TEAM123456789計明 大0000000011早 大20004100X7(早)○早川―岩本 ◇(二塁打)岩本2、丸山 東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)閉幕からわずか1カ月。現体制の集大成となる秋季リーグ戦が幕を開けた。今季は1…

TEAM
明 大
早 大
(早)○早川―岩本
◇(二塁打)岩本2、丸山

 東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)閉幕からわずか1カ月。現体制の集大成となる秋季リーグ戦が幕を開けた。今季は1試合の勝利ごとに勝ち点がつく10試合勝ち点制(ポイント制)という1947年秋以来の開催方式をとる(※)。悲願の「早川世代」での優勝を成し遂げるためには、とにかく一つでも多くの白星をつかむことが必要不可欠だ。開幕戦の大事なマウンドを任されたエース・–は、2回から8回まで一人の走者も許さないなど、圧巻の投球を見せた。一方の打線も4番の–が3打点を挙げるなど序盤、中盤に効果的に得点を重ねて相手エース入江大生を攻略。投打ががっちりとかみ合い、チャンピオンフラッグ奪回に向けてこの上ないスタートを切った。


初回に先制の適時二塁打を放つ岩本

 打線はいきなり火を噴いた。初回2死から3番・–の四球と盗塁で得点圏に走者を置くと、迎えたのは今年度より4番を務めている岩本。フルカウントまで粘った後、7球目の外角の速球にうまく合わせて右翼線へ二塁打を放ち、鮮やかに先制点を挙げた。続く–も初球の甘く入った直球を捉え、右越え適時二塁打としてもう1点。初回から2点を奪い、試合の主導権を握ることに成功した。その後はなかなか得点を挙げられずにいたが、5回にビッグイニングが訪れる。–の安打や振り逃げなどによって1死一、三塁の好機が生まれると、2番・–がエンドランのサインに応え、しぶとく一塁手の左を抜ける適時打を放った。さらに相手のバッテリーエラー間に1点を挙げ、続く二、三塁の好機では、岩本が今度は右中間へ打球を運んで2者が生還。この回一挙4点を挙げた。6回には投手の早川が自ら適時打を放ち、明大を完全に突き放した。


9回1失点17奪三振の快投を見せた早川

 先発・早川は、150キロ前後の真っすぐと130キロ台後半のスライダー、さらには120キロ前後のカーブを駆使した緩急自在な投球を披露。変化球主体の組み立てを見せたかと思えば、力強い直球による三球勝負を行うなどして明大打線を全くと言っていいほど寄せ付けなかった。最終回に失点して完封こそは逃したものの、完投勝利を挙げただけでなく、奪三振数は驚愕の17個に達した。絶対的エースの貫禄の投球に、–をして「前半終了時点で勝ちを確信した」と言わしめるほどだった。


4回の第2打席でリーグ戦初安打を放ったルーキー野村

 エースが申し分ない投球を見せただけではなく、春季リーグ戦において要所での決定打に欠いた打線も、中軸を中心に勝負強い打撃をしてくれたことは大きな収穫だ。さらに6番で起用したルーキーの–が2安打をマークしたことも、今後のチーム編成上大きなプラスとなる。だが、この時点で「4年生にチームを預けて」(小宮山監督)臨んだ今季の成果が表れたとするのは早計であろう。すべては、まだまだ続いていく今後のリーグ戦においてもこのチーム状態を継続させることができるかに懸かっている。まずは翌日の試合でもこの試合と同様、4年生を中心に一丸となって白星をつかみたいところだ。

(記事 篠田雄大、写真 池田有輝)

※10試合勝ち点制(ポイント制)ほか今季の特別ルールについて

 今季は各大学が他の5大学と2試合ずつを戦うが、1勝1敗となっても第3戦を行うわけではない。1試合ごとに勝利1、引分0.5、敗戦0のポイント(勝点)がつき、合計ポイント(勝点)が最も多いチームが優勝となる。2校が同ポイント(勝点)で並んだ場合は優勝決定戦を行い、3校以上が同ポイント(勝点)で並んだ場合は優勝預かりとなる。また、今季は全試合延長戦は行わず、9回終了時で同点の場合は引き分けとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黄字は打点付き

