◆報道写真をリードするゲッティがeスポーツに参入写真などのデジタルコンテンツを提供するゲッティイメージズが、「eスポーツ」(コンピュータゲーム、ビデオゲーム)業界に参入する。リアルのスポーツ報道写真で定評のあるゲッティイメージズがゲームの報…

◆報道写真をリードするゲッティがeスポーツに参入

写真などのデジタルコンテンツを提供するゲッティイメージズが、「eスポーツ」(コンピュータゲーム、ビデオゲーム)業界に参入する。リアルのスポーツ報道写真で定評のあるゲッティイメージズがゲームの報道写真に進出する理由はなにか。

本国ゲッティイメージズのヴァイスプレジデント兼、日本法人ゲッティイメージズジャパンの代表取締役島本久美子氏は、「eスポーツ業界の報道写真は、スポーツ報道写真のようなアクションシーンが少ない」と語る。

ゲッティイメージズ(本社:米シアトル)は静止画、動画、音楽などを世界100カ国以上に提供する、世界最大級のデジタルコンテンツカンパニーだ。IOC:国際オリンピック委員会やFIFA:国際サッカー連盟など、国際的なスポーツ団体の公式フォトエージェンシーを務めている。

ゲッティイメージズは7月に、『グランツーリスモ』チャンピオンシップの公式フォトエージェンシー契約、フォーミュラカーシリーズ『Wシリーズ』とのパートナーシップ締結、「リーグ・オブ・レジェンド」グローバルeスポーツイベントのオフィシャルフォトエージェンシー契約を発表した。

◆ゲームなのにプレイヤーの写真しかない

eスポーツ業界の市場は年々増加しており、2019年には約11憶ドルを超えるなど、ビジネスとして成熟してきている。しかしながら、eスポーツ業界の報道写真の現状に目を向けると、実際にゲームをするプレイヤーの姿や優勝セレモニーの様子など、「人にフォーカスしたカットが多い」(島本氏)。

2019年に、米ニューヨークで開催されたオンラインゲーム『フォートナイト』の世界大会ソロ部門で、16歳の米国人の少年カイル・ギアーズドーフさんが優勝し、賞金300万ドルを獲得した。「このニュースの報道記事は、どの記事にもギアーズドルフさんがトロフィを掲げる写真が使われており、それ以外のビジュアルコンテンツがなかった」(島本氏)。プレイヤーがプレイしたゲームの場面の写真がないのだ。

◆リアルな画質だがリアルでは撮れない写真

このように、eスポーツ業界の報道写真の多くは人に偏っている。いっぽう技術の進化によりゲームにフォトモードが登場し、バーチャルとリアルの世界で撮影された写真のクオリティに差がほぼなくなった。

島本氏は今後、バーチャルの世界における報道価値がますます高まると予測する。「現実の報道写真を撮影し続けてきたフォトグラファーをバーチャル世界に送り込む。リアルタイムでバーチャルの世界を配信できれば、バーチャル報道写真のビジュアルの幅が広がる」。

オリンピックやパラリンピック、サッカーW杯、F1など、報道スポーツの前線で25年以上にわたり活躍をしているフォトグラファー、クライブ・ローズは、「バーチャル写真において魅力的なのは、コースのど真ん中や、走行中の車体やタイヤのギリギリまで接近した場所など、現実世界では不可能な位置からの撮影が可能になるという点」と語っている。

ゲッティイメージズと契約した3社

●グランツーリスモ……7月1日、『グランツーリスモ』を手掛けるポリフォニー・デジタルとパートナーシップを締結した。FIA認定『グランツーリスモ』チャンピオンシップの公式フォトエージェンシーに決定した。シムレーシング(リアルな運転を楽しめるゲーム)の美しさと爽快感を世界に届けることを意図。

●Wシリーズ……7月6日、ドライバーを女性に限定した新しいフォーミュラカーシリーズ「Wシリーズ」とのパートナーシップを締結。女性ドライバーの育成と支援を目的に立ち上げられたWシリーズのシミュレーションレース『W Series Esports League』のオフィシャルフォトエージェンシーになった。

●ライアットゲームズ……7月13日、『リーグ・オブ・レジェンド』を手がけるライアットゲームズ(Riot Games)とパートナーシップを締結。『リーグ・オブ・レジェンド』グローバルeスポーツイベントのオフィシャルフォトエージェンシーに決定した。