-Future Heroes 一覧はこちら-  1年生ながら名門・智辯和歌山の4番に座る德丸天晴。投の“令和の怪物”が佐々木朗希(大船渡高)なら打の“令和の怪物”候補は彼になるかもしれない。 春季和歌山県大会の決勝でランニング本塁打を放つな…

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 1年生ながら名門・智辯和歌山の4番に座る德丸天晴。投の“令和の怪物”が佐々木朗希(大船渡高)なら打の“令和の怪物”候補は彼になるかもしれない。

 春季和歌山県大会の決勝でランニング本塁打を放つなど、既にその片鱗を見せている。



 4月28日の春季和歌山大会3回戦の和歌山東戦で突如、4番レフトとして公式戦デビューを果たした德丸。大胆な抜擢のようにも思えたが、中谷仁監督(元阪神、楽天、巨人捕手)は「練習試合等の結果からしても彼しかいない。今いるメンバーの中ではベストだと思って4番に据えています」と起用の理由を説明した。

 2週間前の練習試合では6試合に出場して12打数6安打1本塁打と大いにアピールして実力で4番の座を勝ち取った。公式戦初出場となったこの試合でも6回の第4打席にタイムリーを放つなど4打数2安打2打点の活躍で指揮官の起用に応えてみせた。

 中谷監督が德丸を高く評価している点は「意気込みすぎず、同じモチベーションで自分のやることを淡々とこなしていける」という精神面だ。德丸にこの試合で心掛けたことについて聞いてみても「あまり自分を見失わず、自分のスイングを意識しました。緊張はしましたが、無駄なことを考えないようにしました」と淡々と答えていた。

 1年生で公式戦初出場となれば緊張することや、意気込みすぎて空回りすることがあっても珍しくないが、德丸からはそういった様子が感じられない。だからこそ中谷監督は「ドシっと座ってもらえるだけの雰囲気を持っている」と信頼して4番を任せているのだ。

 実は德丸と中谷監督は以前から接点がある。德丸は小学6年生の時に阪神タイガースジュニアでプレーした経験があるが、その時にコーチを務めていたのが中谷監督だったのだ。

 「生活面や野球面で指導されたことが中学生になって活きてきた」と中谷監督の教えを守った德丸は中学で成長し、大阪東ボーイズでは通算22本塁打を放った。高校を選ぶ際には「プロに行くために成長できる場所」として昨年8月に中谷監督が就任した智辯和歌山への進学を決断した。

 プロ入りに向けて一番のアピールポイントは長打力だ。中谷監督は「当たった時の飛距離は凄いものがある」と長距離砲としての可能性に太鼓判を押している。「高校通算で50本は打ちたい」と意気込むスーパールーキーの打棒から目が離せない。

文・写真=馬場遼