3年間の鬱憤を振り払うように、「HOSEI」の背番号2が暴れている。 東京六大学春季リーグ戦で開幕3連勝、うち2試合は…
3年間の鬱憤を振り払うように、「HOSEI」の背番号2が暴れている。
東京六大学春季リーグ戦で開幕3連勝、うち2試合は延長タイブレークの総力戦という入れ替わりでヒーローが誕生している法大で、出色の活躍を見せているのが、永廣知紀外野手(4年)だ。過去3年間の出場は「0」である。
初戦となった11日の東大戦に「2番・中堅」でスタメンを飾り、リーグ戦初出場した。5回の第3打席で左翼への二塁打で初安打を記録。すると、12日の早大戦は2安打、14日の明大戦は3安打と、試合ごとに安打を増やした。
特に、明大戦は初回に初球で犠打をきっちり決めた一方で、3回の先制打にタイブレークとなった延長10回に勝ち越し打で2打点。小技のみならず、チャンスを作って、チャンスも生かす2番打者として躍動している。
12打数6安打の打率5割。13日終了時点で慶大・瀬戸西純(4年)と並んで1位タイ、いきなり首位打者を狙える位置にいる。
「チームのために自分はやることをやるだけなので、特に気負わず、緊張せずにプレーすることができています」
初めての神宮の舞台。それでも、自然体のプレーが結果につながっている。

過去3年間は出場ゼロ。苦しい時代を過ごしてきた。名門・大阪桐蔭出身で高山優希(現日本ハム)らとともに3年春のセンバツで2回戦進出。「1番・二塁」で切り込み隊長を務め、卒業後は先輩・福田光輝(現ロッテ)らがいる法大に進んだ。
全国から甲子園経験者が集う強豪。特に厚い内野の選手層に阻まれ、出場機会を得られなかった。
その間、大阪桐蔭から東京六大学に進んだ早大・吉澤一翔と立大・三井健右(ともに4年)のほか、1学年下の早大・徳山壮磨と岩本久重、慶大・福井章吾、2学年下の立大・山田健太と、一緒にプレーした同期、後輩は自分以外、全員が神宮デビューしていた。
しかし、焦りはない。むしろ、彼らの存在が刺激になった。
「自分も出たいという気持ちは常に持っていたけど、高校時代のチームメートが出ていることには悔しいという思いはなく、誇らしかったです」
いつか自分も--。その思いをもって、練習の一球一打に取り組んだ。
支えになったのも高校時代の経験。「西谷監督からは常に人間力を鍛えられ、高校時代に全国の舞台を経験させてもらったことで緊張せず、冷静にプレーできる」。一番の思い出は6月のキツイ追い込み練習。「TOIN」を胸に花開いた3年間があるから、この3年間も自分を信じることができた。
打撃力を生かし、出場機会を得るため、今年から外野に挑戦。その心意気を買われ、青木久典監督もレギュラーに抜擢した。
「初打席でも緊張もせず、練習通りに打席に立てたと思います。初安打はうれしかったです」
真夏の神宮に、努力で咲かせた花。チームは開幕3連勝。3季ぶりの優勝に向け、戦っている。
セールスポイントは「粘り強さと柔軟なプレー」とアピールする4年生は「いつも通り、チャンスメークを心がけ、チャンスの場面では粘り強く一本を出して、チームの勝利に貢献したいです」と殊勝に言う。
残り2試合これまでの戦いが証明しているように、真夏の短期決戦に楽な試合はない。しかし、苦しい戦いこそ、苦しいときを知る者は強い。
<Full-Count 神原英彰>