃のかたちが見えたような印象を受けた。最後には衣川直緒(社4=愛知・星城)が巧みなサイドシュートを相手ゴールに沈めたが、17-34で試合終了。絶対的女王から今季初勝利をもぎ取ることはできなかった。


ガッツポーズを見せる江連

 後半に限っては10-13と互角の勝負をしていただけに立ち上がりの試合運びが悔やまれる。しかし、その後半には前節に引き続き村上が躍動し、岡崎、山根、垣内、衣川紗とここまでベンチスタートが続いていた4年生も見事な活躍を見せた。そして、「DFの足がすごく動いていて勝負所をはっきりさせてくれていた」と謙虚に振り返った江連は2試合続けてビックセーブを見せるなど覚醒の予感漂う。序盤の展開に苦しみ試合をものにできていないが、長いトンネルの出口はもうすぐそこにありそうだ。「どういう風にこのチームで最後を飾りたいのかということも意識しながら」(衣川紗)。その最後の瞬間は全員が納得できる形であるように。次の桐蔭横浜大戦では雲一つない秋晴れのような快勝が期待される。 

(記事 杉原優人、写真 稲葉侑也、杉原優人)

関東学生秋季リーグ
早大177-21
10-13
34東女体大
GK 江連織圭(スポ2=千葉・昭和学院)
LW 衣川紗菜(スポ4=愛知・旭丘)
LB 山根萌(スポ4=千葉・昭和学院)
PV 紅林詩乃(スポ3=東京・佼成学園女)
CB 村上楓(スポ1=福岡・明光学園)
RB 阿部美幸(スポ3=東京・佼成学園女)
RW 衣川直緒(社4=愛知・星城)
コメント

衣川紗菜(スポ4=愛知・旭丘)

――きょうの試合の感想は

結果としてはやっぱり納得のいくものではないし、情けないなという風には思っています。

――今季初めてスタメンが変わっての試合となりましたが、試合前の気持ちはいかがでしたか

出られない選手がいるというのが分かっていて、自分がスタートになるかもしれないだったり、スタメンが変わるというのを分かっていて1週間練習してきていたし、試合前の監督からの言葉でもこの試合は代わって出るのも4年生だったので、上級生に期待しているし、上級生がどうにかしなきゃいけないなという気持ちはあったので、自分なりに精一杯できることをしようという想いでやっていました。

――序盤に大量失点を喫しました。原因は

前の3試合とも重なる部分があるんですけど、やっぱり立ち上がりの運動量の足りなさというのが一番の原因かなと思っていて、アップでも運動量を増やしたものを取り入れたり、セットDFは今まである程度自信を持って秋リーグ(関東学生秋季リーグ)臨んでいた部分だったのが、運動量が足りていなくて、本当だったらフォローに行って次の人が囮に行ってという風にできているものが、立ち上がりすぐに中々出なくて、そこが一番の原因かなと思っています。

――後半は盛り返した印象がありますが、収穫はありましたか

そうですね。自分としては後半スコアを見ても10-13と3点差だった部分であったり、随所に良いプレーというか自分たちのこれは通用するというプレーを出すことができたり、良い雰囲気で30分間戦い続けられたという点ではこれからの3試合に繋がるものがあったかなという風に思っています。

――次戦への意気込みをお願いします

上位(チーム)戦を全敗で終えてしまって、これからの3試合は絶対に勝たなくちゃいけない試合というのが続くと思うんですけど、プレーでもそうだし、今回はコートの中の選手しか盛り上げたり声を出すことができないという少し今までと違う状況でもあるので、自分がコートに立った時にはチームを盛り上げたり鼓舞するような声掛けをしていきたいと思いますし、チームとしては選手もそうですし、学生スタッフももっともっと一丸となって、自分がどうにかするんだとか、自分の役割にしっかり責任を持って取り組んで、結果も大事にしながらどういう風にこのチームで最後を飾りたいのかということも意識しながらやっていきたいなと思います。

江連織圭(スポ2=千葉・昭和学院)

――きょうの試合の感想は

先週までの3試合を通してずっと悪い流れが続いていたので、今週こそは悪い流れを断ち切ろうということで、東女体大戦に向けて1週間どう過ごしていくかというのをチーム全員で考えながらやってきたんですけど、ずっと課題にしている立ち上がりにたくさんミスをしてしまって、自分たちのやるべき事ができなかったなと思った試合でした。

――後半にキーピングが安定してきました。要因はありますか

前半の最初に出ていた時は、結構OFでの戻れないミスからの逆速攻ということで、キーパーからしてもきついシュートがたくさん飛んできてたんですけど、後半はDFの足がすごく動いていて勝負所をはっきりさせてくれていたので、連携しやすくなった事が要因かなと思います。

――キーパーとして後ろから上級生を支える形になりますが、心がけていることは

4年生が最後の試合ということもあって、出られない人もいるので気持ちだけは絶対に負けないようにしているのと、自分が思っている事を言いづらい時もあるんですけど、全員で勝ちに行くためにDFとキーパーとの合っていない部分はちゃんと話し合って直していくようにしています。

――次戦への意気込みをお願いします

ここ4試合ずっと悪い流れで来ているので、本当に次こそは勝って、残りの試合は全部勝てるように、そして4年生とできる最後の試合なので、ハンドボールを楽しみながら勝ちにこだわっていきたいと思います。

COLLEGE ATHLETE TV   2020.09.28 01:15
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