早大打者成績
打順守備名前
1(二)金子銀佑400.000遊ゴ 右飛 振逃空三   
2(三)吉澤一翔311.333一邪 空三 右安 四球  
(左)瀧澤虎太朗310.333四球 空三 投安 中飛  
(捕)岩本久重323.667右2  四球右2 右飛  
(一)丸山壮史321.667右2  三犠空三 左安  
6(右)野村健太320.667中飛  左安 遊安   
走右宮﨑大地000.—         
太田雅之100.000      空三  
眞子晃拓000.—         
7(遊)熊田任洋400.000 空三 投併 二ゴ 中飛 
8(中)鈴木萌斗420.500 空三  左安左安 二ゴ 
9(投)早川隆久311.333 三ゴ  捕犠中安 空三 
早大投手成績
名前
早川隆久11092117111.00
東京六大学秋季リーグ戦星取表
順位 法 大早 大明 大東 大慶 大立 大勝ち点
法 大  ◯4-2  
早 大 ◯7-1   
明 大 ●1-7   
東 大●2-4    
 慶 大    
 立 大     


コメント

小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)

――今日の試合を振り返っていかがですか

早川(隆久主将、スポ4=千葉・木更津総合)が素晴らしいピッチングだったので、抑えてくれるだろうという想定で、後はいかに点を取るかということを考えていました。その中で2アウトから初回に点が取れたということで、もちろん瀧澤(虎太朗副将、スポ4=山梨学院)がフォアボールを選んだというのも大きいですし、そこでスチールを決めてスコアリングポジションまで進んで、岩本(久重、スポ3=大阪桐蔭)が本当にいいかたちで先制してくれたと。そして本当に大きいのは丸山(壮史、スポ3=広島・広陵)の2点目で、この2点目でほぼ勝ちを確信したというかね。2アウトから一度に2点というのはなかなか無くて、明治としては1点取られてさらにもう1点ということで相当ガクッときたと思うんですよ。そういう中で早川のあの素晴らしいピッチングですから、もう前半終了時点で間違いなく勝てるという確信をしていました。後はいかに追加点を奪うかということで課題は残りましたが、そうは言ってもよく打ってよく点を取ったというゲームだったので、良かったなとは思います。

――昨季終了後のインタビューで、今季に向け「鬼になって鍛え上げる」と述べられていましたが、その手ごたえはいかがですか

鬼になるというのが報道等で世に知れ渡ったところ、大阪の野村徹元監督(第16代早稲田大学野球部監督)から「お前が怒って何になるんだ」とたしなめられまして、「学生が一生懸命野球に取り組むことをまず手助けしてやれ」ということで。多少所々で鬼になったことはありましたが、あの時のヒートアップした感じの鬼とは別です。4年生にチームを預けて、チームをより良くするためにお前らで考えてやれということで、また我慢をしながら1カ月過ごしましたが、雷を落としたので彼らもこのままじゃダメなんだという自覚を持ってくれたと思うので、その成果がこの夏のオープン戦や今日のゲームを非常にいいかたちで戦えているということにつながっているのだろうと思います。

――昨季からスタメンや打順に一部変更がありますが、意図などはありますか

現状のベストメンバーを組んでいるということです。

――新しくスタメン入りした野村健太選手(スポ1=山梨学院)が2安打放ちましたが、野村選手についてはいかがですか

モノが違います。これははるかに我々の考えているレベルを越えているバッティングなので、この打撃をいかにチームにとってプラスになるように効果的に使うかというところです。今日のように早川が投げてぴしゃっといけるという想定であれば、攻撃陣を厚めに(野村をスタメン起用する)という選択ができますが、これがもし投げる方が今一つ信用を置けないなという状況になった時は無駄な点をやりたくないので、ディフェンシブに行くために野村を下げて眞子(晃拓、教4=早稲田佐賀)を入れたりということは考えています。ですが今日のバッティングを見ると、やっぱり(野村の打撃は)ちょっと捨てがたいなという感じになるので、これは考えます。

――明日に向けて一言お願いします

リーグ戦が2試合のみ、しかも9イニングしかやらないというイレギュラーなかたちなので、初戦を取ることによって2戦目はかなり思い切ったことができると思います。メンバーをあまりいじらずにピッチャーをとにかく総動員して点をやらないようにするということができるので、明日はピッチャーを少し多めにブルペンに入れて怪しくなったらすぐ継投ということで、明治打線をシャットアウトしにかかります。