今年38歳もパワーは健在、打った瞬間に確信歩きの本塁打■巨人 6-1 中日(14日・東京ドーム) 巨人の中島宏之内野手が…
今年38歳もパワーは健在、打った瞬間に確信歩きの本塁打
■巨人 6-1 中日(14日・東京ドーム)
巨人の中島宏之内野手が14日の中日戦(東京ドーム)で通算200号を達成した。6回1死二、三塁から放った左中間席へ今季5号3ランは前夜の4号と同様、打った瞬間に本塁打と確信できる完璧な当たりだった。それでいて、中島のスイングには力みがない。長年、巨人や中島も選ばれていた2009年WBCの侍ジャパンチーフスコアラーだった三井康浩氏は小さなテークバックと打席に入る瞬間の意識に好調のポイントを見た。
分析のプロともいえるプロ野球のスコアラー。相手打者の状態を見る時はネクストバッターズサークルでの仕草で打者の状態を把握できるという。2試合連続本塁打を放った中島からは調子の良さが伝わってきた。
「スコアラーはその打者が何を考えているのか、ネクストから打席までのつながりを常に見ています。直球を狙っているとか、投手のどのコースを狙っているとか……調子の悪い打者は、ネクストで投手とのタイミングを取っていることが多かったりします。それを一球目で答え合わせ。自分の考えと選手の狙いが合っているかどうかを判断します。『やっぱりそうか』となることと、『違ったかな』と思うこともあります。中島選手に関しては今、打席の入り方、狙い方がいいなと見えますね」
打席の入り方がいい--。その根拠は中島は打席に足を踏み入れる時、意識を中堅から右方向に持っている点を三井氏は挙げる。
「そういう意識を持っている打者は、無駄に体が開いたりはしません。たとえインコースに詰まっても、右方向へ運べる技術があります。逆に入り方が雑に見えたり、簡単に入ってしまうような打者はそこに気が回っていなかったり、打席で深く考えてはいないと見えますね」
この傾向が100パーセント出るわけではない。長いシーズンを戦う上で、打者はそういうルーティンが保てている時と保てない時がある。そういう些細な瞬間を分析のプロは見ているというわけだ。今の中島には打席に余裕があり、しっかりとボールを見極める力がある。
見逃せない点はまだある。テークバックの小さなところだ。
背中側にバットが出ることが多かったが、だんだん小さくなっていると分析
「中島選手の場合は、テークバックの時、バットが背中側に出る印象がありますが、そんなに背中側に入らなくなっています。背中側への割合が大きいとボールとバットの軌道が合いづらくなります。バットの出が悪くなるからです」
今の中島は後ろもコンパクトにして、軽く振っている。
「他球団の選手として、またWBCの時もそうですが、中島選手のいい時を見ていたときのイメージは、軽く振って、ボールが飛んでいく感じで、フォームのバランスがいいなと思っていました。(ゴルフでも使われる)“パンチショット”、軽く打っているのに、見ている人にとってはかなり大きな打球が飛んでいくという状態です。それは全体のフォームのバランスがいい時にできること。今も、軽く打てているように見えるのはバランスがいい証ですね」
2009年の侍ジャパンの時は「もう少しパワフルだった」が、非常にバランスのいいフォームだったという。
「あの当時に比べれば、もちろん体の動きは小さくなっています。テークバックもそうですし、左足を上げる動きもそう。小さくしてまとまってはいますけど、今はあの頃よりも技術が中島選手にはあります。変わらない懐の深いフォームも健在です」
西武時代には162本、オリックスでは32本、そして巨人では6本目で大台に到達した。2試合連続本塁打を放った中島はまだまだアーチストとしての魅力がある。
「先ほど、技術と言いましたが、ひとつ簡単なことでいうと、甘い球を一発で仕留めることも技術です。それはその人の力量だと思います。調子が悪い時は甘い球をミスショットする。体を開かず、コンパクトに振れ、甘い球は逃さない。だから状態がいいのだと思います」
中島は今年38歳。まだまだ円熟味を見せてくれそうだ。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)