-WORLD BASEBALLの記事一覧はこちら- かつては「野球不毛の大陸」、ヨーロッパナンバーワンの強国にして「大物食い」で名を馳せたオランダだが、2013年ワールドベースボールクラシック(WBC)以降2大会連続の4強進出など、近年は世…



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 かつては「野球不毛の大陸」、ヨーロッパナンバーワンの強国にして「大物食い」で名を馳せたオランダだが、2013年ワールドベースボールクラシック(WBC)以降2大会連続の4強進出など、近年は世界の強豪の仲間入りを果たしつつある。

 意外だが、実は「オランダ人初のメジャーリーガー」は、19世紀に遡る。当時はヨーロッパからアメリカへの移民が多く、その中から野球になじみ、メジャーへの階段を駆け上る者がいたのだ。1894年、オランダ生まれの24歳の青年、ジョン・ハウスマンがシカゴ・コルツ(現カブス)の一員としてメジャーの舞台に立っている。

 20世紀以降の「近代野球」においては、1969年ツインズから3巡目指名され、翌70年にメジャーデビューを飾ると、92年に引退するまで287勝を挙げた殿堂入り投手バート・ブライレブンがいるが、彼もまた「アメリカ育ち」で、母国育ちのオランダ人初のメジャーリーガーは現在福岡ソフトバンクホークスに所属するリック・バンデンハークと言っていいだろう。



 この国に野球が伝わったのは、1901年にアムステルダム在住の英語教師、J.C.Gグラッセがアメリカから持ち帰ったのが始まりとされている。1911年には初めて本格的な試合が実施され、その翌12年にはオランダ王立野球ソフトボール連盟が発足した。現在まで続くトップリーグ、フーフトクラッセは1922年に開始されている。

 ヨーロッパでは1954年から代表チームによる大陸選手権大会が始まったが、オランダは初めて参加した1956年の第3回大会での初優勝以来、65年までの7連覇を含む22回の優勝を飾るなど、ナショナルリーグレベルでは最強を誇っている。また、国内リーグ、フーフトクラッセの上位チームが参加するクラブ別ヨーロッパ選手権であるヨーロピアン・カップ・チャンピオンにおいても、1963年の第1回大会以来、55回中オランダ勢は16回の優勝を飾るなど、イタリアと並ぶパワーハウスとなっている。

 国際舞台では、1970年代からIBAFワールドカップ(発足時はアマチュアワールドシリーズ)、インターコンチネンタルカップなどに参加するようになったが、20世紀中は目立った戦績を挙げることはなかった。しかし、2000年代以降、徐々に頭角を現し、2006年と10年のインターコンチネンタルカップで準優勝、最後の開催となった2011年のワールドカップではついに優勝を飾り世界の頂点に立った。

 オリンピックには1988年のソウル大会から参加、92年のバルセロナ大会以外の5大会に参加するも、目立った成績は残せていない。しかし、2006年に始まったプロ主体の国際大会、WBCでは、第1回大会では1次ラウンド敗退、第2回大会で2次ラウンド進出、そして冒頭に書いたように、ここ2大会では決勝トーナメント進出と、優勝を狙える位置につけてきている。2015年の第1回プレミア12にも出場したが、ここでは準々決勝まで進んだものの、アメリカに敗退、5位に終わっている。
 
 またWBC第1回大会においては、対パナマ戦で、7回コールド参考記録ながら、シャイロン・マルティス(リンカーン/米独立)がノーヒットノーランを達成している。


文・写真=阿佐智