-Future Heroes 一覧はこちら-   群馬大会3位から明治神宮大会決勝まで勝ち進んだ健大高崎。その立役者となっているのがエース左腕の下慎之介(2年)だ。最大の持ち味は緊迫した場面での粘り強さ。1回戦の倉敷商戦と準々決勝の明豊戦は…

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 群馬大会3位から明治神宮大会決勝まで勝ち進んだ健大高崎。その立役者となっているのがエース左腕の下慎之介(2年)だ。最大の持ち味は緊迫した場面での粘り強さ。1回戦の倉敷商戦と準々決勝の明豊戦はいずれもタイブレークを無失点に抑えると、準決勝の白樺学園戦でも再三のピンチを凌いで、2失点完投勝利を飾った。

 最速141㎞/hのストレートに右打者へのスプリットや左打者へのスライダーといった変化球が有効的に決まる。投球スタイルが似ている松井裕樹(楽天)に憧れており、対戦した白樺学園の戸出直樹監督は「勝負どころで腕が振れる」と称賛した。

 タイブレークのような緊迫した場面は「好きではないですけど…」と笑うが、「マウンドに上がったらやるしかないので、そこは割り切って投げています」と頼もしい。

 例年、健大高崎は継投で戦うことが多く、準々決勝でも9回までは他の3人の投手で繋いだ。「みんな同じくらいの実力の選手たちが揃っているので、自分が1番をつけていいのかなと思うくらい頼もしいです」と謙遜するが、マウンドでの姿からはエースとしての責任感が表れている。

 下の気持ちの強さを象徴するのが声だ。勝負どころではマウンドで吠える場面が度々見受けられる。本人によると、チームの雰囲気が悪い時には仲間を鼓舞するためにあえて声を出すことはあるが、ここぞという場面では自然と声が出るそうだ。

 準決勝で最も気合が入っていたのは1点リードで迎えた8回裏、二死満塁と一打逆転のピンチで4番の片山楽生(2年)を打席に迎えた場面だ。相手の片山も打席から下の気迫を感じていたようで、「それに負けないくらいの気持ちで向かってやろうと思って打席に入っていました」と触発されていた。

 それでも、思い切った投げっぷりを発揮した下が勢いで押し込むと、最後は「抜けてしまった」というストレートで空振りを取り、窮地を脱した。

 関東大会から接戦を勝ち抜いて、全国の頂点まであと1勝と迫った。「後半に強いチームだと自負しているので、接戦では勝てる自信はあります」と思えるほど、この秋で自信を深めてきた。

 4日間で3試合、20回を投げて疲労が心配されるが、「どっちが来ても手強い相手なので、向かって行く気持ちで頑張っていきたいです」と真っ向勝負を宣言。抜群のマウンド度胸が20日の決勝でも発揮されるだろうか。

文・写真=馬場遼