「明日へのエールプロジェクト」の一環で、学生とアスリートが今とこれからを一緒に語り合う「オンラインエール授業」。第21回目の講師は、2013年少林寺拳法世界大会一般男子四段以上の部で1位となり、2012年~2014年全国大会一般男子5段以上の部で1位の成績を残して引退。現在、全国高校少林寺拳法連盟理事長を務める傍ら東京都立清瀬高校に勤務し少林寺拳法部で指導を行っている福家健司さんだ。全国少林寺拳法部の現役部員や顧問の教員など約60名が集まり、今のリアルな悩みや質問に答えた。

技の理解が大事、納得するまで技を理解する

まず、福家さんは「3月の全国選抜大会、そして今夏のインターハイも中止となり、部員の皆さんが目標を失い喪失感の中にいると思う。この授業がどのくらい参考になるのか、そして後押しになるのか分からないが有意義な時間になれば」と挨拶すると、早速、高校生に「部活動は通常通りできているのかな?」と問いかけ「心折れずに頑張って欲しいし、たくさんの仲間もいる。顧問の先生の話を聞いてしっかり励んでください」と心の支柱となるエールを送る。

福家さんの高校時代についての話題になると「中学、高校と真面目に不良をやっていた(苦笑)」と意外な告白から始まる。オートバイに乗り、「その日が楽しければいい」と過ごしていたと言う。少林寺拳法を始めたきっかけは「喧嘩に強くなりたい」という一心だった。たまたま見に行った空手道場の隣で稽古をする少林寺拳法に衝撃を受けて、入門。高校には少林寺拳法部がなく、夏は水泳部、冬は柔道部で活躍をしていたとのこと。運動神経が良く、負けん気の強い“やんちゃ坊主”だったようだ。その後、「自分には少林寺拳法しかない」と考えるようになり、日本体育大学に進学し、4年間、少林寺拳法の真髄を追及した。

「演武発表の際の土台となる練習方法について?」と質問を受けると、福家さんは「少林寺拳法には体幹が必要で、下半身と上半身をつなげるコアトレーニングが重要となり、必ず技術の向上につながる。目的意識をもって3カ月以上は続けて欲しい」と答えた。

そして「後輩に指導する機会も多く、技の理解も浅く上手く伝えられない」という悩みを聞くと「後輩の前に立つことはプレッシャーもかかると思うが技の理解が大事。分からなければ顧問に聞いて自分が納得するまで技を理解する。出来なくても技の原理を後輩に伝える。そのためにも指導している先生を利用して欲しい」とアドバイスした。

“自己確立”と“自他共楽”の教え

そして、メンタル面についての質問も相次いだ。「大会だけでなく人前に立つとプレッシャーを感じてしまうが、それを自分の強さにするためには?」と訊かれると、「私も人前に出て演武をする時などは凄く緊張しているし不安。ただ、今までやってきたことを信じて、気合いだけは負けないようにする。場数を踏むことで自信になってくる」と緊張を楽しむことへの大切さを説いた。

「少林寺拳法と出会って良かったと思うことは?」と訊かれた福家さんは「少林寺拳法に出会って本当に良かったと思っている」と真っ先に口にする。「(少林寺拳法の)技術は実践的・合理的で理路整然としていて一生涯追及できる武道。技術の習得を通じて『人としてどう生きていけばいいのか?』を明確に教えてくれるのが少林寺拳法。それを要約した言葉が“自己確立”と“自他共楽”の教えとなっている。それは人としての生き方そのもの。絶対に長く続けて欲しい」と語った。このオンライン授業に参加をした生徒らは、少林寺拳法を深堀していくはずだ。

また、大学進学を目指している生徒から「今、やりたいことが見つからない。福家先生が現在の職業に就いた理由についてを教えて欲しい?」という質問を受けると「実は教員という職業が一番嫌いだった(笑)」と言う。やんちゃだった高校時代、生真面目で真っ直ぐな性格だったこともあり、本音と建前でモノを言う教師に対し、愚直な正義感と大人に対する反抗心が嫌悪感を抱かせていた。しかし「今は天職だと思っている」と大きな笑顔で答える。「大学では少林寺拳法に没頭し、おぼろげに将来は体を使った仕事を生業としたいと考えていた。4年生となり、消防士や白バイ警官の採用試験を受けたが叶わず、大学職員をやっている時に恩師に『お前みたいに教員に対してそう思っている人間が現場に立つことに意味があるんだぞ、お前の人間性を教員になって出してこい』と言われたことがきっかけで教員になった。なので、その時、その時で選択肢を選んでいけば必ず君の居場所が見つかる」と、自身のターニングポイントを振り返りながら、生徒の足元を照らすサーチライトになる言葉を送った。

福家健司さんが語る“明日へのエール”

最後に“明日へのエール”を求められた福家さんは「一話完結で、今日、出来ることに感謝をしながら、今日やれることをやる。それを積み上げて欲しい。朝の来ない夜はないので信じて日々を積み重ねてください」と力強いエールを送ると、左前中段構えのポーズを取り記念撮影をし、オンラインエール授業は終了した。

今後もさまざまな競技によって配信される「オンラインエール授業」。

これからも、全国の同世代の仲間と想いを共有しながら、「今とこれから」を少しでも前向きにしていけるエールを送り続ける。