「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

與座 海人 よざ・かいと
沖縄尚学高→岐阜経済大
投手・右投右打・173センチ74キロ・1995年9月15日生(22歳)

 

 プロ入り濃厚なサブマリンだ。ドラフト会議の1週間前までに、パリーグ全球団や地元・中日、セリーグを連覇した広島など、9球団から調査書を求められた。

 アンダースローは球界でも珍しい。現役のプロでは牧田和久(西武)と山中浩史(ヤクルト)ぐらいだ。「見本となるそのお二人の中に入っていけるように。いずれは、自分だけの違った何かをプロで出せればいいですね」と本人は夢見る。

 與座が下手投げに転向したのは大学入学後だ。高校2年の夏まではオーバースロー。打者との駆け引きに取り組む中でサイドスローへ腕を下げた。高校3年の春夏に甲子園に出場したが、エースナンバーとは無縁。大学で今のポジションまでのぼりつめた。

 長所は多い。まずは制球力だ。與座は下級生のころからエース格として起用されたが、当時から岐阜経済大の首脳陣は「しっかりとストライクが取れる」とその安定感を買っていた。

 制球力の良さで球を出し入れできるから、投球術にも秀でる。
「相手が狙っている球をわざと投げて凡打にさせることもある。彼の中でゲームプランがしっかり計算されている。さすがだなと思います」(小森茂監督)。

投球テンポもよく、打者に主導権を渡さない。
ストレートは最速でも132km/h。球速の出にくいアンダースローとはいえ、もう少し球速を、と見る向きもないわけではない。ただ、「この秋は真っすぐのキレにこだわった」と本人が言うように、重要なのは打者の体感。ストレートで空振りがとれるし、ストレート同士でもリリースのタイミングに変化をつけ、打者を翻弄するワザもある。

 最上級生かつ主将となった今年、春のリーグ戦を制し、岐阜経済大を初の全国舞台に導いた。3年前に事故で他界したチームメイトの思いも全国へ届けた。全日本大学野球選手権では、初戦で石巻専修大を相手に1安打完封勝利。「高いレベルで結果を出せた」と自信になった。最後は自身のドラフト指名で、最高の年としたい。

文・写真=尾関雄一朗